不退寺

寺院

伊勢物語の主人公、歌人・在原業平ゆかりの寺

奈良市の市街地にあるとは思えないほど静かで、自然にあふれた不退寺(ふたいじ)。平安時代の歌人・在原業平(ありわらのなりひら)が住み、その屋敷跡が寺院になった。在原業平自身が造ったとされる「聖観音菩薩立像」が祀られている。

住宅街を抜けるとひっそりとたたずむ門が見えてくる} 住宅街を抜けるとひっそりとたたずむ門が見えてくる

アクセスのよい市街地にある静けさに包まれた空間

不退寺は、奈良市の法蓮町という市街地に位置している。近鉄新大宮駅からは歩いて15分ほど。JR奈良駅または近鉄奈良駅からもバスがあり、「一条高校前(不退寺口)」で降りれば歩いて5分ほど。門前に無料の駐車場があるので車でのアクセスに便利だ。鎌倉建築の南門は重要文化財に指定されている。その先に本堂が見えるが、右側には放生池が広がり、境内にはツバキ、ハギ、レンギョウ、ユキヤナギ、モミジ、キショウブ、スイレンなど四季折々の500種以上の草花が生い茂る。春は満開のレンギョウ、夏は深緑、秋は紅葉が楽しめる静かなお寺。春にはウグイス、カワセミといった野鳥も訪れる。大型観光バスが入れないためか、団体客は少なく、静かで雅な平安空間を楽しめる数少ないお寺だ。

不退寺の本堂。鎌倉時代後期の建物で、中に本尊・聖観音菩薩立像が祀られている} 不退寺の本堂。鎌倉時代後期の建物で、中に本尊・聖観音菩薩立像が祀られている

放生池に架かる業平橋はまるで絵画のような美しさ} 放生池に架かる業平橋はまるで絵画のような美しさ

業平が父の供養のために建てた、通称「業平寺」

平安時代、この場所に住んだ歌人の在原業平は、亡くなった父の菩提を弔うため、邸宅を寺院に改めたという。そのため「業平寺」とも呼ばれる。不退寺の本尊・聖観音菩薩立像(重要文化財)は在原業平が自ら作ったと伝わる。平安時代初期のもので、幅の広いリボンを大きく蝶結びにしたような飾りが頭の左右に施されたかわいらしい仏像だ。「五大明王像」も重要文化財に指定されており、五体すべて現存しているのは、奈良では不退寺のみ。ほかにも、欄間(らんま)には寺院には珍しい菱形の格子が使われていて、在原業平が好んだ着物の柄と同じことから「業平格子」と呼ばれる。本堂は高床式で湿気が少なく、夏でも涼しいが、これは周囲の環境が自然豊かなことも影響している。

多宝塔。上層と相輪は失われており、初層のみ残る} 多宝塔。上層と相輪は失われており、初層のみ残る

重要な文化財を有する不退寺

多宝塔にはかつて快慶(かいけい)作の千体地蔵が安置されていたという。昔は檜皮(ひわだ)葺きでこの上にもう一層載っていたのだが、現在は初層のみで瓦葺きになっている。鎌倉時代中期に建築された不退寺最古の建造物で、毎年5月28日の業平忌のみ開扉している。

近くの平塚古墳から出土した石棺。長さ2.7mで舟のような形をしている} 近くの平塚古墳から出土した石棺。長さ2.7mで舟のような形をしている

庫裏(くり)の中庭に置かれているのは、古墳から出土した石棺で、置かれた石棺は、古墳から出土した5世紀頃のものと推定されている。長さ2.7m、幅1.04-1.15mで、舟形割竹くり貫きの式。不退寺西側に築造されていた平塚古墳から幕末に出土したものだそうだ。不退寺周辺にはウワナベ古墳やコナベ古墳など、大小の古墳が点在している。しかし、お寺の境内に古墳の出土品が置かれているのはなかなか珍しい光景だ。

仏様ごとの御朱印と厄除け札

本尊である聖観音菩薩の御朱印には、「平城天皇元萱御所」と聖観音菩薩を表す梵字の印が押されている。厄除けのお札には、比叡山の高僧・元三大師の化身「角大師」が押印されている。元三大師は「おみくじ」の考案者。このお札は関西地区、とりわけ比叡山周辺の京都や大津の民家の軒先に魔除けとしてよく貼られている。

聖観音菩薩の御朱印と、五大明王のひとり大威徳明王の挿絵が入った「ぼさつの寺めぐり」の挿絵入り御朱印} 聖観音菩薩の御朱印と、五大明王のひとり大威徳明王の挿絵が入った「ぼさつの寺めぐり」の挿絵入り御朱印

角大師のお札。厄除けのお守りとして知られている} 角大師のお札。厄除けのお守りとして知られている

不退寺から歩いて巡ることができる範囲には、法華寺や海龍王寺といった古刹・名刹がある。そのすぐ隣には平城宮跡があり、復元された朱雀門や太極殿がそびえ立っている。西方面に行けば西大寺、東方面は奈良公園を中心とした東大寺、春日大社エリアである古都・奈良の中心部にもほど近い。

在原業平の和歌「おほかたは月をもめでじこれぞこの つもれば人の老いとなるもの」が記された歌碑} 在原業平の和歌「おほかたは月をもめでじこれぞこの つもれば人の老いとなるもの」が記された歌碑

スポット詳細

住所
奈良県奈良市法蓮町517 map map 地図
電話番号
0742225278
時間
9:00-17:00
休業日
年中無休
料金
【拝観料】
[大人]500円
[中・高生]300円
[小学生]200円
※特別展は別料金
駐車場
あり(8台)
※5/28業平忌、紅葉が見頃の期間は駐車をご遠慮していただくことがあります。
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり(希望者にパンフレットあり)
滞在目安時間
0-30分
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
台風などの場合は閉門する可能性あり
備考
※拝観時間につきましてはコロナ対策として変更、又は拝観中止などの場合もございます。

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 在原業平所縁の寺院です
    3.0 投稿日 : 2021.12.19
    堂塔は然程、見るべきものもありませんでした。花については季節毎に、椿とか紅葉とか、睡蓮などの見所もありますが・・・。参拝目的はこの寺院が保有している在原業平朝臣の画、業平の邸宅跡が現在の京都御池通のある企業の場所にあったと云うことで、京都との関連等を考慮、わざわざ拝観に来ました。正式名は不退転法輪寺、本尊は業平作と伝承されている聖観音菩薩像。
  • 《佐保路三観音》を訪問するのであれば こちらを一番最初に訪問することをお薦めします
    3.0 投稿日 : 2021.04.07
    《佐保路三観音(法華寺、海龍王寺、不退寺)》が同時に特別公開されている期間の一日として 3月27日訪問しました。 こちらの本堂に 本尊《聖観世音菩薩立像 像高:1m90cm...
  • うらぶれ感が最高
    5.0 投稿日 : 2019.11.02
    境内は広くは無く、建物も金堂と1階だけの多宝塔ぐらいしかありません。ただし、躍動感のある仏像と古池の紅葉はよかったです。また、天然の森があるので、わびさびを感じることができました。佐保路一押しのお寺です。

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アクセス

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