九谷焼窯跡展示館

美術館

3つの文化財を手がかりに、九谷焼の系譜をたどる

1826年(文政9)から1940年(昭和15)まで九谷焼を生産していた国指定史跡の登り窯跡を公開。作り手側の視点から、今日まで続く九谷焼という磁器の歴史や魅力に迫る。ロマンあふれる展示が見もの。

山代温泉古総湯から徒歩で約10分。作品鑑賞の場である美術館とは、ひと味違った展示がおもしろい} 山代温泉古総湯から徒歩で約10分。作品鑑賞の場である美術館とは、ひと味違った展示がおもしろい

九谷焼を再興した吉田屋窯の窯跡

現在の九谷窯跡展示館の敷地に、かつて九谷焼の再興を目指した吉田屋窯があったとわかったのは平成に入ってからのこと。調査の結果、吉田屋窯が閉じたあとも製作の場として受け継がれ、飯田屋風、永楽風など九谷焼を代表する作風・様式がこの窯で培われたことも判明。吉田屋窯跡は古九谷以降の歴史をつなぐ重要な埋蔵文化財として、国指定史跡となった。同展示館では、吉田屋窯跡をはじめ、1940年(昭和15))に造られ1965年(昭和40)まで稼働していた九谷焼としては現存最古の登り窯、窯元の工房兼経営者の住居だった木造建築も含めた計3つの文化財を軸に、「作る」という視点で展示や解説を行っている。伝統を守り続けた人々の思いや技術、時代背景を知れば、九谷焼をより深く理解できる。

吉田屋窯登り窯跡。この場所で吉田屋をはじめ歴代の経営者が多彩な作風の九谷焼が生み出した} 吉田屋窯登り窯跡。この場所で吉田屋をはじめ歴代の経営者が多彩な作風の九谷焼が生み出した

国指定史跡 九谷磁器窯跡

江戸前期の1655年(明暦元)、大聖寺藩の九谷村で誕生し、わずか50年ほどで突如生産を終了した九谷焼。約120年後の江戸後期、大聖寺藩の豪商、4代目豊田伝右衛門(とよだでんえもん)がかつての九谷焼=古九谷を復活させようと巨額の私財を投じ九谷村に窯を開く。彼の屋号にちなみ吉田屋窯と呼ばれたこの窯が、1826年(文政9)、移転したのが現在の九谷窯跡展示館の地だ。以降110年以上、伝右衛門の窯は名を変えて受け継がれたことから、史跡の名称は吉田屋窯跡ではなく「九谷焼磁器窯跡」となっている。

登り窯としては小規模だが、一度に1000個の器を焼くことができたという} 登り窯としては小規模だが、一度に1000個の器を焼くことができたという

加賀市指定文化財 山代九谷焼磁器焼成窯及び窯道具類

1940年(昭和15)、日本が太平洋戦争に向かい、大きな窯を維持するのが難しくなったことから造られた登り窯で、九谷焼の窯としては現存する最古のものだ。明治期この地で作られていた元禄時代の伊万里焼の写し、いわゆる大聖寺伊万里の素地を供給する役割も担っていたもので、登り窯の構造や焼成の仕組みを理解するにも最適。2007年(平成19)に復元された薪を燃料として上絵の具を焼き付ける錦窯も展示されており、こちらは年に1~2回実際に使用されている。

ろくろが置かれた作業スペース。伝統工芸士が常駐し、現在も製作を行っている} ろくろが置かれた作業スペース。伝統工芸士が常駐し、現在も製作を行っている

加賀市指定文化財 旧九谷壽楽窯母屋兼工房

1900年(明治33)に現在地へ移築された九谷焼窯元の住居兼工房として使用される木造建築を解体修復し、公開。移築当時、すでに100年は経過していたと考えられ、およそ200年以上前の民家として貴重なことから、加賀市の文化財に指定されている。入口付近は土間の作業スペースで、現在もろくろが置かれており、電動ろくろや足で蹴って回すろくろを使用した「ろくろ水挽き体験」ができる。旧居住空間を改装した展示コーナーでは、九谷焼の歴史や制作工程をパネルで解説。世界最大の放射線発生装置で成分組成を検出し、九谷古窯製と識別された本物の古九谷「九谷古窯製伝世古九谷」も必見だ。多くの職人がここで技術を磨き、工夫を重ね、額に汗してきた姿に思いを馳せてみよう。

青手塗埋、色絵五彩手、金襴手(きんらんで)、赤絵細描など基本的な九谷焼の様式を紹介。バラエティの豊かさに驚く} 青手塗埋、色絵五彩手、金襴手(きんらんで)、赤絵細描など基本的な九谷焼の様式を紹介。バラエティの豊かさに驚く

プロと同じ道具と絵の具を使う絵付け体験コーナー。かつて職人たちが仕事をした建物で、ひと時陶工気分を味わえる} プロと同じ道具と絵の具を使う絵付け体験コーナー。かつて職人たちが仕事をした建物で、ひと時陶工気分を味わえる

スポット詳細

住所
石川県加賀市山代温泉19-101-9 map map 地図
電話番号
0761770020
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
火(祝の場合は開館)
料金
【入館料】
[一般]350円
[一般(団体20名以上)]290円
[75歳以上]170円
[高校生以下]無料
駐車場
あり 30台
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、PayPay、LINE Pay、d払い、ALIPAY)
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分(体験の場合60-120分)
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 窯跡をそのまま保存している興味深い展示館
    4.0 投稿日 : 2022.08.30
    窯跡を発掘した後を、そのまま覆う形で建物が建てられており、当時の登り窯がどのようになっていたのかを実際に見て感じる事ができました。通常、窯跡の遺跡は調査後埋め戻されるのが普通で、こういう形で見学できるところは初めておとづれました。
  • 登り窯一見の価値あり
    4.0 投稿日 : 2022.07.11
    吉田屋窯の跡(国指定史跡)を、発掘された状態のまま公開しています。 施設内には、昭和15年に作られた九谷焼としては現存最古の登り窯(加賀市指定文化財)と、九谷焼窯元の住居兼工房として使われた古民家(加賀市指定文化財)があり、現在は展示棟として使用されています...
  • お土産屋としても、好適
    4.0 投稿日 : 2019.07.14
    展示館の体験コース、見学コースと隣接する九谷焼のお土産さんがあって時間の関係で御茶碗と急須ののお土産のみ購入しました。値段の割に高品質で愛用しています。

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました