金塔山 恵隆寺 立木観音堂
ベールに包まれた巨仏と至近距離で対面できる
会津を代表する古刹(こさつ)
創建は古墳時代の540年(欽明元)。現在地に移転したのが鎌倉時代初頭の1190年(建久元)という、仏都会津でも指折りの古刹だ。江戸時代に始まった会津三十三観音札所に名を連ね、1975年(昭和50)頃からは、会津美里町の中田観音(なかたかんのん)、西会津町の鳥追観音(とりおいかんのん)と並ぶ「会津ころり三観音」のひとつとして、古往今来、庶民のあつい信仰を集めている。場所は磐越自動車道の会津坂下(あいづばんげ)ICから会津若松方面へ約5kmと非常にアクセスがよい。駐車場は無料で乗用車30台を停められ、バリアフリーの公衆トイレも完備。入り口脇には地元出身の演歌歌手・故春日八郎氏の『別れの一本杉』のヒット記念歌碑が。隣には国重要文化財の旧五十嵐家邸宅、道路を挟んだ西隣には国の重要文化財「塔寺八幡宮長帳(とうでらはちまんぐうながちょう)」を保存する心清水八幡神社(こころしみずはちまんじんじゃ)があるなど、見どころが集中するエリアだ。
1500年近く前に建てられた観音堂
正面入り口の仁王門をくぐると、奥まで長く参道が続く。左手には阿弥陀如来を祀る「三仏堂」、右手には「会津七福神」のひとつ福禄寿、そして右奥にはひときわ新しい「小金塔(こきんとう)」がそそり立つ。2000年(平成12)に再建された素木(しらき)造りの三重塔で、同時期に修復された黄金の大日如来像を堂内に安置する。そして奥に鎮座するのが、小金塔とは打って変わって古びた風格をたたえる茅葺きの観音堂だ。建立は同地に寺が移転して来たのと同じ1190年(建久元)。1611年(慶長16)に大地震に見舞われ大破したが、1617年(元和3)に修復。1950年(昭和25)に観音像とともに国の重要文化財に指定されている。正面階段脇に、無数の櫛やブラシが飾られているが、これは「櫛の奉納」のためで、病の「苦(く)」と「死(し)」の恐怖を少しでも和らげたいという庶民の願いが込められている。また、右端の柱には「外陣 だきつき柱」の木札が付けられている。これは堂内の「だきつき柱」のご利益を参拝時間外でもあやかれるようにという配慮で、感謝の心で抱きつけば願い事が叶うと信じられている。
根が付いた状態で彫られた観音像
いよいよ、御本尊の立木観音こと「十一面千手観音菩薩」(じゅういちめんせんじゅかんのんぼさつ)との対面である。通常は観音像の前に斗帳(とちょう)という大きな垂れ幕がかけられており、その姿を直接拝むことはできない。拝観料1人300円を納めると、垂れ幕の脇から入ることが許され、観音像の正面に進み、見上げるような形で拝観するのだ。住職によれば、もともとは秘仏で特別なことがない限り開帳されなかったという。それを、先々代の住職が、より多くの人に拝んでほしいと拝観料制度を導入したという。間近で見上げる観音像は迫力満点。身の丈8m50cmは、一本彫りで根の付いている仏像としては日本最大級だ。そう、この像は、808年(大同3)に弘法大師(空海)が、根が付いた状態の立ち木の皮をはぎ、直接彫刻を施して作ったことから「立木観音」と呼ばれている。実は今も足元の床下には根が残っているという。古代の人の発想の大胆さには感服だ。
御本尊を守る二十八部衆と風神・雷神
本尊を取り巻くように守るのは「二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)」と呼ばれる木彫りの仏像たちだ。本尊を彫刻して残った枝で刻まれたと伝わる。極彩色の装飾は草木で染めるのに1体5年かかったという。本尊の東西南北・上下に各4体、北東・南東・北西・南西に各1体配置。本尊が大き過ぎるせいで小さく見えるが、それぞれ身の丈2m弱ある。普通の寺院なら立派な御本尊サイズだ。二十八部衆は、「千手観音造次第法儀軌(せんじゅかんのんぞうしだいほうぎき)」で説く像の祀り方。千手観音が本尊の場合は、二十八部衆を左右に配さなければならないと明記されている。しかし、そのとおりに配する寺院は、京都の三十三間堂や清水寺などに限られる。三毒は三徳に、七難は七福に変えてくれる有り難い観音様と、由緒正しい陣形を、しっかりと両の眼に焼き付けたい。
スポット詳細
- 住所
- 福島県河沼郡会津坂下町塔寺字松原2944 地図
- エリア
- 会津若松エリア
- 電話番号
- 0242833171
- 時間
- 9:00-16:00
- 休業日
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無休
※行事等で拝観できない時間帯あり - 料金
- [拝観料(観音像直接参拝)]300円
- 駐車場
- あり(50台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 一部可(屋外)
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 0-30分
- 車椅子での入店
- 可(のりかえ)
- 乳幼児の入店
- 可
- ペットの入店
- 可(小型で抱っこできる小動物)
- 雨の日でも楽しめる
- はい
- 備考
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※感染予防のため時間短縮中
10:00-15:00
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- 会津三十三観音 第三十一番札所 立木観音
- 金塔山恵隆寺 立木観音御本尊は千手観音菩薩御詠歌は「遙るばると参りて拝む恵隆寺 いつも絶えせぬ松風の音」巨大な千手観音立像は、立木に直接掘り込んだ一木造りで、床下にはいまなお根があるといわている。両脇には、室町時代の作といわれる「二十八部衆立像」の眷属と風神・雷神が取り囲んでおり、国重要文化財に指定されている抱きつくと願いが叶うという抱きつき柱がある
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- 京都仁和寺よりも
- 会津ぴんぴんころり三観音のひとつ。会津坂下町にあります。こちらのご本尊の千手観音は何と8.5muf87f!!一本の立木から作られたとか?まさに巨大。天井を突くように立ってらっしゃいまして、28武衆と風神雷神が奥行きがない中に、詰め込まれてました。以前、京都御室仁和寺観音堂を見た際とは違うスケールと骨太な感じ。有料、外からは幕を張り見えず、館内撮影禁止、受付の坊さんも愛想なしにしても、非常に見る...
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- 拝観できたことを喜ぶべきか・・・
- 立木観音とは根を張った木を彫って造る観音像の総称で当然、1本の木から造られ、ここの立木観音も床下で根を張っている・・・とも云われています。(真偽は不明です)また、この千手観音様を彫ったのも弘法大師(空海)と云う説や、会津を仏都として拓いた徳一法師と云う説があり、こちらもはっきりしていない様です。千手観音様は300円の拝観料を払うと見学ができますが、私が行った時は他に誰もおらず、私の為に堂を開け...
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