光前寺

寺院

天台宗別格本山。早太郎伝説でも知られる静寂に包まれた寺院

中央アルプスに抱かれた駒ヶ根高原にあり、南信州を代表する名刹・光前寺。霊犬・早太郎の伝説と2つの庭園でも知られ、天然記念物のヒカリゴケや枝垂れ桜の名所としても名高い。境内全域が国の名勝に指定されている。

秘仏の御本尊の不動明王は、数えで7年に一度、本堂で御開帳される。前回は2022年(令和4)だった} 秘仏の御本尊の不動明王は、数えで7年に一度、本堂で御開帳される。前回は2022年(令和4)だった

枝垂れ桜と紅葉の時期はライトアップも

光前寺の創建は、平安時代の860年(貞観2)。慈覚大師(円仁)の弟子・本聖上人による開基とされる。戸隠の顕光寺(現在の戸隠神社)、長野の善光寺、千曲の更科八幡神宮寺(現在の武水別神社)、佐久の津金寺とともに「天台宗信濃五山」のひとつに数えられる名刹で、南信州随一の祈願霊場として広く信仰されている。仁王門をくぐり、杉並木の参道を進むと、石垣の石の隙間にヒカリゴケが見えるかもしれない。光前寺には古くからヒカリゴケが自生しており、本坊の縁の下などでも見ることができる。4月中旬から10月下旬に条件がそろえば、幻想的な光を放つ様子を観察できるので、目を凝らしてみよう。また光前寺の境内には約70本の枝垂れ桜が植えられ、見頃にあわせて行われる夜間のライトアップも見もの。秋は紅葉の名所としても知られ、山々が雪をまとう頃になると参道沿いや三重塔周辺が鮮やかな赤や黄に染まる。南信州で唯一現存する高さ約17mの県宝、三重塔とモミジとの共演は息をのむほど美しい。

光前寺前の通りにはスイセンが植えられ、枝垂れ桜とほぼ同じ時期に咲く。残雪の山は木曽駒ヶ岳と千畳敷カール} 光前寺前の通りにはスイセンが植えられ、枝垂れ桜とほぼ同じ時期に咲く。残雪の山は木曽駒ヶ岳と千畳敷カール

1848年(嘉永元)に建立された三門(三解脱門)。2階部分に十六羅漢像を安置している} 1848年(嘉永元)に建立された三門(三解脱門)。2階部分に十六羅漢像を安置している

森閑とした境内全域が国指定の名勝

境内にある大きな三門と三重塔、本堂は江戸時代後期の建造物で、室町時代から残る弁天堂は国の重要文化財に指定されている。さらに、鎌倉時代に作庭された本堂前の池泉庭園、江戸時代に造られた本坊客殿の築山泉水式庭園をはじめとする境内全体が、1967年(昭和42)、「光前寺庭園」として国の名勝に指定された。仁王門から参道を経て三門、本堂へと続く直線的な配置、参道沿いの見事な杉並木、そして寺院をとりまく境内林など、約6万7000平方メートルに及ぶ境内の風情は県内屈指といわれる。本坊客殿の築山泉水式庭園は有料拝観となる。参道から脇に入った奥にあるので、受付で拝観料を払ったら客殿へ上がろう。庭園は建物内から眺めることになる。一方、本堂前の前庭は三重塔と本堂の間に滝石組を造った池泉回遊式庭園で、鯉が滝を上って龍と化すさまを表した龍門瀑は必見だ。

