伊丹十三記念館

記念館

豊かな感受性と多面性をもつ伊丹十三の魅力を紐解く

数々の肩書きをもつ多才な人物、伊丹十三。その魅力あふれる多面性と生涯遺した数々の作品を紹介しているのが松山市にある伊丹十三記念館だ。彼の一生をじっくりと振り返り、その人物像に思いを馳せてみよう。

常設展示室。引出し型展示台や手まわし式の展示もある好奇心をそそる構造} 常設展示室。引出し型展示台や手まわし式の展示もある好奇心をそそる構造

伊丹十三自身が気に入っていた場所に立つ記念館

伊丹十三記念館へ行くには松山市駅から伊予鉄バス・砥部方面行きに乗り約20分。バス停「天山橋」(あまやまばし)で下車し、歩いて2〜3分ほどで到着する。周囲の町並みに溶け込むように立つ黒い外観の建物と三角屋根の車庫が目印だ。ここが完成したのは伊丹十三の没後10年にあたる2007年(平成19)、十三の誕生日である5月15日に開館した。父母がともに松山市出身で、自らも高校時代を松山で過ごした。もともとは映画監督・脚本家でもあった父・伊丹万作の記念館をつくりたいと十三自身がこの土地を気に入っていたことがここに構えられた理由だ。市街地からやや離れた立地ということもあり、国道近くとはいえ、館内に入るととても静か。設計は十三の長年のファンであったという建築家・中村好文(なかむらよしふみ)氏によるもの。中央に設けられた中庭をぐるりと囲むようなシンプルな箱型構造で、中庭から館内へと光が注ぐ、なんとも心地のいい空間である。

車庫には乗り物マニアの十三が愛したという英国車「ベントレー」の展示も} 車庫には乗り物マニアの十三が愛したという英国車「ベントレー」の展示も

風がそよぐ中庭。ベンチが設けられており休憩にもうってつけ} 風がそよぐ中庭。ベンチが設けられており休憩にもうってつけ

伊丹十三の13もの多面性を見られる展示空間

館内の常設展は十三の通称である「一 池内岳彦」から始まり「十三 映画監督」で終わる全13の展示コーナーで構成されている。1933年(昭和8)京都に生まれ、父親の死を機に17歳のときに松山に転居。高校卒業後に上京し、商業デザイナーを経て俳優の道へと進んだ十三。驚くのはなんといってもその才能の豊かさである。俳優、映画監督のほかにCM作家、エッセイストやイラストレーター、また、精神分析をテーマとした雑誌『モノンクル』の編集を手がけるなど、その活動は多岐にわたっている。記念館では約8万点にわたる資料を収蔵。彼が手がけた数々の作品をはじめ、「二 音楽愛好家」「七 料理通」「十 猫好き」など、本人の私生活におけるユーモアあふれる人柄やセンスがにじみ出る展示も多くあり、ファンならずとも惹きつけられること請け合いだ。

料理の腕前も抜群であった十三。育児にも関心が高かったそう} 料理の腕前も抜群であった十三。育児にも関心が高かったそう

伊丹十三映画の世界観が垣間見られる貴重な展示

最も広く知られている彼の顔・映画監督としてのデビューは、51歳の時。初監督作品『お葬式』は日本アカデミー賞など多くの賞を受賞し、一躍話題となる。その後『タンポポ』『マルサの女』『あげまん』『スーパーの女』など、映画では全10作品を遺した。13番目の最後の展示「十三 映画監督」のコーナーでは当時の撮影風景の写真や絵コンテ、台本と、可動式パネル展示台でポスターとチラシも設置している。最後の展示を見終え、常設展示室を抜けると、企画展示室にそのままつながる。企画展は数年ごとにテーマや展示物が変わるので、何度か訪れたことのある人でも新しい発見を得られるだろう。

上映用ポジフィルムがはめ込まれた壁面には見入ってしまいそう} 上映用ポジフィルムがはめ込まれた壁面には見入ってしまいそう

ゆったりとした時間を過ごせる、中庭の見えるカフェ

常設展、企画展を堪能したあとは、中庭を一望できるカフェ「タンポポ」にも足を運んでみよう。このカフェの名前は映画『タンポポ』にちなんでいる。カフェではこの記念館でしか食べられないチョコレートケーキや十三饅頭のほか、十三が愛飲していたビールやシャンパンなどのアルコール類も提供している。目の前にはシンボルツリーの桂(カツラ)の木が立つ中庭が気持ちよく開け、生前の十三をよく知る人からは、「本人が木の下で腹ばいになって寝転んでいそう」といわれているのだとか。中庭は1日のうちでも陽の当たる方向によって見せる姿を変え、晴れの日はもちろん、雨の日もまた違った美しさを感じられる空間だ。また、記念館のロビーにはオリジナルグッズのそろうミュージアムショップも。館内を回りながらカフェや中庭のベンチでひと休みしたり、買い物を楽しんだり。時間をかけてじっくり楽しみたい場所である。

映画『タンポポ』のポスター原画として伊丹十三自らが描いた登場人物のデッサンが展示されている} 映画『タンポポ』のポスター原画として伊丹十三自らが描いた登場人物のデッサンが展示されている

記念館の建物の形をイメージして作られたチョコレートケーキ} 記念館の建物の形をイメージして作られたチョコレートケーキ

十三が描いたイラストをプリントしたTシャツや手拭い、ゴム印などのグッズがたくさん} 十三が描いたイラストをプリントしたTシャツや手拭い、ゴム印などのグッズがたくさん

スポット詳細

住所
愛媛県松山市東石井1-6-10 map map 地図
エリア
松山エリア
電話番号
0899691313
時間
10:00-18:00(最終入館17:30)
休業日
火(祝の場合は翌日)、年末年始及び保守点検日
料金
【入館料】
[大人]800円
[高校生・大学生]500円
[中学生以下]無料
駐車場
あり(20台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 多才な人
    4.0 投稿日 : 2021.02.25
    松山市駅からバスで20分の「天山橋」バス停から徒歩3分ほど。入館料は800円。展示室は2部屋あり、1部屋目が伊丹十三の生涯を解説した常設展(撮影可能)、2部屋目が企画展(撮影不可)の会場となっている。父(伊丹万作)が松山生まれ。十三は京都生まれだが高校時代を松山で過ごしている。幼いころから絵が得意で最初に就いた職業が商業デザイナー。そして俳優になった後もエッセイやイラストを書き、音楽や料理にも造...
  • 価値ある記念館です。
    4.0 投稿日 : 2019.06.09
    松山出張で2時間くらい空いた時間があったので、会社のメンバーと行きました。松山には度々訪れていましたが、見落としていました。
  • 最高に楽しい記念館
    5.0 投稿日 : 2019.05.19
    最初から最後まで、笑いっぱなしで楽しかった。笑いの中にあるエスプリや好奇心塊のセンスある語り等、伊丹十三の魅力満載の記念館です。建築は,中村好文。中庭の様子もしゃれています。高知では絶対お勧めの場所です。特に,一六タルトのコマーシャルは笑ってしょうがない!高知の方達から絶賛されたそうです。

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アクセス

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最寄り

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