大山千枚田
ライトアップも美しい「日本の棚田百選」のひとつ
都心からいちばん近い棚田の風景
大山千枚田は長狭平野の西の端、平野が終わり丘陵地帯になるところにある。山の斜面を耕作可能な平らな土地にするために造られる棚田は昔からの日本の知恵。ここには大小合わせて375枚の棚田があり、おもにコメ作りが行われている。温暖で良質な土壌をもったこの土地は米作りには適しているが周囲に水源がない。そのため大山千枚田は雨水のみで耕作している珍しい田んぼだ。東京から最も近い棚田として、懐かしい日本の風景を眺めに来る人が大勢いて、今では千葉県を代表する風景になっている。乾いた棚田に水が張られ、景色の一変する春から、青々とした稲の葉が棚田いっぱいに広がる夏、豊かに実った稲穂が黄金色になる秋、そして幻想的な冬のライトアップまで、春夏秋冬、一年を通じてさまざまな風景を楽しむことができる。
棚田を保全する工夫とは
美しい里山の風景が広がる大山千枚田周辺でも、日本中どこでも共通する問題を抱えている。それは農業を続ける後継者が不足していることだ。どんな土地でも手入れをしないとあっという間に荒れ地となってしまうが、特に棚田のような繊細な場所は、日々のメンテナンスが欠かせない。そのためには人手もお金もかかる。ここではそれらの問題を解消するために「棚田オーナー制度」を行っている。これは棚田の区画を個人がオーナーとなって有料で借り受け、みずから田植え、草刈り、脱穀などの作業を行って米を収穫するもの。オーナーなので収穫した米はすべて自分のものだ。近年「食育」の重要性がいわれているが、米作りを通じて、食育だけでなく日本の伝統的な文化を学ぶことができる良い機会を与えてくれる。地元の農家の方がていねいに指導をしてくれるので、農業の経験がなくても安心。都会に近いということも、地の利となっているのだろう。毎年行われるオーナーの募集に対してかなりの数の応募があるという。
幻想的なライトアップを見物に
春から秋にかけて、日々変わっていく棚田の風景もいいが、例年10月半ばから1月初旬まで行われるライトアップのイベント「棚田のあかり」は、今や大山千枚田の冬の風物詩。約1万個ものソーラーLEDライトが、広い棚田を幻想的な世界に変える。時間は17時頃から20時頃までで、期間中は無休で行われる。日が落ちて辺りがだんだん暗くなってくるとセンサーに反応してライトが灯り始める。いっせいに点灯するのではなく、ぽつりぽつりと明かりが増えていく様子はなかなか情緒がある。最初は電球のような光だが、辺りがさらに暗くなるにつれ、青から緑、そして紫へと色を変えていく。最初に明かりがつくときと同じで、いっせいに色が変わるのではなく、徐々に色が変わっていつの間にかすべて同じ色になっていく。その過程を眺めているのも楽しい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン