上田城跡公園

真田昌幸によって築城された上田市のシンボル、お堀の周りに多数の桜が咲く名所

約400年前にこの地で六文銭の旗をひるがえし、真田氏が駆け巡って守った難攻不落の城。大軍の徳川勢を少数精鋭で撃退した上田城の構造は、真田昌幸の築城能力の高さが随所にうかがえる。歴史ロマンに浸れる公園だ。

左から南櫓、東虎口櫓門(ひがしこぐちやぐらもん)、北櫓

1583年(天正11)に真田幸村の父、真田昌幸によって築城された上田城。当時は千曲川やその分流の尼ヶ淵に面し、天然の要害として戦略的にこの場所に建設された。1585年(天正13)、第一次上田合戦では徳川に7000の兵を差し向けられるが、地の利を生かした戦術を駆使して勝利を収め、真田氏の名は天下に知れわたった。第二次上田合戦でも、徳川軍の兵を足止めし関ヶ原の戦いに遅参させることに成功。2度にわたって徳川の大軍を退けた、全国でも例のない戦歴のある城である。関ヶ原の戦い後に破却されたが、仙石氏が1626年(寛永3)に再建。明治初期の払下げで櫓が城外に移築されるなどしたが、1994年(平成6)に東⻁口櫓門が復元され現在の上田城跡公園となった。東⻁口櫓門の石垣にはめ込まれた幅3mの巨石「真田石」は一見の価値あり。2代目城主真田信之が松代に転封を命じられた際に運ぼうとしたが、動かせなかったと言い伝えられている。

隣に立つとその大きさに驚く「真田石」

現在のお堀沿いは、平坦な遊歩道となっており、ウォーキングやジョギング、犬の散歩をする人たちでにぎわっている。春には多品種の桜が花開くお花見の名所。四季を通じて、新緑、紅葉、雪景色と姿を変える城の情景は、いつ訪れても私たちの目を楽しませてくれる。かつて城の中核であったとされる本丸跡や、城南側の崖面となっている尼ヶ淵は広場になっており、子どもたちが走り回って、ピクニックを楽しむ家族連れの姿を見かける。また敷地内の北側には児童遊園地があり、大型の遊具や築山、あずまやなどが並んでいる。動物舎に住むウサギやインコも人気だ。

お堀沿いから見られる「隅落とし」は上田城の特徴のひとつ

木陰が多く、いつの季節も子ども連れで賑わう児童遊園地

かつての上田城の二の丸堀跡は、昭和初期には旧真田町へ向かう電車が走っていた。現在はけやき並木の遊歩道になっており、所どころにベンチが置かれている。のんびり空を見上げ、新緑や紅葉、雪景色など季節を感じながら散歩するのにぴったりだ。紅葉の季節にはライトアップが行われ、一面赤や黄色ので幻想的な世界に様変わり。フォトスポットとしてもおすすめだ。またこの遊歩道は、上田城跡駐車場から城の正面となる二の丸橋から東虎口櫓門に向かうメインストリートである。昔の電車道の名残りである駅のホームを通りながら二の丸橋へ渡っていくのも風情がある。

背の高いケヤキの木はトンネルのようで木漏れ日が気持ちいい

上田駅から徒歩12分、上田菅平ICから車で15分。近隣にショッピングモールや上田市交流文化芸術センターを有する上田の中心に位置する上田城。公園内の、市立博物館には常設として、歴代上田城主の甲冑などの上田藩関係資料、織田信長所用韋胴服(国の重要文化財)、染屋焼コレクション(国の重要有形民俗文化財)、正保の信濃国絵図(長野県宝)などが展示されている。徒歩圏内で散策するなら、旧北国街道の街並みが残る柳町。新しいカフェやパン屋、酒蔵などが並ぶ。少し足を延ばして海野町には、名物の「じまんやき」がある(「じ」は志に濁点)。いわゆる今川焼きや大判焼きと呼ばれるもので、味は2種類。太鼓の形に焼かれた生地の中に餡やカスタードが詰まっている。また、上田城跡公園東側にある上田市観光会館売店には地元の銘菓、地酒、お土産品がそろう。旅の途中で立ち寄りたい。