入笠山

「日本百名山」のうち22座を一望。スズランの大群落も見事

南アルプスの北端にそびえる標高1955ⅿの入笠山は、山と花の絶景で知られる。約150種の山野草を楽しみながら登れば、山頂からは富士山、日本アルプス、八ヶ岳など360度のパノラマが! ぜひ視界のよい日に訪れたい。

八ヶ岳を見晴らす斜面に20万本のドイツスズランが咲くのは5月下旬~6月上旬。一方、100万本のニホンスズランの見頃は6月上~下旬と遅め} 八ヶ岳を見晴らす斜面に20万本のドイツスズランが咲くのは5月下旬~6月上旬。一方、100万本のニホンスズランの見頃は6月上~下旬と遅め

早朝に出発。半日たっぷりと楽しもう

中央自動車道下り線を諏訪湖へ向かうと、諏訪南ICの手前から左手にスキー場とゴンドラが見えてくる。この山がスズランの名所として知られる入笠山。「富士見パノラマリゾート」のゴンドラを利用すれば、ゴンドラ山頂駅から片道2km、1時間ほどで、誰でも容易に山頂に立つことができる。最後に急勾配があるものの、ちょっとキツめのハイキングといった感じで初心者でも楽しめる。山頂まで往復するだけなら2時間程度だが、途中、スズランの群落や湿原の高山植物に足を止めたり、山頂からの絶景を眺めたりすると、たっぷり半日はかかるだろう。ベストな楽しみ方は快晴の朝いちばんに訪れること。せっかく登るなら、富士山も北アルプスもクリアに眺めたい。空気が澄んでいるうちに山頂まで登り、帰りにゆっくりと花を眺めながら戻るのがおすすめだ。

富士山が見えるポイントは数か所ある。「入笠すずらん山野草公園」の展望台付近からはレンゲツツジと一緒に眺められる} 富士山が見えるポイントは数か所ある。「入笠すずらん山野草公園」の展望台付近からはレンゲツツジと一緒に眺められる

標高1734ⅿに広がる高層湿原を経て山頂へ

ゴンドラ山頂駅から山頂までのルートは何通りもあるので、地図や標識をよく確認しながら進もう。まず、「入笠湿原」までのルートが2本ある。約20万本のドイツスズランの群生地を通る「入笠すずらん山野草公園」ルートと、約100万本のニホンスズランの群落が広がる階段を経由して湿原に至るルートだ。どちらも10分ほどで湿原中央の十字路に出るので、往復で異なるルートを通るといい。

左はニホンスズラン。葉の下に隠れるように花を付ける。右はドイツスズラン。葉先と同じ高さで開花し、花も大きめ} 左はニホンスズラン。葉の下に隠れるように花を付ける。右はドイツスズラン。葉先と同じ高さで開花し、花も大きめ

入笠湿原は標高1734ⅿに広がる高層湿原。シラカバやズミ(コナシ)の間にさまざまな山野草が咲く。湿原を横切ると山彦荘(トイレあり)があり、さらに10分ほど歩くと「花畑」と呼ばれる斜面がある。ここもニホンスズランの群生地だ。ジグザグ道をそのまま上って、八ヶ岳展望デッキ経由の新コースで山頂まで約1時間。おおむね勾配はゆるやかだが、最後に急登がある。一方、山彦荘の上部にあるマナスル山荘から登るルートは、ちょっとしんどいが40分ほどで登れる(前述の「花畑」のジグザグ道の途中で右折し、フェンスの外へ出ても合流できる)。このルートは山頂直下に岩の多いエリアがあり、う回路が設けられている。いずれのルートも、高山植物をシカなどの野生動物から守るため、侵入防止用のフェンスが各所に設けられている。通ったあとは必ず扉を閉めよう。

入笠湿原。遠目からはまったく見えないが、写真奥の斜面に100万本ものニホンスズランが開花している} 入笠湿原。遠目からはまったく見えないが、写真奥の斜面に100万本ものニホンスズランが開花している

「入笠すずらん山野草公園」の一角に自生する希少種のイチヨウラン。職員が大切に保護してきたもので、見頃は5月後半~6月} 「入笠すずらん山野草公園」の一角に自生する希少種のイチヨウラン。職員が大切に保護してきたもので、見頃は5月後半~6月

山頂からの眺望は文句なしの360度!

