天橋立
神話の時代から現代まであまねく人々を感嘆させる風景
神話から生まれた「日本三景」のひとつ
『丹後国風土記逸文』によると、国生みをしたイザナギノミコトが天に通うための梯子を作り立てていたが、寝ている間に倒れてしまった。それが天橋立になったのだという。天橋立の形成がいつから始まったかは定かではないが、丹後半島の付け根にあり、阿蘇海(あそかい)に流れこむ野田川からの砂と外海から押し寄せる砂がぶつかり合ってできた砂州(さす)が伸びていき、何千年もかけてできたと考えられている。日本三景と称されたのは江戸時代、儒学者の貝原益軒(かいばらえきけん)がこの地を旅した記録に用いたことから。以来、天橋立を表す言葉となった。
眺めるも良し、歩くも良し、五感で楽しむ
天橋立の楽しみ方は、まずひとつは周囲の高所からの眺望だ。飛龍観、一文字観、昇龍観、雪舟観など「天橋立十景」とされる景観があり、天橋立を望む場所によって見え方が変わってくる。もうひとつは天橋立を徒歩か自転車で縦断すること。幅20-170mほどの松並木の下の平坦な道には海風がやさしく通り過ぎ、波の音が絶え間なく聞こえ、徒歩で約50分、自転車で約20分の道のりをすがすがしい気持ちで進むことができる。また戻りの際に観光船を使えば、海上から約12分かけ間近に見ることもできる。ちなみに夏には海水浴場としても楽しめる。
駅を降りればすぐに散策スタート
まずは、天橋立駅から歩いて5分ほどの智恩寺へ。醍醐天皇より「天橋山智恩寺」の号を賜った904年(延喜4)を創建とし、近年まで天橋立を寺領の一部としていた。次に向かうのは廻施橋。タイミングが合えば、船が通るたびに橋が90度旋回する様子を見ることができる。この橋を渡れば天橋立だ。松並木が続く道は、右に宮津湾と砂浜、左に阿蘇海と成相山などの山々を見つつ、名松や説話の残るスポット、名所があり、そこに立ち寄りながらのんびりと歩きたい。
歩いて感動する天橋立の魅力
約5000-8000本もあるといわれる松並木は、人の手で植林されたのではなく、自然に生えたもの。そう思って眺めると、悠久の時を経て自然がつくり出した類まれなる景色のなかを歩くことにすら感動を覚える。「夫婦松」や「千貫松」など数々の名松、桃山時代の剣豪・岩見重太郎が試し切りをした石、海に囲まれた地でありながら真水が湧き出る名水の井戸「磯清水」、たびたび天橋立を訪れ歌に詠んだ与謝野寛・晶子夫妻の歌碑、松尾芭蕉や三年ほど宮津にて居住した与謝蕪村の句碑なども点在。夕方には真横から夕日に照らされることもある。「双龍の松」と「船越の松」を過ぎるとゴールはすぐそこだ。
スポット詳細
更新日:2024.04.20
情報提供: ナビタイムジャパン
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