早撰堂

お茶処村上で長く地元に愛される和菓子店

アーチを描いた特徴的な看板は大正時代のデザインを踏襲したもの

村上町屋通りに店を構える和菓子店、早撰堂(そうせんどう)。風情ある外観に誘われ、多くの観光客が訪れている。昔ながらのガラスのショーケースに並ぶのは、どれも手作りの和菓子。四季折々の生菓子は市内の料亭などの飲食店でも使用されており、味は料理人の折り紙付き。どら焼きの皮を薄くして半月形に折り畳んだような「千代華(ちよか)」、小倉餡と抹茶餡の2種類がある最中など、一年を通して店頭に並ぶ定番商品も人気があり、足繁く通う地元のファンも多い。建物は1893年(明治26)に建てられたが、外観だけ2004年(平成16)に大正時代の同店の写真をもとに改装されている。店舗の奥には現在も暮らしている住まいが土間で続き、奥には職人が和菓子を生み出す作業場が。町屋づくりの住まいは、座敷部分まで見学することができる。吹き抜けの高い天井と天窓、「箱階段」と呼ばれる階段とタンスが一体となった家具など、村上の町屋の特徴が見てとれる。

季節を感じさせる色彩豊かな生菓子。常時3～4種類が並ぶ