池田含香堂

お土産

170年余りの歴史を誇る、日本で唯一の奈良団扇専門店

繊細な透かし彫りに、驚くほどの軽さ。手にとって扇げばなんとも軽やかな風が起こる奈良団扇。かつては多く存在した奈良団扇の専門店だが、現在では「池田含香堂(いけだがんこうどう)」のみがその伝統を受け継ぐ。

美しい透かし彫りが施された奈良団扇がずらりと並ぶ} 美しい透かし彫りが施された奈良団扇がずらりと並ぶ

6代続く奈良団扇の老舗

池田含香堂の始まりは、およそ170年前の江戸時代後期。初代主人の頃から数えて、現在は6代目にあたる。東大寺や春日大社など、名だたる社寺からの信頼を集める、唯一の奈良団扇専門店だ。実は、「奈良団扇」という伝統工芸の枠だけでなく、昔ながらの団扇を手がける店としても、池田含香堂は今や奈良県唯一の存在だという。奈良団扇の歴史は古く、春日大社の神官によって1300年前に日本で初めて作られた「禰宜(ねぎ)うちわ」を基として生み出されたことに始まる。もともとは神官の手内職として、柿渋を表面に塗った実用的で丈夫な渋団扇(しぶうちわ)が作られてきたが、江戸時代中期になると、現在の奈良団扇の特徴である「透し彫り」が施された団扇へと進化してきたという。

三条通沿いに位置する。団扇の扇子の看板が目印だ} 三条通沿いに位置する。団扇の扇子の看板が目印だ

繊細な細工と薄くて細い竹骨

池田含香堂はこうした奈良団扇の伝統を受け継ぐ工房だが、なんと紙の色染めから仕上げまで、団扇に関わる全13の工程をすべて家内工業で行っており、現在は6代目主人・池田匡志(いけだただし)氏と伝統工芸士である母親の俊美(としみ)氏の2人で仕上げるという。奈良団扇の特徴は、まずなんといっても芸術的なその透かし彫りだ。この繊細な彫りはすべて手作業で行う。紙を20枚重ねて1cmほどの束にし、小刀を匠に使い、「突彫り(つきぼり)」と呼ばれる技法で一気に彫っていく。細かな細工をずれないように彫っていくことは非常に難しく、経験を積んだ職人だからこそなせる技だといえる。奈良団扇のもう1つの特徴は、その骨組みが非常に細かいこと。一般的な団扇の骨数は30本程度のところ、奈良団扇はその倍以上にあたる70本ほどの骨数がある。骨は非常に薄く細く削ってあるので、骨数が多いにもかかわらず、驚くほど軽い。こうした特徴により、しなりがよく、軽やかな風を起こすことができるのだという。

団扇と扇子の並ぶ店内。明るくて初めてでも入りやすい雰囲気} 団扇と扇子の並ぶ店内。明るくて初めてでも入りやすい雰囲気

年間を通して行われる団扇づくり

団扇と聞くと夏が忙しいように思うが、実は団扇づくりは年間を通してそれぞれの工程がある。春から7月いっぱいまでは団扇の面を貼り合わせる作業、秋冬には紙を染め、その後、竹を削って骨を作る工程へ。さらには、透かし彫りの作業にかかる。そして春になると再び貼りの作業へ。団扇づくりは季節とともに工程が進んでいく、まさに年間を通じてのものづくりなのだ。13もの工程は、いずれも技術が必要だが、団扇の面を貼る工程は特に難しい。飾り彫りが施された紙を叩くようにして糊を付け、その上に竹骨を置く。さらにその上に反対側の面となる紙を重ねる。この時、絵柄がずれないように慎重に重ねなければならないが、紙が伸びないよう水分が少ない独自の糊を使用しているため、糊が乾かないうちに素早く作業を終えなければならない。時間との勝負だ。透かし彫りの細工が細かければ細かいほど、その難易度は上がるのだという。

かわいらしい鹿と桜が描かれた「並鹿」鹿と桜2200円。繊細な骨組みに注目} かわいらしい鹿と桜が描かれた「並鹿」鹿と桜2200円。繊細な骨組みに注目

「並鹿」鹿と五重塔2200円。デフォルメされた五重塔が愛らしい} 「並鹿」鹿と五重塔2200円。デフォルメされた五重塔が愛らしい

好みにあわせてシリーズを選ぼう

こうして完成した池田含香堂の団扇は、どれも繊細で美しい。細工が芸術的なので思わず飾っておきたくなるが、実際に扇いで使ってこそ、奈良団扇のよさを感じることができる。池田含香堂ではその細工の違いによって、「並鹿」「新鹿」「中鹿」とシリーズが分かれている。「並鹿」はポップなデザインで、カジュアルに奈良団扇を楽しみたい人におすすめ。「新鹿」は鹿と奈良の風景がていねいに描かれており、上品な雰囲気を求める人にぴったりだ。さらに凝ったデザインを求める人は「中鹿」を手にしよう。

左/「新鹿」鹿と春日釣提灯2420円、右上/「中鹿」鹿と紅葉2640円、右下/「中鹿」三笠山2640円} 左/「新鹿」鹿と春日釣提灯2420円、右上/「中鹿」鹿と紅葉2640円、右下/「中鹿」三笠山2640円

「とにかく透かし彫りの美しさを堪能したい」という人には、「樹下鹿草花」がおすすめだ。バランスを見ながら左右対称に彫っていく、職人の技術のすばらしさを感じられる逸品となっている。予約制だが、奈良団扇作り体験のワークショップも実施しているので、ものづくりに興味のある人はぜひ体験してみてはいかが。

「樹下鹿草花」各6600円。団扇の柄は熊野筆と同じものを使っているので、手によくなじむ} 「樹下鹿草花」各6600円。団扇の柄は熊野筆と同じものを使っているので、手によくなじむ

華やかな奈良扇子も手がけている} 華やかな奈良扇子も手がけている

スポット詳細

住所
奈良県奈良市角振町16(三条通り) map map 地図
電話番号
0742223690
時間
9:00-18:30
休業日
[9月-3月]月
[4月-8月]無休
駐車場
なし
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club、その他)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、au WALLET、Apple Pay、Google Pay、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルPAY、d払い、auPAY、ALIPAY)
Wi-Fi
あり(aterm-4a5fd1-a)
コンセント口
あり(2口)
喫煙
不可
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 珍しい奈良扇子のお店です
    4.0 投稿日 : 2018.02.24
    三条通り沿いにある「池田含香堂」は、奈良の伝統工芸「奈良扇子」の専門店です。初めて「奈良扇子」を拝見しましたが、柄がとても綺麗☆軽いのでお土産にも良いですね♪
  • 奈良うちわと奈良扇子の老舗
    3.0 投稿日 : 2017.02.11
    三条通りにある、奈良うちわと奈良扇子の老舗。奈良うちわ、は透かしのあるうちわで、形も天平の時代をほうふつさせます。ショーウインドウには、隣の人間国宝さん、のステッカーも飾られています。
  • 超---貴重な体験!!
    5.0 投稿日 : 2015.11.27
    奈良県の伝統的工芸品に指定されている「奈良団扇」づくりを見学/体験することのできる唯一の場所です。「奈良団扇」は、”透し彫り”の施された大変美しい団扇で、その仕上がりの繊細さには、長い伝統を守って来られた職人の方々の「気概(見る人を惹きつける力)」を感じました。それほどに「とてもスゴイ団扇」なのですが、丁寧に且つ分かり易くその作り方を教えて下さるので、楽しく体験ができました。作った団扇が自宅...

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アクセス

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最寄り

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