丸岡城(霞ヶ城)

城/城址

戦国時代の空気を感じさせる北陸で唯一の「現存十二天守」

丸岡城は戦国時代に一向一揆への備えとして築かれた。国の重要文化財である天守は、江戸時代以前に築造された「現存十二天守」のひとつに数えられ、素朴ながらも均整のとれた美しい姿を今なお伝えている。

荒々しい野面積みの石垣の上に築かれた丸岡城。城内へは石垣に設置された階段から直接入る 荒々しい野面積みの石垣の上に築かれた丸岡城。城内へは石垣に設置された階段から直接入る

天守は独立式望楼型、石垣は野面積み

北陸自動車道を丸岡ICで下り、県道17号線を北へ進むと小高い丘の木々の間に丸岡城が見えてくる。丸岡城は1576年(天正4)、織田信長に仕えた柴田勝家が甥の柴田勝豊に築かせた平山城(ひらやまじろ)だ。駐車場からつづら折りの石段を上ると眼前に姿を現す天守と石垣は凜としたたたずまいで、武将たちが覇権を競った時代の空気を感じさせてくれる。高さ約12mの天守は、大きな入母屋造りの屋根の上に望楼部分を載せた造りである。天守の土台となる高さ約6.2mの石垣は、自然石をそのまま積み上げた野面積み(のづらづみ) だ。いずれも戦国時代に多く見られた工法であり、以前は国内最古の天守と考えられていたが、2019年(令和元)の調査により、現在の天守は寛永年間(1624~1644年)に建造されたことがわかっている。

排水性に優れ、大雨にも耐える野面積みの石垣。外壁の出格子の下部に「石落とし」が見える 排水性に優れ、大雨にも耐える野面積みの石垣。外壁の出格子の下部に「石落とし」が見える

そこかしこに敵を迎撃するための仕組み

天守は2層3階の造りになっており、内部を見学可能だ。正面にある石段を上って1階に入ると、精巧なジオラマで五角形の内堀に囲まれたかつての城郭の様子を確認することができる。南北と西の中央の壁には「石落とし」と呼ばれる外に突き出た出窓が見られる。明かりとりだけでなく、石を落としたり、弓を射ったりして攻め込んできた敵を撃退するための仕組みだ。壁には「狹間(さま)」と呼ばれ、外に向けて鉄砲を撃つための小さな穴も開けられている。天守は1948年(昭和23)の福井地震で倒壊したが、70%以上の部材を再利用して修復されたため、床や壁は古びた質感で歴史を感じさせる。上階へ通じる階段はかなりの急勾配だ。2階と3階に上がる階段の傾斜はそれぞれ65度と67度だが、体感としては垂直に感じるほどで、結び目の付いたロープを頼りに上り下りする。

1階にある丸岡城のジオラマ。往時の城郭の様子を確認できる 1階にある丸岡城のジオラマ。往時の城郭の様子を確認できる

2階、3階へとつながる階段は備え付けのロープがなければ上れないほどの急勾配 2階、3階へとつながる階段は備え付けのロープがなければ上れないほどの急勾配

天守の3階部分は約43平方メートルの広さ。天井板はなく、梁がむき出しになっている 天守の3階部分は約43平方メートルの広さ。天井板はなく、梁がむき出しになっている

地元名産の石を加工して屋根瓦に

3階まで上ると四方の窓から市街地の様子やのどかな田園風景を一望でき、この地を治めた武将の気分に浸ることができる。目線を少し下に向けると見える屋根瓦はすべて石で作られたものだ。6000枚のうち2割ほどは、福井市にある足羽山(あすわやま)の山麓で産出する青みがかった美しい凝灰岩「笏谷石(しゃくだにいし)」が使われている。何百年もの風雨や寒さに耐えてきたのは、この石瓦によるところが大きい。ところで、丸岡城は一揆の残党が襲ってきた際、井戸の中から大蛇が現れ、城に霞をかけて危機を救ったという伝説から別名「霞ヶ城(かすみがじょう)」とも呼ばれる。築城400年を記念して隣接地に整備された霞ヶ城公園には約400本の桜が植えられ、「日本のさくら名所100選」に認定されている。毎年春には咲き誇る桜の中に天守が浮かび上がり、霞ヶ城の名にふさわしい、ひときわ美しく幻想的な姿が目を楽しませてくれる。

天守の四方にある出窓から城下の景色を一望できる 天守の四方にある出窓から城下の景色を一望できる

石瓦で葺かれた天守の屋根。天守にかかる重さは120tにもなる 石瓦で葺かれた天守の屋根。天守にかかる重さは120tにもなる

スポット詳細

住所
福井県坂井市丸岡町霞町1-59
電話番号
0776660303
時間
8:30-17:00(最終入場16:30)
休業日
無休
料金
【入城料】
[大人]450円
[小・中学生]150円
駐車場
あり(140台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay、LINE Pay、ALIPAY)
Wi-Fi
あり(Sakai_Free_WiFi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい
備考
[駐車場情報]福井県坂井市丸岡町霞町3-1-3
電話番号:0776-66-0303

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 現存12天守の一つ
    5.0 投稿日 : 2022.06.11
    小松空港から福井駅行きの空港バスに乗り丸岡インターで下車、そこから徒歩20分程度。城址公園になっており城郭は本丸の天守と一部の野ずら積み石垣のみ、櫓や堀などは残っていない。天守は質素な造りではあるが中々味わいのある建築物、急な階段は傾斜67度、石落としも他の城と違った造り、破風部屋や切妻屋根の出部屋。券売所で100名城スタンプを押し下城、帰りは丸岡城始発の路線バスで福井駅まで、約1時間の乗車。
  • 風格があります。
    4.0 投稿日 : 2022.04.02
    現存12天守の一つ。福井駅からバスで行くことができます。約一時間で運賃は670円。階段が急なのでロープの助けを借りて登ります。城はやはり木造が良い。
  • 最古の現存天守だったんだが・・・
    5.0 投稿日 : 2021.12.09
    全国12か所の現存天守で一時は最古(最初に城を築いた柴田勝豊時代)ともいわれていたのが、最近の調査で江戸時代のものとされ、また福井地震で完全に倒壊したものをその部材を使い再建したものが「現存」かどうかという話もあったが、まあ、江戸時代初期の天守が残っているんだから立派なものである。バスで遠くから見ているうちはよかったが、駐車場のあたりから見ると、何か現代の住宅のようなものが写真撮影の邪魔をしている...

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。
          + -
          back
          open

          周辺のスポット

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました