金福寺
俳聖・松尾芭蕉が訪れ、芭蕉を敬慕する与謝蕪村が茶室を再興
江戸時代の文化人が愛した風光明媚
洛北の一乗寺や修学院界わいは、古くから比叡山延暦寺の影響を受けてきた地だ。地名もかつてこの地にあった天台宗の寺院に由来している。さらに江戸時代になると、都から程よく離れたこの地の静けさと美しさは多くの文化人たちを魅了してきた。後水尾天皇は修学院離宮を造営し、石川丈山が隠棲した草庵は詩仙堂として受け継がれている。剣豪・宮本武蔵のエピソードが伝わる「一乗寺下り松」から南西に徒歩8分、閑静な住宅街のなかに金福寺はたたずんでいる。「佛日山 金福寺」と刻まれた大きな石柱とゆるやかな階段が参拝者を迎えてくれる。平安時代中期の864年(貞観6)、天台僧・円仁(慈覚大師)の遺志を継いだ弟子の安恵によって創建されたという古刹だ。
松尾芭蕉と与謝蕪村ゆかりの俳句の聖地
拝観受付を済ませ、小径を進んで行くと白砂の庭園が現れる。東山の山麓の地形を生かした庭園で、サツキの丸い刈り込みが築山となっている、立体感のある庭だ。庭に隣接する建物が本堂となっていて、中には聖観世音菩薩像が安置されている。寺院は平安時代中期に天台宗の寺院として創建されているが、一時、荒廃し、江戸時代前期に鉄舟によって再興され、そのときに臨済宗に改宗している。俳人・松尾芭蕉は鉄舟と親交が深く、上洛のたびに当地を訪れては鉄舟の草庵に滞在したといい、いつしか人々は庵を「芭蕉庵」と呼ぶようになった。その約80年後、芭蕉を慕った俳人、画家・与謝蕪村とその一門が訪れたときに庵が荒廃していることを嘆き、芭蕉庵を再興。彼らはしばしば訪れては句会を開いていたという。本堂内には芭蕉庵を再興した際に、与謝蕪村が寄せた俳文『洛東芭蕉庵再興記』や「蕪村筆 芭蕉像」、蕪村の遺愛品などの寺宝が展示されている。
与謝蕪村ら多くの俳人が眠る
本堂を参拝後、庭園から背後の小高い丘へと続く階段を上っていくと、蕪村によって再興された「芭蕉庵」が立つ。この辺りは高台になっていて見晴らしがよく、吹き抜ける風も心地いい。さらに山肌の小径をたどっていくと与謝蕪村の墓があり、そのかたわらには蕪村の詠んだ句が掲げられている。蕪村は季節の情景が浮かび上がるような生きいきとした句を得意としたが、俳人ゆかりの地で俳句に触れることができるのは感慨深い。また金福寺は、幕末の大老・井伊直弼の愛妾・村山たか女ゆかりの寺院としても知られている。ここで14年間を過ごし、生涯を終えた寺院でもあることから本堂内にはたか女ゆかりの寺宝も拝観することができる。詩仙堂からは5分程度、文化人が愛した地に足を運んでみよう。
スポット詳細
- 住所
- 京都府京都市左京区一乗寺才形町20 地図
- エリア
- 一乗寺・修学院エリア
- 電話番号
- 0757911666
- 時間
- 9:00-17:00
- 休業日
- 12/30-31、1/16-2/28、8/5-31
- 料金
- 大人(大学生)500円、中高生300円、小学生以下無料
- 駐車場
- あり(2台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 乳幼児の入店
- 可(ベビーカーは受付で預かります)
情報提供: ナビタイムジャパン
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