極楽浄土の庭園ともいわれる築山泉水式庭園} 極楽浄土の庭園ともいわれる築山泉水式庭園

コケに囲まれた客殿にはさまざまな宝物が保管されている} コケに囲まれた客殿にはさまざまな宝物が保管されている

不動明王の化身ともいわれた霊犬・早太郎

光前寺は早太郎伝説でも有名で、その逸話は700年ほど前にさかのぼる。寺では、俊敏で強い早太郎という山犬を飼っていた。その頃、遠州見付村(現在の静岡県磐田市)では、田畑を荒らされないよう、祭りの日に村の娘をいけにえとして神に捧げる習わしがあった。ある年のこと。村を通りかかった旅の僧が「神」の正体を見届けるため祭りの様子をうかがっていると、大きな怪物が「信州の早太郎はおるまいな。早太郎には知られるな」などと言いながら娘をさらっていった。旅の僧はすぐさま信州に向かい、光前寺の早太郎を探し出すと、事情を話して借り受け、見付村に戻った。次の祭りの日。早太郎は怪物(老いたヒヒ)と戦って見事退治。傷つきながらも光前寺までたどり着いた早太郎は、怪物退治を和尚に知らせるかのようにひと声ほえると、息を引き取ったという。寺では早太郎を手厚く葬り、旅の僧が早太郎の供養のために奉納した「大般若経六百巻」は今も大切に所蔵されている。

早太郎の墓所は本堂の横にある。静岡県磐田市にも同様の伝説があり、その縁で両市は友好都市提携している} 早太郎の墓所は本堂の横にある。静岡県磐田市にも同様の伝説があり、その縁で両市は友好都市提携している

早太郎の石像と三重塔。磐田市のイメージキャラクター「しっぺい」は、早太郎がモデルになっている} 早太郎の石像と三重塔。磐田市のイメージキャラクター「しっぺい」は、早太郎がモデルになっている

(左上から時計回りに)参道脇にある「苔の古道」、本坊の床下に自生するヒカリゴケ、早太郎みくじ、ホトトギス} (左上から時計回りに)参道脇にある「苔の古道」、本坊の床下に自生するヒカリゴケ、早太郎みくじ、ホトトギス

スポット詳細

住所
長野県駒ケ根市赤穂29 map map 地図
電話番号
0265832736
時間
【参拝時間】
8:00-17:00
[冬季]8:00-16:30
[本堂開扉・庭園拝観・授与所]9:00-16:00
休業日
無休
※但し特別な行事・法要が開催される場合、ならびに暴風・大雪等の悪天候の場合は参拝不可
料金
【庭園拝観】
[高校生以上]500円
[中学生以下]無料
駐車場
あり(約200台)
※無料
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり(英語パンフレット)
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
可(バリアフリーになっていない為、要介助人)
乳幼児の入店
ペットの入店
可(境内全域が国の文化財(名勝)に指定されているため、境内でのペットのトイレ(マーキングも含む)は厳禁)
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 光苔が美しい ご利益ありそう
    5.0 投稿日 : 2023.06.02
    駐車場の前を流れる小川に沿って仁王門付近まで並び立つ枝垂桜が見事。訪れたこの日は五月も終わる頃、桜の花は当然見られなかったが、開花時期にはさぞかし美しい景色が広がるだろうなと想像をめぐらしました。有名な光り苔は、仁王門から緩い上り坂にある石垣の中に。石と石の隙間を目を凝らして見ると、奥にボヤっとライトグリーンに光る苔が。見ているだけで、何かご利益がありそうな。他の石の隙間にも光り苔があるかもと探し...
  • 静寂の空間
    4.0 投稿日 : 2022.12.30
    ツアーでの立寄り。雪の残る静寂の空間。溶けかかった雪で凍っているところもあったのであまり奥には行きませんでした。南信州で唯一と言われた三重塔は見応えがありました。期待していた庭園は正月準備と言うことで開放していませんでした。御朱印は、本堂ではなく山門近くの札所でいただけます。書置きに日付を入れるかたちでした。看板があるのでわかるかと思います。車を止める場所は3カ所ありました。お土産屋があり、そこで...
  • 静寂に佇む古刹
    4.0 投稿日 : 2022.11.14
    長野は駒ヶ根にある「光前寺」を訪れました。天台宗のお寺で、霊犬早太郎伝説と光苔で有名なお寺です。仁王門をくぐって、杉林に囲まれた石畳の参道を歩いて行きます。参道脇の石垣は苔に覆われています。参道の真ん中ぐらいに、右手側に「苔の古道」と表記がある、苔に覆われた緑色の小径が現れました。通行はできないですが、とてもきれいな小径でした。更に歩みを進めて三門をくぐって、本殿でお参りします。往路は、三門脇...

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アクセス

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