入笠山の山頂はなだらかで広々としており、360度の絶景が広がる。南には富士山と南アルプスの甲斐駒ヶ岳など。西には伊那谷と中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳。北西には槍穂高連峰、立山、剣岳、諏訪湖の奥には白馬連峰まで北アルプスのほとんどが眺められ、東には八ヶ岳、草津白根山、志賀の横手山、甲府盆地と秩父の山々まで見える。さらに条件がよければ遠く石川・岐阜県の白山(はくさん)や、神奈川県の丹沢山(蛭ヶ岳)も見えるかもしれない。「日本百名山」のうちの22座(条件がよければ31座)、日本の高い山トップ50の半数以上が見えるといわれている。入笠山がそびえる絶妙な位置と高さのおかげだ。一方、入笠山からわずか25kmの距離にある日本第2位の北岳が、鋸岳に隠されて見えないのは実に惜しい。

山頂からの眺望。写真上の右端が槍ヶ岳、左端から2番目のピークが奥穂高岳。写真下は八ヶ岳で、パラグライダーの上が阿弥陀岳、右が赤岳} 山頂からの眺望。写真上の右端が槍ヶ岳、左端から2番目のピークが奥穂高岳。写真下は八ヶ岳で、パラグライダーの上が阿弥陀岳、右が赤岳

季節ごとの楽しみ

入笠山の遅い春は5月のザゼンソウとミズバショウ、約5万本のカタクリの群落で始まる。6月にはスズランをはじめとして、釜無川流域に咲く幻の花・カマナシホテイアツモリソウやゴゼンタチバナなどが開花し、盛夏にはヤナギラン、サワギキョウ、アケボノソウなどを楽しめる。秋が近付くとエゾリンドウ、ワレモコウ、アキノキリンソウなど。9月には紅葉に加えてハナイカリ、サラシナショウマなどが季節の最後を飾る。秋には雲海に浮かぶ富士山や八ヶ岳を見られることもある。冬はもちろんスキー場として賑わう。なお入笠山は、生物多様性の保全を目的とした生物圏保護区「南アルプスユネスコエコパーク」に登録されており、さらに、本州を横切る中央構造線と糸魚川静岡構造線の交点(諏訪湖)にも近く、地殻変動を観察できる「南アルプスジオパーク」にも認定されている。

サクラソウの仲間のクリンソウ。入笠湿原の林のなかと、マナスル山荘の手前に群落がある。見頃は6月前半} サクラソウの仲間のクリンソウ。入笠湿原の林のなかと、マナスル山荘の手前に群落がある。見頃は6月前半

(左上から時計回りに)マイヅルソウ、滋養強壮薬としても使われるアマドコロ、コナシの別名をもつズミ、ツマトリソウ。6月中旬に撮影} (左上から時計回りに)マイヅルソウ、滋養強壮薬としても使われるアマドコロ、コナシの別名をもつズミ、ツマトリソウ。6月中旬に撮影

スポット詳細

住所
長野県諏訪郡富士見町 map map 地図
時間
24時間
[ゴンドラ]8:30-16:00(下り最終16:30)
※季節・日没、天候により運行時間変更あり
休業日
[ゴンドラ]4月上旬-4月下旬、11月中旬-12月上旬
料金
無料

【ゴンドラ】
[大人往復]1,700円
[子ども(小学生)往復]800円
駐車場
あり(富士パノラマリゾート2,000台、沢入登山口20台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、DISCOVER、Diners Club)
※ゴンドラチケット購入
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
可(ハイキング・軽登山の為アウトドア用であれば可)
乳幼児の入店
ペットの入店

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました