宿根木
江戸時代の面影残る千石船で栄えた国の「重要伝統的建造物群保存地区」
廻船業と船大工の集落、宿根木
両津港から車で約1時間10分。小木港からは約10分。佐渡の左下、小木半島に位置する宿根木集落。宿根木が廻船業で繁栄したのは江戸時代後期から明治にかけて。北は北海道からニシンや昆布を買い付け、南下しながら各地で売る。その地で商品を仕入れ次の寄港地で売る。下関から瀬戸内海に入り最後は大阪に寄港する西回りの航路をとった。大阪で酒や塩を大量に買い、ほかの土地で売りながらまた北海道を目指した。瀬戸内海から運んだ御影石を宿根木海岸や集落の神社に見ることができる。御影石とともに佐渡に招いた石工によって建設されたという白山神社の石鳥居。商品だけでなく人や技術も北前船から運ばれた宿根木の面影を見ながら集落の路地歩きを楽しもう。
江戸時代の道を歩く。時間をさかのぼったかのような町並み
宿根木集落に入ろう。向かって右の世捨小路の名前の由来ははっきりしていない。江戸時代からの石畳が残るこの小道はほかの小道より古く趣があるのでぜひ通りたい。世捨小路の先に柴田収蔵(しばたしゅうぞう)の生家がある。幕末の地理学者・蘭学者・洋学者とさまざまな肩書を持って活躍した宿根木出身の学者で、作成した世界地図は佐渡市の指定有形文化財になっている。残念ながら生家は公開されていないが、宿根木には廻船業で富を得た「清九郎(せいくろう)」、19世紀前半の船大工職人の家「金子屋(かねこや)」、狭い路地の形状に合わせて造られた「三角家(さんかくや)」の公開民家がある。どれも集落全体が船の仕事に従事したことを今に伝える貴重な建物だ。
廻船業での繁栄を垣間見ることのできる公開民家「清九郎」
公開民家「清九郎」を見学。中に入ると広い土間があり、当時の炊事場の様子がわかる。中は驚くほど広く静かだ。ここは幕末、廻船業で富を得た船主の家でぜいたくな意匠が施されている。柿渋の板張り、赤漆の大黒柱・小黒柱、一枚板の扉、2階の四季を描いたふすまなどどれも美しい保存状態である。明かり取りの窓には船の帆を上げる技術が使われており、船大工の町らしい工夫がなされている。御前、座敷を抜け、敷地のいちばん奥には一枚岩をくり抜いた石室があり、年中11~13℃に保たれている。夏は漬物、冬は芋を置いて天然の冷蔵庫として保存していた。当時の最高水準の建築資材や技術が使われた内部の様子は外の簡素な縦板からは想像できない。
江戸時代の漁師の気分?ゆったりと時間を忘れるはんぎりクルーズ
宿根木集落から道を渡り、宿根木海岸へやってきた。ここでは「はんぎり」と呼ばれるたらい舟の乗船体験をすることができる。1802年(享和2)の大地震で隆起し船底が海底についてしまうようになってから、小木半島の人たちにとってこのはんぎりはなくてはならない漁具になった。現在は観光資源としてこのはんぎりに乗りながら、海から宿根木を見ることができる。ここのはんぎり体験では狭い岩場を見学することができ、長い年月をかけ大地がつくったまるで火星のような(?)景色を見ることができる。不思議な景色と波の音、真っ青な海を存分に楽しもう。船頭の小木弁も名物のひとつだ。
スポット詳細
- 住所
- 新潟県佐渡市宿根木 地図
- エリア
- 佐渡エリア
- 時間
-
[清九郎家(土日祝)]9:00-16:00(時期により異なる)
[金子屋]9:00-16:00(時期により異なる)
[三角家(土日祝)]9:00-16:00
[民俗博物館]8:30-17:00 - 休業日
-
無休
[清九郎家]月-金(祝は営業)
[金子屋]冬期(12-3月)
[三角家]平日、冬期(11月下旬-3月末)
[民俗博物館]無休(冬期は月) - 料金
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[清九郎家]大人400円、小・中学生200円
[金子屋]300円
[三角家]大人300円、中学生以下150円、幼児無料
[民俗博物館]大人500円、小人200円
情報提供: ナビタイムジャパン