稲佐の浜

海岸/浜

「神在月」に八百万の神々を迎える「国譲り神話」の舞台

「国譲り神話」で知られる稲佐の浜は出雲大社の近くにあり、今も旧暦10月にはここで八百万(やおよろず)の神々を迎える。美しい西向きの海岸は夕日の名所としても知られ、「日本の渚百選」に選定されている。

神話の舞台である浜の夕日は神々しくも美しい 神話の舞台である浜の夕日は神々しくも美しい

天つ神が降臨し、今も八百万の神々が集う

出雲大社から西へ約1km、島根半島の付け根にあたる部分に「国譲り神話」の舞台として知られる稲佐の浜がある。その南側、神戸(かんど)川の河口から南西に約8km続く長大な浜が、「国引き神話」の舞台とされる「薗の長浜(そののながはま)」(長浜海岸)だ。天照大神(あまてらすおおかみ)の命によって建御雷神(たけみかづちのかみ)が高天原から降臨し、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)と国譲りの交渉をした稲佐の浜は、また「神議り(かみはかり)」をするため出雲の大国主大神のもとへ全国各地から集まる八百万の神々が降り立つ地ともされている。神議りが出雲で行われる旧暦10月は、神々がいなくなる出雲以外の地では「神無月(かんなづき)」。神々が一堂に会する出雲では「神在月(かみありづき)」という。

神迎神事(かみむかえしんじ)では稲佐の浜で御神火が焚かれ、しめ縄を張り巡らした斎場に神籬(ひもろぎ)が2本、かたわらに神々の先導役となる龍蛇神(りゅうじゃしん)が配される 神迎神事(かみむかえしんじ)では稲佐の浜で御神火が焚かれ、しめ縄を張り巡らした斎場に神籬(ひもろぎ)が2本、かたわらに神々の先導役となる龍蛇神(りゅうじゃしん)が配される

浜で迎えた神々が、出雲大社で「神議り」

稲佐の浜では旧暦10月10日に全国から八百万の神々を迎え、浜でおごそかに「神迎神事」が行われる。浜での神事が終われば、浜から出雲大社まで「神迎の道」に行列が続き、出雲大社の神楽殿で「神迎祭」を執り行う。そのあと、八百万の神々は東西の十九社(じゅうくしゃ)に鎮まる。そして、出雲大社で「神議り」が行われるわけだが、場所は大国主大神が鎮まる御本殿ではなく、稲佐の浜の近くにある境外摂社の上宮(かみのみや)。御本殿の大国主大神も、その両隣にある十九社に宿る八百万の神々も、わざわざ上宮まで出向いて会議をするのがおもしろい。

稲佐の浜から大社へ続く「神迎の道」は風情があり、散策するのも楽しい 稲佐の浜から大社へ続く「神迎の道」は風情があり、散策するのも楽しい

「神議り」が行われる出雲大社境外摂社の上宮は、稲佐の浜のすぐ近くにある 「神議り」が行われる出雲大社境外摂社の上宮は、稲佐の浜のすぐ近くにある

稲佐の浜のシンボル「弁天島」

稲佐の浜には鳥居が目をひく大岩が波打ち際にあり、浜のシンボルとなっている。その岩が「弁天島」で、地元では「べんてんさん」と呼び親しまれる。今は陸続きだが、かつては海のなかに浮かぶ島だったという。岩の上の祠は、海の神である豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)を祀る沖御前神社(おきごぜんじんじゃ)。以前は弁財天が祀られていたので弁天島と呼ばれる。漁業が盛んな土地柄、地元で漁業の神として信仰が深く、ここに海の安全を守る神が祀られているのはうなずける。この弁天島は観光客にも人気で、岩の前はいつも人だかりができる。

弁天島は浜のシンボル 弁天島は浜のシンボル

沖御前神社まで登ることはできない。さい銭は弁天島の前に設置されているさい銭箱へ納めることができる 沖御前神社まで登ることはできない。さい銭は弁天島の前に設置されているさい銭箱へ納めることができる

ゆかりの地を巡り、神々しい夕日を見る

弁天島から約300m離れた浜の北端付近には、国譲りの話し合いが行われたと伝わる屏風岩がある。すぐ近くに建御雷神を祀る因佐神社(いなさのかみのやしろ)があるので、あわせて訪ねてみたい。稲佐の浜は出雲大社から神迎の道を歩いて約12分。途中に上宮や歌舞伎の源流とされる出雲阿国(いずものおくに)の墓などもあるので、出雲大社から散策がてら歩いて行くのもおすすめ。日御碕(ひのみさき)神社がある日御碕へは車で約15分。そこまで足を延ばせば、「神話のふるさと」を訪ねる旅がいっそう充実する。また神話に思いを馳せながら、まさにその神話の舞台である浜から眺める夕日は神々しさも格別だ。

浜の前には飲食店の複合施設「神TERASU(テラス)」があり、甘酒ドリンクと石窯焼きピザを提供している。稲佐の浜を眺めながら、ほっとひと息つける(休業中) 浜の前には飲食店の複合施設「神TERASU(テラス)」があり、甘酒ドリンクと石窯焼きピザを提供している。稲佐の浜を眺めながら、ほっとひと息つける(休業中)

稲佐の浜と出雲大社の間に、歌舞伎の創始者とされる「出雲阿国」の墓や、尼となった阿国が余生を送ったといわれる「阿国寺連歌庵」などがある 稲佐の浜と出雲大社の間に、歌舞伎の創始者とされる「出雲阿国」の墓や、尼となった阿国が余生を送ったといわれる「阿国寺連歌庵」などがある

スポット詳細

住所
島根県出雲市大社町杵築北稲佐 map map 地図
駐車場
あり(普通車23台、軽自動車2台)

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました