あんずの里
薄桃色の花霞たなびく日本一のアンズの里は、まさに桃源郷
開花はソメイヨシノよりひと足早い
長野自動車道の更埴ICから車で約10分。あんずの里へ近づくにつれて、あちこちの家の庭に淡いピンク色の花を付けた木が目に付くようになる。千曲市の森・倉科地区の扇状地約500万平方メートルに広がるあんずの里は、アンズ農家の畑だけでなく民家の敷地に植えられたアンズの木も多く、標高400m前後の斜面にあるため「一目十万本」の全体を見渡しやすい。花の見頃は例年3月下旬~4月上旬だが、気候による変動も大きい。花見期間中は「あんずまつり」が催され、しなの鉄道屋代駅からシャトルバスも出る。売店では甘酸っぱいアンズソフトクリームやアンズのジュース、爽やかな酸味の手作りアンズジャムが人気だ。戸隠山や飯綱山まで見晴らせる展望ポイントは森地区の東にある「窪山展望公園」。一方「薬師山展望台」は森地区の西にあり、「信州ふるさとの見える丘」に認定されており、森・倉科両エリアを見渡せる。
天皇皇后両陛下がプライベートで訪れた公園
森地区の最も奥には、昔ながらの里の風景を再現した「あんずの里スケッチパーク」がある。まずは旧家を修復した母屋を訪れ、展示館でアンズの歴史について学ぼう。2013年(平成25)には天皇(現・上皇)夫妻も私的に訪れている。外には約20種類200本が植えられたアンズ畑もあり、残雪の山を背景にした薄桃色の絨毯はスケッチにぴったり。なかには移植された貴重な古木や、昭和初期に偶然発見された品種「昭和」もある。大正時代に森地区の民家で発見された「平和」は、第一次世界大戦の終結を記念して名付けられたもの。収穫時期が早く大粒のため盛んに栽培され、一時は長野県内で生産されるアンズの8割を占めていたそうだ。アンズは中国原産のバラ科サクラ属の果樹で、英名はアプリコット。梅、スモモ、アーモンド、プルーンに近い仲間だ。生産量は長野県は全国トップクラス。なかでも千曲市は5割近くを占めている日本一のあんずの里だ。
色も形も愛らしいアンズ狩りと生食体験
初夏、あんずの里に再び賑わいが戻ってくる。やさしいオレンジ色をしたアンズの果実が収穫期を迎え、農園にはアンズ狩りを楽しむ観光客が集まる。生アンズを購入するなら、あんずの里と更埴ICとの中間にある「あんずの里物産館」が便利。地元の人も生アンズの販売開始を楽しみに待っているそうだ。アンズの実はとてもデリケートなため生で食べられる時期は短い。ジャムやシロップ漬けなどの加工に適した品種もあるが、生食には「ハーコット」など酸味の少ない品種が人気。カロテン、リコピン、カリウムなどを多く含むアンズの果実は栄養豊富。種は漢方薬のほかにアンズ炭としても利用される。火持ちが抜群で灰もほとんど残らない良質の炭になるそうだ。
四国からやってきた姫の愛した果実
元禄時代、伊予国宇和島藩主・伊達宗利の娘・豊姫が、信濃国松代藩主・真田幸道に嫁いだ際、故郷をしのんでアンズの種を持ち込んだ。当時、アンズの種の中にある杏仁(あんにん)は咳止め薬として珍重され、干しアンズも保存食として喜ばれたため、松代藩はアンズの栽培を奨励。これがあんずの里の始まりだという。この縁で愛媛県宇和島市と千曲市(合併前の更埴市)は姉妹都市となっている。あんずの里は今では千曲市を代表する観光名所となり、春には多くの人が花霞を愛でにやってくる。また、5月には倉科地区の花園に400種が花開く「ジャーマンアイリス観光花園」や、全長100mの前方後円墳(森将軍塚古墳)のある「科野(しなの)の里歴史公園」も人気。10月中~下旬に見られるアンズの紅葉も美しく、品種によって色づきが異なるので紅葉のグラデーションも楽しめる。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン
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