本栖湖

千円札の裏側に描かれているのと同じ構図で富士山を見ることができる本栖湖(もとすこ)

富士山の歴史を伝える神秘的な湖

富士五湖のいちばん西側に位置し、富士河口湖町と身延町(みのぶちょう)にまたがって広がる本栖湖。面積は470万平方メートルで山中湖と河口湖に次ぐ3番目の大きさだが、水深は最も深く、最大約122m。透明度も高く、ダイビングやウインドサーフィンといったウォータースポーツ、ヒメマスやニジマスなどを狙うフィッシングも盛んだ。かつて富士山北麓には、剗の海(せのうみ)という広大な湖があった。平安時代初期の800年(延暦2)、噴火による溶岩流が湖の西側に流れ込んで生まれたのが本栖湖といわれている。さらに、残った部分が864年(貞観6)の貞観大噴火で西湖と精進湖に分断され、現在も3つの湖は地下でつながっていると考えられている。2013年(平成25)には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産のひとつとして世界文化遺産に登録された。

本栖湖には富士五湖のなかでも手つかずの自然が多く残されている

SUP(スタンドアップパドルボード)やカヌー、ヨットなど幅広いウォータースポーツを楽しめる

富士山の絶景を楽しめるキャンパーの聖地

風光明媚で豊かな自然に囲まれた本栖湖は、アウトドア愛好家に人気が高い。湖畔にはいくつものキャンプ場が点在し、春から秋にかけて多くの人々で賑わう。子どもたちの水遊びはもちろん、カヌーや釣りなどのアクティビティを楽しんだり、湖と富士山を眺めながらのんびりとくつろいだり、思いおもいに自然を満喫できる。山梨県を舞台にした人気アニメ『ゆるキャン△』の第1話に登場した聖地としても知られるのが、湖の北西岸にある「浩庵キャンプ場」。ここの魅力は、なんといっても湖越しに絶景の富士山を望めること。近くには「千円札の富士山」で有名な「中ノ倉峠展望地」もある。県道709号線に面した本栖湖展望公園からもほぼ同じ風景を見られるが、時間があれば片道30分ほど歩いて展望地へ。千円札の裏側に描かれている富士山は、写真家の故・岡田紅陽氏がこの場所で撮影した『湖畔の春』がモデルになっている。実際の景色と千円札を見比べてみよう。

富士山麓の雄大な自然に囲まれてキャンプを楽しもう！

本栖湖展望公園には身延町の観光案内所もある(冬期休業)

写真映えするスポットも盛りだくさん！

本栖湖の周囲は約13km。湖に沿ってドライブやサイクリング、ジョギングを楽しむのもいい。春は桜や新緑、秋は色鮮やかな紅葉が湖畔を彩る。夏は湖が最も賑わう季節。標高約900mに位置するため空気も爽やかで、避暑地としても人気がある。冬にはヒメマスのシーズンが到来し、四季折々に豊かな自然と触れ合えるのが魅力だ。また本栖湖周辺でぜひ立ち寄りたいスポットが「富士本栖湖リゾート」。4月中旬から5月末にかけて「富士芝桜まつり」が開催され、約1万5000平方メートルの敷地に50万株もの芝桜が咲き誇る。残雪が美しい富士山とピンクの絨毯を敷き詰めたような光景は、写真映えもバツグン。また夏から秋にかけてはカラフルな花々と富士山が共演する「虹の花まつり」、ピーターラビット™の世界観をイメージした「ピーターラビット™イングリッシュガーデン」、年末年始にはダイヤモンド富士も楽しめる。

サイクリストにも人気の本栖湖畔。高低差があまりないので初心者にもおすすめ

富士山と芝桜が織りなす風景が見事な「富士芝桜まつり」