四季の里

年間約30万人が訪れる人気スポット。土湯温泉や磐梯吾妻スカイラインを観光した帰りに立ち寄る人も

その名のとおり四季折々の美しさが魅力

福島駅からバスまたは車で、吾妻連峰に向かって約30分。四季の里は、2021年(令和3)夏に東京オリンピックの野球とソフトボール競技が行われた「あづま総合運動公園」の近くにある。開園したのは1995年(平成7)。その名のとおり四季折々の景観や伝統工芸、農産物を楽しめる通年利用型の公園施設として、福島市が整備を進めた。公園の広さは、東京ドーム1.7個分の約8万平方メートル。園内の各施設は16世紀の西欧風建築をイメージしたレンガ造りのレトロな意匠が印象的で、磐梯朝日国立公園の一切経山(いっさいきょうざん)や吾妻小富士(あずまこふじ)などの吾妻連峰をバックに芝生とのコントラストも美しい。春は桜やチューリップ、初夏にはバラ、秋は紅葉といったように季節ごとに違う表情を見せ、来園者を楽しませてくれる。

円形花壇に設置されたガーデンウエディングベルはデートスポット

美しい紅葉を望める工芸館のロビー。鉢植えなどの販売も

連続テレビ小説のロケ地も人気スポット

3月上旬頃から咲き始めるスノードロップからスタートし、秋に咲くバラが見頃を迎える11月中旬頃までの間、園内は百花繚乱。バラ園やハーブ園はもちろんのこと、フランスの庭園様式を取り入れた「円形花壇」、プランターなど各所に25種類以上の花々が植えられている。なかでも長い時間をかけて整備され、希少価値の高いバラが咲き誇る「バラ園」は、撮影の人気スポット。毎年6月には「バラまつり」も開催されている。バラ園の奥にある水林自然林には、NHKの朝の連続テレビ小説『エール』のロケ地がある。福島市出身の古関裕而をモデルにした『エール』のオープニング映像で、窪田正孝演じる古関裕而と、妻役の二階堂ふみが小川のほとりにたたずむシーンは、ここの自然林で撮影された。新緑も紅葉もすばらしいので、ぜひ立ち寄ってみよう。

バラ園では季節になると200種・400株のバラが咲き誇る

『エール』のロケ地。この林の奥に流れている阿武隈川水系の「荒川」は、12年連続で水質日本一！

思う存分、体を動かして遊べる

四季の里の中央には「じゃぶちゃぷ池」があり、夏は子どもの水遊びにぴったり。ロープ型ジャングルジム・ザイルクライミングに挑戦するなら「わんぱく広場」へ。さらに思いっきり体を動かして遊びたいときは「木もれびの広場」を目指そう。ここはゴムチップ入りの人工芝が張りめぐらされた屋根付きの施設で、広さは約600平方メートル。文字どおり木々の間から木漏れ日が差し込み、気温の高い日も日陰でボール遊びができる。インドア派は「じゃぶちゃぷ池」隣の水車小屋へ行ってみよう。水車は小電力発電を行っており、その仕組みや特徴を紹介した展示コーナーがあり、発電設備も見学できる。隣では福島の食材を使った四季の里オリジナルのジェラートを販売している。バニラやチョコ、抹茶などの定番に加え、フルーツ王国・福島ならではの味もいろいろ。車道を挟んだ向かいにある「農村いちば」には、土産物店と地元の人が農産物を出品する自由市の広場がある。

左に見えるのがザイルクライミング。横25m、高さ9mのロープが張られたジャングルジムだ

ジェラートは着色料、甘味料、香料を使用せず、素材そのものを生かした自然な味わいが魅力で、ミニトマトやリンゴ、モモなど豊富な種類を楽しめる。右は水車小屋とミニ発電施設

土湯こけしの絵付け体験に挑戦！

園内の「工芸館」では、「日本三大こけし」に数えられ、福島の伝統工芸品で知られる「土湯こけし」の絵付け体験や、ガラスの絵付け彫りができる。ともに1日5回開催され、所要時間は1回50分ほど。木製キーホルダーや逆立ちコマの絵付け体験など、ほかにもさまざまな体験メニューが用意されているので、友だちや親子一緒にトライしても楽しい。四季の里は2022(令和4)年10月、NPO法人地域活性化支援センターによって「恋人の聖地」に認定された。これを記念して、園内に「はじまりのとびら」が設置され、円形花壇を見下ろす「花の丘眺望デッキ」にはベルも登場。さらに四季の里ではクリスマスから2月頃までイルミネーションも楽しむことができ、この期間はベル周辺もライトアップされて、さらにロマンティックなデートスポットとなる。

こけしの絵付け体験は四季の里でもとりわけ人気。こけし工人(職人)がていねいに教えてくれるので、初心者でも気軽にトライできる