興喜天満神社

神社

天照大神が初めて降臨した地に、今も息づく自然信仰

近鉄大阪線「長谷寺(はせでら)駅」から徒歩20分、長谷寺に向かう道中にある日本最古の天神信仰の社。入試合格や学業成就、子育てにご利益があることで知られ、多くの参拝者が訪れる。

現在の本殿は1818年(文政元)の再建。桜井市指定文化財に指定されている} 現在の本殿は1818年(文政元)の再建。桜井市指定文化財に指定されている

百数十段に及ぶ階段を上った先にある本殿

古い町並みを残す長谷寺門前町から山のほうに進むと朱色の橋が見えてくる。長谷寺の僧が與喜天満神社(よきてんまんじんじゃ)の連歌会のためにこの橋を渡ったことで、「連歌橋」と名付けられた。鳥居をくぐって階段を上り、常緑樹の森がかなり深くなっても本殿はなかなか見えてこない。途中に、與喜寺の跡地を示す石碑が立っている。さらに「夫婦杉」と名付けられた2本の巨木の間を抜けて階段を進むと、ようやく本殿が見えてくる。橋から本殿まで約8分、階段は百数十段に及ぶ。三層の石垣の上に垣根がめぐらされており、そのなかに本殿、瀧蔵権現三社(たきくらごんげんさんしゃ)、白太夫社(しらだゆうしゃ)、櫻葉社(さくらばしゃ)が鎮座している。現在の本殿は、長谷寺の僧が1818年(文化15)に再建したものだそうだ。まさに長谷寺と関係が深い神社であることがわかる。

初瀬川に架かる連歌橋。かつて與喜天満神社で開催された連歌会の参加者が渡った} 初瀬川に架かる連歌橋。かつて與喜天満神社で開催された連歌会の参加者が渡った

朱色の鳥居の先にある長い石段は「良き段」と呼ばれている} 朱色の鳥居の先にある長い石段は「良き段」と呼ばれている

この場所に立っていた與喜寺の本堂は1876年(明治9)、火事により焼失した} この場所に立っていた與喜寺の本堂は1876年(明治9)、火事により焼失した

学問の神様・菅原道真公を祀る

與喜天満神社の由緒は946年(天慶9)9月にさかのぼる。初瀬の里に住む修行者、神殿太夫武磨(こうどのたゆうたけまろ)は夢のなかで見た翁が家の前の石に座っているのを見かける。その後、長谷寺に向かう翁のあとを付いていき、十一面観音、瀧蔵権現三社を詣でた。すると翁は黒雲に包まれ、気がつけば立派な衣冠装束姿に変化。その翁は「私は右大臣正二位天満神社菅原道真」と名乗り、「私はこの良き山に神となって鎮座しよう」と語って言葉のとおり鎮座した。「與喜」という社号は、菅原道真の「良き」という言葉に由来し、948年(天暦2)7月に創建された。主祭神はもちろん、学問の神様・菅原道真公だ。與喜天満神社は入試合格、学業成就、子育てに霊験あらたかだといわれている。

道の両サイドにそびえ立つ夫婦杉。右が男で、左が女を表すとされる} 道の両サイドにそびえ立つ夫婦杉。右が男で、左が女を表すとされる

自然を崇拝する古代信仰が残る地

與喜天満神社の背には、原始林「天然記念物与喜山暖帯林(よきやまだんたいりん)」で覆われた與喜山がそびえている。與喜山は、古くから「最初に太陽が昇る神聖な山」として崇められ、天照大神(あまてらすおおみかみ)が初めて天上から降臨したされた地とされている。現在の與喜天満神社の本殿左にある磐座(鵝形石)は、「天の岩戸」を表す岩のひとつで、天照大神の象徴だ。まさに古代のままの信仰の形が與喜天満神社には残っている。そのほか、現在の與喜山の山中には数多くの岩石が見られ、かつてこれらを磐座(神が宿る岩)として山の神を祀っていたとのこと。ちなみに、天照大神は女性の守護神として信仰されている。そのことから、與喜山は女性神の信仰の霊地として知られている。

磐座(いわくら)のひとつにあたる鵝形石(がぎょういし)。鵝形石、掌石(たなごころいし)、沓形石(くつがたいし)の3つの岩で「天の岩戸」を表す} 磐座(いわくら)のひとつにあたる鵝形石(がぎょういし)。鵝形石、掌石(たなごころいし)、沓形石(くつがたいし)の3つの岩で「天の岩戸」を表す

男女岩という大小の石をなでながら願い事をすると、縁結びや夫婦円満にご利益があるとされている} 男女岩という大小の石をなでながら願い事をすると、縁結びや夫婦円満にご利益があるとされている

拝殿を中心として、左右に8基の石灯籠が立っている。かつては左手に、式内社の鍋倉(なえくら)神社に捧げられた2基の石灯籠が立っていた} 拝殿を中心として、左右に8基の石灯籠が立っている。かつては左手に、式内社の鍋倉(なえくら)神社に捧げられた2基の石灯籠が立っていた

お参りのあとは、長谷寺門前町で買い物を

與喜天満神社は長谷寺への参拝者が立ち寄る観光スポット。しかし、階段が続き、奥深いことから、人が少なくひっそりとした雰囲気がある。奥に進めば進むほど、緑が深くなり、辺りは巨木に覆われる。豊かな自然を尊く感じられ、神聖な気持ちになれる場所だ。日々の喧騒を忘れて、ゆっくり時間をかけて参拝したい。参拝後は、古い町並みが残る長谷寺門前町に立ち寄るとよいだろう。長谷寺名物の草福餅、さばや鮭を包んだ柿の葉すし、三輪そうめんを使ったにゅうめんなど、おいしい飲食スポットが充実している。桜井市には桜と紅葉の名所である「談山(たんざん)神社」や日本一の文殊菩薩(国宝)を祀る「安倍文殊院」など、見どころがたくさんあるので、一日かけてゆっくり巡りたい。

スポット詳細

住所
奈良県桜井市初瀬14 map map 地図
クレジットカード
不可
備考
[社務所]奈良県桜井市初瀬14
[神社]奈良県桜井市初瀬1

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

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