明神池

湖沼

山の守り神が鎮座するパワースポットで自然美に浸る

「上高地」の語源にもなった神域にある静かな池。雄大な山々や可憐な花を楽しみながら歩くこと1時間。日本庭園を思わせる自然の造形を堪能し、名ガイドの小屋でいわなを頬張り、上高地のもうひとつの顔を見に行こう。

ひょうたん型をした明神池の一之池。朱塗りの御船は毎年10月の例大祭で使われる} ひょうたん型をした明神池の一之池。朱塗りの御船は毎年10月の例大祭で使われる

喧騒の上高地をあとにして森のなかを行く

上高地の河童橋から見上げる穂高連峰の稜線を右にたどると、端にそびえる標高2931mの明神岳。そのふもとの神秘的な池まで歩いてみよう。ルートは2つある。バスターミナルから河童橋へ向かう道をそのまま進む左岸(南岸)コースを歩くと約50分で明神分岐、そこから明神橋を渡って明神池まで約10分。一方、河童橋を渡って白樺荘前を進む右岸(北岸)コースは岳沢湿原を経由して明神池まで約50分。いずれもアップダウンの少ない散策道で、トレッキングシューズをおすすめしたいが、なければスニーカーでも大丈夫。道端に咲く花を探しながら、見学と休憩も含めて河童橋から往復3時間といったところ。どちらからまわってもいいが、穂高(ほたか)神社の参拝が目的なら左岸からまわるといい。参道は明神分岐から始まっている。明神池の近くには山小屋兼食事処が2軒、明神分岐にも明神館(旅館・食堂・売店)がある。トイレは明神池と明神分岐にある。

ニリンソウの見頃は例年5月中旬から6月上旬。天気のよい日の10:00~16:00頃に花開く} ニリンソウの見頃は例年5月中旬から6月上旬。天気のよい日の10:00~16:00頃に花開く

(左上から時計回りに)ベニバナイチヤクソウ、オシダの新芽、道中でよく見かけるニホンザル、サンカヨウ} (左上から時計回りに)ベニバナイチヤクソウ、オシダの新芽、道中でよく見かけるニホンザル、サンカヨウ

山の安全を守る鎮守さま

左岸コースは槍ヶ岳、奥穂高岳、常念岳などの山頂へ続く登山道でもある。テントを背負った登山者に交じって森のなかを行くと、進むにつれて明神岳の姿が変化する。現在、穂高といえば標高3190mで日本第3位の奥穂高岳を指すことが多いが、かつては明神岳を穂高と呼んでいた。奥穂高は、明神岳から見て奥にあることから付けられた名だ。釜トンネルがまだなかった頃、峠を越えてはるばるやって来た旅人が最初に目にしたのは、険しい岩峰が天を突く明神岳。ことに朝焼けは神々しく、穂高見命(ほたかみのみこと)がその頂に降臨したとされ、神降地(上高地)の語源となった。明神分岐を折れ、明神橋を渡って鳥居をくぐると穂高神社奥宮に着く。山と海陸交通の安全を守る神で、日本アルプス総鎮守。本宮は安曇野市のJR穂高駅の近くに、嶺宮は奥穂高岳の山頂に鎮座する。神が宿る峰に降った雨の湧き出す明神池に奥宮があり、その水は梓川に注ぎ、本宮の鎮座する安曇野を潤しているのだ。

明神分岐から見上げる明神岳。左のピークは最南峰(第5峰)。標高2931mの主峰は左から3番目のピーク} 明神分岐から見上げる明神岳。左のピークは最南峰(第5峰)。標高2931mの主峰は左から3番目のピーク

穂高神社奥宮。この辺りにはコマドリなどの野鳥が多く、双眼鏡を手にしたバードウォッチャーの姿も見かける} 穂高神社奥宮。この辺りにはコマドリなどの野鳥が多く、双眼鏡を手にしたバードウォッチャーの姿も見かける

一幅の絵画のようなパワースポット

奥宮にお参りを済ませたら、社務所で入場料を払って中へ入ろう。一帯は神社の所有する神域で、明神岳から崩落した土砂が小川を堰き止めてできたひょうたん型の池がある。桟橋に御船が浮かべられているのは一之池。明神岳の伏流水をたたえた水面は、鏡のように森の木々を映し込む。毎年10月8日には古式ゆかしい例大祭が執り行われ、平安装束に身を包んだ神職が2艘の御船で池に漕ぎ出す。その際、船首に付ける龍と水鳥の飾りは、ふだんは社務所横に掲げられている。一之池の奥にある二之池は、池の中に点在する岩石と、そこに生える木々の造形の妙が見事だ。もしも可能なら早朝に訪れてみるといい。もやに包まれた二之池のほとりに立ち、ふと目を上げれば御神体である明神岳が頭上に迫る。強い霊気に満ちたパワースポットといわれる由縁がわかるだろう。

10月下旬、秋の色に染まる二之池} 10月下旬、秋の色に染まる二之池

上高地の主と呼ばれた伝説的な山案内人

奥宮の手前でいつも煙を上げているのは嘉門次小屋。クマ、カモシカ、いわななどを獲って暮らしていた上條嘉門次が1880年(明治13)に建てたものだ。釜トンネルも大正池もない時代、徳本峠(とくごうとうげ)越えが上高地への唯一のルートで、明神はその終着点(明神館の東270mに分岐がある)。ここは上高地の中心だったのだ。その峠を越えて1893年(明治26)にやってきたのが、のちに日本近代登山の父となるウォルター・ウェストン。嘉門次の案内によって前穂高岳に登頂したウェストンは、後日、著書のなかで嘉門次を絶賛。その名は一躍国内外に知れわたり、嘉門次は多くの登山客を案内することになる。嘉門次は一帯の地形を熟知し、登山技術も抜群。冷静沈着で面倒見がよく、誠実な人柄で誰からも敬愛されたという。現在、小屋は嘉門次の玄孫(やしゃご)である若女将が切り盛りしており、いわなを焼く囲炉裏の奥には、ウェストンから友情の記念にと贈られたピッケルが飾られている。

伝説的な存在となった嘉門次小屋。囲炉裏の間は国の登録有形文化財に指定されている} 伝説的な存在となった嘉門次小屋。囲炉裏の間は国の登録有形文化財に指定されている

囲炉裏の炭火で焼いたいわなの塩焼き(1100円)が名物。頭も尻尾も丸ごと食べられる} 囲炉裏の炭火で焼いたいわなの塩焼き(1100円)が名物。頭も尻尾も丸ごと食べられる

スポット詳細

住所
長野県松本市安曇上高地 map map 地図
電話番号
0263952430
時間
[穂高神社奥宮(4/27-11/15)]6:00-日没
[嘉門次小屋(4月下旬-11月初旬)]8:30-16:00(L.O.15:30)
※嘉門次小屋は宿泊も可。
休業日
シーズン中無休
料金
【穂高神社奥宮】
[大人]500円
[小学生]200円
駐車場
【穂高神社奥宮】
なし(上高地は通年マイカー規制)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
平均予算
備考: [嘉門次小屋]1,500円
備考
【嘉門次小屋】
[住所]長野県松本市安曇上高地4469-1
[電話番号]026-395-2418
[座席数]80席

情報提供: ナビタイムジャパン

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