門脇つり橋

富士箱根伊豆国立公園の指定を受けている城ヶ崎海岸

遠目から吊り橋全景を眺める

吊り橋周辺だけの最短コース観光なら、門脇つり橋有料駐車場の利用がおすすめ。駐車場から門脇つり橋、門脇埼灯台までは徒歩5分ほど。途中トイレと売店も完備されており、吊り橋を渡るだけなら30分かからず短時間で観光することもできる。駐車場内には、断崖に架かる吊り橋全体と景色を遠くから眺めることのできる撮影ポイントも用意されている。散策コースには入っていないので見逃しやすいが、近くに来たらぜひ立ち寄っておきたい撮影場所だ。

門脇つり橋有料駐車場内にある撮影スポットからの全景

門脇つり橋に伝わる半四郎落とし物語

「半四郎落とし」とは門脇つり橋の眼下にある入り江のこと。その昔、半四郎という地元漁師がトジ(漆喰壁に使う海藻)刈りの帰り、ひと休みした崖から海に転がり落ちてしまい、その後妻のおよしが崖の上に立ち涙を流す日が続くと、以来城ヶ崎一帯には、およしの涙にも似た可憐なイソギクの花が咲くようになったという伝説が残る。門脇岬に架けられた門脇つり橋は全長48m、高さ23m、定員100名と頑丈な吊り橋。この岬は約4000年前の大室山噴火によってできた溶岩岩石海岸で、長い年月をかけて波に削られながら複雑な地形となった。強い波に浸食されてできた断崖絶壁が連なる景色、溶岩石に力強く砕け散る波を眺めていると太古の大自然を感じられる。

ダイナミックな自然を堪能できる門脇つり橋

橋の上からの絶景と真下の迫力

吊り橋は大人3人横並びでギリギリ程度の幅で、歩いて渡ると風のない日でも適度な揺れを感じる。スリル感が苦手な場合は回避ルートがあるのでそちらを利用したい。橋の上からは城ヶ崎海岸の断崖絶壁とどこまでも続く大海原の眺望が広がる。吊り橋の南側には展望台を兼ねた「門脇埼灯台」(2021年10月現在コロナ禍につき閉鎖中)があり、伊豆七島や天城連山まで一望できる。江戸時代から航路の難所だった門脇崎。1960年(昭和35)3月に灯台が建設されたが、現在の灯台は1995年(平成7)に改築されたもの。海面から灯火までは43.72m、城ヶ崎から伊豆大島の航路を守っている。無料なので気軽に立ち寄ろう。

橋の上で足を止めて橋の下ものぞいておきたい

門脇埼灯台は高さ24.9m、展望台は地上4mと17m(2021年10月現在コロナ禍につき閉鎖中)

もうひとつの吊り橋と幻の滝

城ヶ崎海岸にはもうひとつ、吊り橋がある。「城ヶ崎自然研究路コース」の一角にある「橋立吊り橋」だ。門脇つり橋から歩くと距離があるが、無料の橋立観光駐車場を利用し直接向かうこともできる。遊歩道を進むこと約20分。柱状の溶岩「橋立」と対岸に架かる長さ60m、高さ18m、定員18名の「橋立吊り橋」に到着。門脇つり橋より長さがあり、歩くだけでしっかりと揺れを感じる。
周辺では柱状節理(地殻変動でできる柱状の割れ目)でできた「沖の島」や、複雑な岩場が形成した天然のプール「大淀・小淀」も見ることができる。大淀・小淀近くまで降りて行くこともできるので、足元に気をつけて進んでみるのもいい。対島川の水かさが多いときに現れる「対島の滝」は条件次第で観賞可能。海の中へ流れ落ちていく自然の造形と遭遇できたらラッキーだ。

溶岩岩石を歩くので歩きやすい靴や服装で

水が少ないときには消えてしまうことから「幻の滝」と呼ばれる