鬼の雪隠
終末期古墳の石棺が、鬼の伝承と一体化したものか
「この周辺は霧ヶ峰と呼ばれ、鬼が住み、通行人に霧を降らせ迷ったところをとらえて、爼の上で料理し、雪隠(トイレ)で用を足した」。そんな伝承がある「鬼の俎」「鬼の雪隠」は道を挟んで並んでいる。伝承を聞くと山奥のように感じるが、近鉄飛鳥駅からも1km程度。ただ「峰」と呼ばれるだけに、急な坂道がある農道を通るため、自転車で訪れるなら電動をおすすめする。
鬼の俎の正体は、終末期古墳(7世紀後半)の石室の石槨(せっかく)、鬼の雪隠の正体は石槨の蓋石だ。鬼の俎は、農道脇の階段を上がった竹藪に囲まれた場所にあり、鬼の雪隠はどうしたわけか、ひっくり返った状態で農道の下にある。
3m近い巨石をくりぬかせ、蓋にさせるほどの権力をもつ被葬者は、高貴な人物だったはずだ。それがトイレにされるとはと苦笑する一方で、これに見合うほどの大きな鬼を想像した、昔の人々の未知のものへの恐怖心も感じられる史跡となっている。
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情報提供: ナビタイムジャパン