四国カルスト(愛媛側)

愛媛と高知の県境の分水嶺に「日本三大カルスト」の高原が広がる

「日本三大カルスト」に数えられる四国カルストは、愛媛と高知の県境をなす標高1200～1400mの高地に位置する。珍しいカルスト地形が広がる山上の高原で、周囲に展開する絶景を楽しみながら爽快なドライブを満喫できる。

大パノラマの展開する絶景の高原にカルスト地形が広がる

山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と並び「日本三大カルスト」に数えられる四国カルスト。愛媛県と高知県との県境に、東西約25kmにわたってカルスト地形の爽やかな高原が広がる。この四国カルストの大きな特色は、秋吉台や平尾台とは違って標高1200～1400mという高地にあること。そこでは、白い石灰岩が林立する「カレンフェルト」や、すり鉢状のくぼ地「ドリーネ」など、カルスト特有の地形が緑の草原に広がるだけでなく、石鎚山など四国山地の山々や遥か太平洋を遠望し、下界を眼下にする大パノラマの絶景が楽しめる。周辺は牛の放牧地でもあり、牛が草をはむ牧歌的な風景も見られる。そして、四国カルストを東西に走る県道383号四国カルスト公園縦断線が「天空の道」と呼ばれ、青空と白い雲を間近に感じながら高原ドライブを満喫できる爽快なルートとして、人気のドライブコースになっている。

緑の草原に白い石灰岩が点在し、羊の群れを思わせる「カレンフェルト」

カルスト地形が広がるなか、のんびり和牛が草をはむ風景が間近に見られるのは、四国カルストならではだ

四国カルストを走る県道383号線は、ほぼ1.5車線で道幅が狭いところもあり、対向車とのすれ違いには注意が必要だ。スピードを出さず、ゆっくり景色を楽しみながら走りたい。四国カルストの東の要となっている天狗高原から五段高原を通り、高原の中心地として賑わう姫鶴平(めづるだいら)まで約4km。おおむねその間が、カルスト地形が広がるなかを走るメイン区間だが、さらに西へと地芳(じよし)峠から大野ヶ原に進めば、そこでも草原の山々に牧場が広がる雄大な風景を見られる。四国カルストへは、山上を走る県道383号線と高知県側を走る国道197号線を、東は天狗高原、西は大野ヶ原から連絡する大規模林道「東津野城川(ひがしつのしろかわ)林道」東線・西線でアプローチするのがおすすめだ。松山方面からは、国道440号線から地芳峠に直接登る道や県道36号線経由で大野ヶ原へ行くルートなども使えるが、道は曲がりくねって狭い。少々遠回りになるが、大規模林道は完全2車線の快走ルートで、時間的にも大差なく走りを楽しむこともできる。

姫鶴平から五段高原(左手前)・天狗高原(右手奥)を望む。天狗高原～姫鶴平は草原が広がり視界が開ける絶景ロードだ

牧場や展望所、宿泊施設やキャンプ場が集まる姫鶴平を望む。姫鶴平では濃厚なミルクのソフトクリームも食べられる

西の要となる大野ヶ原には、ポニー牧場を併設するペンション「もみの木」があり、チーズケーキが大人気になっている。そちらを目的とするなら、西の大野ヶ原から逆コースで東の天狗高原を目指すのがいいだろう。展望所や牧場がある姫鶴平には、宿泊施設「姫鶴荘」やコテージ、キャンプ場がある。また東の要・天狗高原では、カルスト学習館を併設する「カルストテラス」があり、2021年(令和3)7月には旧「天狗荘」が「星ふるヴィレッジTENGU」としてリニューアルオープン。そこではパノラマルームやプラネタリウム、天井がガラス張りになった星空客室などを備える。四国カルストで宿泊して、じっくり壮大な大自然や星空を観賞し、下界の喧騒から離れた時間をゆったり過ごすのもおすすめだ。

姫鶴平のキャンプ場では、文字どおり大自然に包まれた環境のなかキャンプが楽しめる