新潟県立近代美術館

新潟にゆかりのある作家の作品も多く展示されている

19世紀の西洋美術を中心としたアートコレクション

信濃川のほとりに位置し、季節ごとに違った表情を見せる花の広場や、広々とした芝生が美しい緑の広場など、市民の憩いの場として愛されている「千秋が原ふるさとの森」。新潟県立近代美術館は、長岡リリックホール、ハイブ長岡とともに千秋が原ふるさとの森にある施設のひとつで、自然と調和した心地よい空間が魅力だ。1950年(昭和25)代から1970年(昭和45)代にかけて長岡市に存在した企業コレクション「大光コレクション」などの国内作品のほか、バルビゾン派やナビ派など、日本の近代美術に関わりの深い19世紀の西洋美術を収集しており、新潟県立万代島美術館と共有する収蔵作品はおよそ6000点。新潟県出身の作家の作品や、新潟の巨匠たちの名画もそろう。

大きな窓から日が差し込み、穏やかな雰囲気

入り口に掲げられたロゴマークは新潟県出身の世界的デザイナー亀倉雄策のデザイン

2022年(令和4)度は年3回の企画展、年4回のコレクション展を開催

館内には、企画展示室と3つの展示室からなるコレクション展示室があり、幅広いジャンルを扱う企画展が2022年(令和4)度は年3回、収蔵作品のなかから異なるテーマで作品を選定したコレクション展は1期-4期に分けて開催される。開催中の展示にあわせた講座やワークショップなど、美術の知識を深めることができる参加型イベントも積極的に開催されている。今回訪れた際に展示されていた代表的な作品は、新潟県出身の洋画家で、自ら創案した「トミオカホワイト」という絵肌で知られる富岡惣一郎が手がけた『雪国』(1971年・昭和46)や、シュルレアリスムの影響を受けたと彷彿させる、幻想的な魅力をたたえた難波田龍起作の『森の詩』(1960年・昭和35)など。コレクション展は、開催中の企画展のテーマにあわせて開催されることが多く、企画展に訪れた際には、ぜひコレクション展にも立ち寄りたい。

コレクション展観覧料は一般430円、大学・高校・中等教育(後期)200円

館内・野外に設置された優美な彫刻作品

館内・野外には「自然と人との語らい」をテーマにさまざまな彫刻作品が設置されており、印象深い作品は、入り口を入るとまず目に飛び込んでくる、ロビーに設置された彫刻『カリアティードとアトラント』。3本の柱のそれぞれが人物像を表した、フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの大作だ。そのほか、野外を歩けば、瀬戸内国際芸術祭などでも活躍し、数々の受賞歴をもつ彫刻家・青木野枝氏の作品や、現代日本彫刻展での大賞受賞経験を持ち、鉄を使った作品を得意とする前田哲明氏の作品など、日本を代表するアーティストたちの作品9作を鑑賞できる。企画展やコレクション展を鑑賞するだけでなく、「館内・野外彫刻マップ」を手に、美術館内・外を巡ってみるのもおもしろい。

ロビーに設置された彫刻『カリアティードとアトラント』

彫刻家・版画家の青木野枝氏が手がけた野外彫刻『亀池・蓮池』

信濃川方面へ歩くと、長岡のシンボルである赤い屋根の水道タンクも望める