なまこ壁通り

通り

松崎の風情を代表するなまこ壁。伝承される漆喰の技に触れよう

伊豆では松崎町と下田市、全国的には岡山県倉敷市や広島県東広島市などで見られ、全国でも希少となったなまこ壁の建造物。ここ松崎町には209棟余りが現存し(2002年調査)、失われつつある日本の原風景に触れることができる。

町内でもなまこ壁が長く続く「松崎なまこ壁通り」} 町内でもなまこ壁が長く続く「松崎なまこ壁通り」

白と黒のコントラストが美しいなまこ壁

外灯や橋、町を歩くとそこかしこに見られるなまこ壁。ここ松崎は全国でも有数のなまこ壁が残る町だ。江戸時代以降各地で盛んに造られるようになったなまこ壁は、おもに母屋や土蔵に施され、人々の日常生活に溶け込み、その姿を残している。松崎のなまこ壁を代表する、なまこ壁通り「近藤平三郎生家」もそのひとつ。近藤平三郎は1877年(明治10)に薬種商を営む近藤家の長男として誕生、東京帝国大学医科薬学科に進んだのちに教授となり、晩年1958年(昭和33)に文化勲章を受章した日本薬学会の最高権威だ。石畳の小道沿いに建つ生家は外観のみの見学となるが、2階の壁までびっしりとなまこ壁で覆われた情緒ある景色を楽しめる。

江戸末期に建築された近藤家} 江戸末期に建築された近藤家

松崎のなまこ壁は斜め貼り

平瓦を壁面に並べて貼り、その継ぎ目となる目地に海の生物「なまこ」のように漆喰を盛り上げて塗るスタイルからその名がついたといわれる「なまこ壁」。明治時代から昭和初期に多く見られた外壁の工法で、ここ松崎でも明治初期以降、養蚕で富を得た人たちが瓦葺きの家を造るようになると、さらに堅牢で火事にも強い建物を求め、壁に瓦を使用し漆喰で塗り固めるなまこ壁が造られるようになった。なまこ壁には瓦を横に貼る「芋目地」「馬乗り目地」もあるが、松崎では斜めに貼ることでより水はけを良くした「四半目地」が一般的。西風が強く、吹き始めると3日は止まない松崎の風。そんな激しい風雨や火災から長い間人々の暮らしを守り続けてきた。

町に残る2人の左官職人の手で修復を行い技術を伝承。地元有志とともに町並みを守り続けている} 町に残る2人の左官職人の手で修復を行い技術を伝承。地元有志とともに町並みを守り続けている

職人の技が凝縮する漆喰鏝絵(こてえ)

防火性、保温性、保湿性に優れたなまこ壁は生活様式の変化や老朽化、建て替えなどで減少しているものの、松崎には今なお多くの建物が残っている。重厚な外観、入念に仕上げられた漆喰、建物に施した漆喰鏝絵などその一つひとつに左官職人の技が凝縮。たとえば、ゑぶり(柄振り板/建物の部材の先端を隠すために用いる化粧板)や持送り(小屋の梁を外に延ばし軒げたを支える建築様式)には、龍や渦潮、牡丹、波、笹などの漆喰彫刻を見ることができる。この装飾は職人から施主へ、仕事依頼の感謝の気持ちから現場ごとに作られたのが始まりだとか。町並みに残る職人の粋な贈り物を探しながら散策するのもいい。

近藤平三郎生家のゑぶりに施された龍の漆喰鏝絵} 近藤平三郎生家のゑぶりに施された龍の漆喰鏝絵

中瀬邸の持送りの鏝絵は内外異なる絵柄が施されている} 中瀬邸の持送りの鏝絵は内外異なる絵柄が施されている

中瀬邸にある蔵の扉には躍動感ある龍} 中瀬邸にある蔵の扉には躍動感ある龍

風情あふれるなまこ壁の町並みを巡ろう

松崎のなかでもなまこ壁通り周辺は数多くの建物が残るエリア。1910年(明治43)建築、松崎でいちばん厚いなまこ壁として知られる「伊豆文邸」をはじめ、漆喰彫刻の名工・入江長八の作品が残る宿「山光荘」、浜丁橋のほとりにある週末カフェ「浜丁」、那賀川沿いには「小原邸」「中瀬邸」などが点在する。そしてこの那賀川、満潮になると川の流れがピタリと止まり、時が止まったような瞬間が訪れるという。そんなのんびりとした時間を感じてほしいと中瀬邸に建つ時計台の文字盤には「13時」の文字が刻まれているのでぜひ目を向けてみよう。そのほか「長八美術館」「長八記念館」など鏝と漆喰の技術と芸術を鑑賞できるスポットが集まり多くの観光客が訪れる。

現在は無料休憩所として開放されている「伊豆文邸」。隣には足湯もある} 現在は無料休憩所として開放されている「伊豆文邸」。隣には足湯もある

スポット詳細

住所
静岡県賀茂郡松崎町松崎 map map 地図
駐車場
あり(8台)
滞在目安時間
0-30分
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

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