つつじが岡公園

江戸時代から続くツツジの名所。時代を超えた古木の魅力に酔いしれる

「日本の歴史公園100選」にも選出されている「つつじが岡公園」。ツツジのシーズンには燃えるような真っ赤な花で園内が埋め尽くされる。ツツジ以外にも梅、花ハス、十月桜など四季折々の花が咲き、訪れる人を楽しませてくれる。

通常は入園無料だが、「つつじまつり」の期間中は入園料が必要

広大な園内には100種類以上、約1万株のツツジが植えられている。4月上旬から5月上旬にかけて「つつじまつり」が開催され、全国から見物客が訪れる。正門から入って正面にある丘は、1934年(昭和9)に国の文化財に指定された名勝「躑躅ヶ岡(つつじがおか)」。地元では「花山(はなやま)」と呼ばれ、上毛かるたでも「花山公園つつじの名所」と読まれている。ここには古代からツツジが群生しており、風格漂う古木・巨樹を多く見ることができる。なかでも公園を代表する名木が、新田義貞が妻・匂当内侍(こうとうのないし)のために植えたと伝えられる推定樹齢800年のヤマツツジ。根元から何本も枝を張る姿からはあふれんばかりの生命力を感じる。ほかにも、館林市出身の宇宙飛行士・向井千秋さんがスペースシャトルに持ち込んだ種を発芽させた「宇宙ツツジ」など貴重なツツジを見ることができる。

シーズンには真っ赤なツツジを中心に園内が埋め尽くされる

公園の北側にはかつて館林城が天然の要塞としていた「城沼(じょうぬま)」があり、沼に群生する花ハスも見どころのひとつ。毎年7月上旬から8月中旬にかけて「花ハスまつり」が行われ、期間中は花ハス遊覧船が運航している。定員20名ほどの小さな遊覧船に乗り、船着き場から少し離れたハスの群生地へ。頰をなでる風が心地よく気分爽快だ。一面がハスの葉で覆われた群生地に着くと、細い通り道を葉をかき分けるようにグングン進む。大きなハスの葉が船べりに当たってパタパタと音を立て、ジャングルを探検している気分だ。ハスは早朝に開花し昼には花びらを閉じてしまう。この日は10時頃に乗船したがすでに開花のピークは過ぎていた。遊覧船は8時30分から運航しており、できるだけ早い時間帯に乗るのがおすすめだ。ピークを過ぎているとはいえ、見ごたえは十分。観賞ポイントでは船を止めてくれるので、間近でじっくり花を観察したり写真を撮ったりすることができる。船頭さんが摘んでくれたハスの実を試食してみるとほんのりと甘く栗のような味わい。大きな葉を日傘のようにしてうれしそうに持ち帰る子どもの姿も見られた。

城沼に自生するのは「朝鮮ハス」「古代ハス」「支那バス」の3種類。写真は朝鮮ハス

手の届く近さで花ハスを観賞できる

ツツジの見頃を逃してしまった、ツツジについてもっと詳しく知りたい。そんなときにおすすめなのが公園内にある「つつじ映像学習館」だ。公園の歴史やツツジの品種を詳しく紹介したパネルや、ボランティアガイドの解説を聞きながら公園内の名木を巡るビデオコーナーなどがあり、ツツジについての知識を深めることができる。目玉は4Dシアター。上映時間は約30分で、第1部では2019年(令和元)に文化庁日本遺産に認定された館林市の「里沼」について紹介。第2部ではツツジが満開となった公園の映像が流れ、専用メガネをかけることでツツジが立体的に浮かび上がってくる。案内役である館林市の観光マスコットキャラクター「ぽんちゃん」の動きにあわせて、スクリーン手前から風が吹いたり、座席からミストが吹き出したり。子どもでも飽きずに楽しめる。つつじ映像学習館の隣にはおしゃれなカフェがあり、園内散策の休憩やランチにぴったりだ。

入館料は大人500円、小・中学生は無料