大雄山最乗寺

寺院

天狗伝説も伝わる箱根外輪山の山裾に立つ名刹

箱根外輪山のひとつに数えられる明神ケ岳の麓、南足柄市大雄町の深い森のなかに立つ曹洞宗の名刹。天狗がこの寺の開山を手助けしたという伝説が残り、境内にはさまざま天狗の像、天狗の履物とされた下駄が並ぶ。

1954年(昭和29)再建の本堂。本尊は釈迦牟尼仏。脇侍に文殊・普賢両菩薩を祀る} 1954年(昭和29)再建の本堂。本尊は釈迦牟尼仏。脇侍に文殊・普賢両菩薩を祀る

広い境内におよそ17万本の杉が立つ

南足柄市に立つ大雄山最乗寺は、1394年(応永元)3月10日の開山と伝えられる、600年を超える歴史をもつ曹洞宗の名刹で、全国には4000を超える門流をもっている。寺は箱根外輪山のひとつに数えられる明神が岳の北東寄りの山裾に立ち、東京ドーム27個分という広い境内には、およそ17万本もの見上げるような杉が立っている。そのような立地にあることから、寺の立つ一帯には森閑とした雰囲気が漂い、山門近くの参道沿いに数軒の茶屋が並んでいるものの、その構えはどれもつつましやかで、俗化とは無縁の面持ちを見せている。木立の間を流れる風は夏でも冷たく、訪れた者の心を洗い清めてくれるかのようで、そんな優れた自然環境もこの寺の魅力となっている。

金剛製の一対の天狗像に守られた結界門。1897年(明治30)の建立} 金剛製の一対の天狗像に守られた結界門。1897年(明治30)の建立

創建に尽力した僧にちなむ天狗伝説

最乗寺はまた、道了尊、あるいは「どうりょうさん」という名でも呼ばれている。この寺の創建者である了庵慧明禅師は出家ののち、鎌倉、京都、能登などで修行を重ねたあと、生まれ故郷の伊勢原に近いこの地に寺を開いたが、能登時代からの弟子で寺の創建にも尽力した相模坊道了という僧が、了庵慧明禅師の死と同時に天狗に姿を変えて山中に身を隠したという伝説から、最乗寺は天狗を祀る寺となった。今でも境内にはいくつもの天狗の像が立ち、天狗の履き物とされる巨大な高下駄が並んでいる。また、境内には30を超える堂塔が立ち、南足柄市の重要文化財に指定されている多宝塔や、昭和を代表する仏教建築家であった伊藤忠太が設計した本堂など貴重な歴史遺産も数多い。

奉納された下駄が並ぶ境内。左右一対を奉納し、夫婦和合を願う人も多かった} 奉納された下駄が並ぶ境内。左右一対を奉納し、夫婦和合を願う人も多かった

今も僧侶の修行の場となっている寺

最乗寺は僧の修行の場としても知られ、僧堂、すなわち僧侶が修行に励む場も設けられている。山内を歩くと修行僧を目にすることも多い。この環境を生かす形で月に2回座禅会が催されているほか、希望者には「参篭」と称する宿泊、精進料理による昼食の提供も行われている。ただし、昨今の社会情勢を踏まえ、行事が中止されることもあるので事前に確認しておきたい。このほかにも法話、写経といった研修プログラムも用意され、体験を通じて仏教の知識を深めることができる。もちろん、新年大祈祷、節分豆まき祭、除夜の鐘などの年中行事が行われ、さらに正月、5月、9月には大祭が行われる。その月ごとに趣向を凝らした催しが行われ、各月の27、28日は、多くの参拝者で賑わいをみせている。

若い僧たちが行き来する渡り廊下には塵ひとつなく、凛として美しい} 若い僧たちが行き来する渡り廊下には塵ひとつなく、凛として美しい

箱根外輪山方面へのハイキングコースも延びる

最乗寺へは、小田原から伊豆箱根鉄道大雄山線の電車に乗って、終点の大雄山駅で下車。さらに道了尊行きのバスに乗車して10分で到着できる。車利用であれば、東名高速道大井松田ICからおよそ30分の道のりだ。山裾にある寺だけに、境内が起伏に富んでいることが特徴で、境内の最高所に立つ奥の院までは708段の石段があるので、参拝には歩きやすい靴を用意しておきたい。また、境内の裏手から明星が岳方面へのハイキングコースも延びているので、これをたどって山頂、あるいはさらに足を延ばして金時山や、尾根の反対側にある宮城野方面に向かうこともできる。宮城野からは箱根登山鉄道の強羅駅や、宮ノ下駅、小田原駅に行くバスに乗車できる。

奥の院へと続く階段の脇にも天狗像が祀られている} 奥の院へと続く階段の脇にも天狗像が祀られている

スポット詳細

住所
神奈川県南足柄市大雄町1157 map map 地図
電話番号
0465743121
時間
[寺務所]6:00-16:00
[お守り売り場]9:00-16:00
休業日
無休
料金
[参拝]無料
駐車場
あり(250台)
クレジットカード
不可
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 絶対スニーカーを履いてね!!
    4.0 投稿日 : 2022.03.29
    階段が沢山あるので上まで登るのに結構大変でした・・・・最乗寺参拝と森林浴を同時に出来るのでちょっとしたトレッキングみたいになりますよ。参拝する場所が点々としてるのでゆっくりとまわってみて下さいね!!
  • 天狗の力が宿るところ(Tengu no chikara ga yadoru tokoro)♪ Donde mora el poder del tengu ♪ Where the power of the tengu dwells ♪
    4.0 投稿日 : 2022.02.28
    神奈川県南足柄市にある開創以来600年の歴史をもつ曹洞宗の寺院です。開山は了庵慧明禅師、大雄山最乗寺の守護道了大薩埵は、大雄山開創に当り空を飛んで、了庵禅師のもとに参じ、土木の業に従事、約1年にしてこの大事業を完遂したそうです。なお、了庵慧明禅師が没すると、道了は寺の守護と衆生救済を誓い、天狗に姿を変じて昇天したと伝わります。境内には道了さん天狗化身像があります...
  • 静謐な空気が漂う
    4.0 投稿日 : 2021.05.27
    大雄山駅からバスで10分。1401年創建の曹洞宗の寺院。本尊は釈迦牟尼仏。苔むした杉の大木が聳え、石碑が立ち並ぶ参道。古くはないが荘厳な造りの堂宇。境内は広く静謐な空気が漂っている。本堂(1954年再建)の中も拝観可能。欄間には彫刻が施され、内陣には巨大な木魚が置かれている。天狗伝説のある寺院で様々な大きさの高下駄が奉納されており、最も大きいものは総重量1000貫(3.8トン)!。寺紋も天狗が持...

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アクセス

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