カナカナ

いつでもおいしいご飯を味わえる町家のカフェで、ゆるりと過ごす

趣のある町家の立ち並ぶ「ならまち」。歴史ある老舗と、店主のこだわりの詰まったカフェやショップが融合するおしゃれなまちで、ひと際人気を集めるカフェが「カナカナ」だ。

どっしりとした町家。美しい格子にも注目してほしい

ならまちは、近鉄奈良駅のすぐそばに位置しながらも、どこか落ち着いた風情を感じられるエリア。昔ながらの町家がずらりと並び、ゆるりと歩いてみれば、昔どこかで出合ったような懐かしい風情を感じられる。ならまちには、その町並みに溶け込むように存在する、店主こだわりのカフェやショップが点在。気になるスポットに立ち寄りながら、町歩きを楽しむのがおすすめだ。細い路地や抜け道も多く、どこにつながるのかとわくわくしながら散策するのも楽しい。そんなならまちで、いつでもゆったりとした時間を過ごせると人気を集めるのが「カナカナ」だ。町家の趣はそのままに、訪れた人が自分のペースでここちよく過ごせる工夫が施されたカフェは、どんな人でも受け入れてくれるような懐の深さを感じさせる。

土間もそのまま生かしている。椅子テーブル席と畳の席があるので、気分にあわせて選ぼう

「カナカナ」がオープンしたのは、今からおよそ20年前の2001年(平成13)のこと。会社員であった店主が、御縁があって店を開くことになったのが、ならまちの歴史ある町家であった。もともとはスイーツとドリンクが中心で、食事メニューはカレーを提供する程度であったが、のちに、ランチタイムのみならず一日中いつでも注文できる「カナカナごはん」が登場。いつでも味わえる安心感と、野菜を中心としたヘルシーな味わいで、一躍看板メニューとなった。この「カナカナごはん」のスタイルには、「時間やタイミングに縛られず、訪れる人に自由なカフェの使い方をしてほしい」との想いが込められている。朝からスイーツを食べてもいいし、ランチを必ずしも12時に食べなくてもよい……。「カナカナ」には、そんな風に、訪れる人の感性や想いを肯定してくれるような、懐の深さを感じられる。ちなみに、響きがかわいらしい店名の「カナカナ」とは、ヒグラシの鳴き声にちなんだものなのだとか。

広々とした座敷は町家ならではの奥行きを感じさせる

「カナカナごはん」は、毎月内容が変わる和食を中心とした、素朴だけどもさりげなく手の込んだおかずと、ご飯、味噌汁がセットになった定食だ。食後にはコーヒーか紅茶が付いてくる。奈良で作られた食材を用いながら、バランスのよいおかずになるよう心がけている。メニューは季節によって体が喜ぶものを取り入れ、たとえば暑い夏には食べやすい酸っぱいものを、冬にはぽかぽかと温かくなるものをと、旬の食材も取り入れながら、そのときどきでおすすめのメニューを提供。「カナカナごはん」をいただけば、ちょっとだけ体によいことをした気分になる。「カナカナ」ではプリンやチーズケーキなどのスイーツも人気。時間に縛られず、ゆったりとした心地のよいひとときを過ごしてみてはいかが。

玄関を入ってすぐに土間が広がる。町家らしい風景だ