樂美術館

美術館

450年受け継がれてきた伝統のエッセンスを感じる

樂家の初代・長次郎が千利休と出会い、利休の侘茶(わびちゃ)の理想にかなう茶碗を焼いたことに始まる「樂焼」の作品や茶道美術品を収蔵・展示する。しっとりと落ち着いた内装は茶室にいるかのような雰囲気だ。

年4回、樂焼と茶道美術の企画展が開催される} 年4回、樂焼と茶道美術の企画展が開催される

樂家の伝統と技術が継承される地

堀川中立売の交差点から東に向かい、油小路通を北に進むと、犬矢来(いぬやらい)や出格子(でごうし)といった伝統的な京町家のたたずまいを配した家屋が見えてくる。450年続く「樂焼(らくやき)」の窯元・樂(らく)家だ。樂家がこの地に居と窯場を構えたのは桃山時代のこと。以来450年、樂家の歴代当主はこの地で変わることなく樂焼の伝統と技術を現代に伝えてきた。その制作と焼成法は当時とまったく変わらぬ手法で今も焼かれている。

現在の建物は1855年(嘉永7)に再建されたもの} 現在の建物は1855年(嘉永7)に再建されたもの

千利休との出会いから生まれた樂茶碗

「樂焼」は桃山時代に樂家の初代・長次郎(ちょうじろう)が千利休と出会い、利休の「侘茶(わびちゃ)」の美学にかなう茶碗を作ったことに始まる。当時はまだ名をもたず「今焼茶碗」などと称された。これまでに見たことのない、まさに前衛的な茶碗であったのだ。初めてこの世に出現した長次郎の茶碗はその後「聚楽焼茶碗」などと称され、また豊臣秀吉から「樂」の字を賜ったともいわれ、やがて「樂茶碗」と総称されるようになった。「樂」の語源は「聚楽第」にちなんだものと考えられる。樂家から聚楽第跡地までは歩いて10分程の近距離だ。

一つひとつ個性的な表情をもつ樂茶碗} 一つひとつ個性的な表情をもつ樂茶碗

樂家歴代の創造の軌跡を知る美術館

樂家に隣接する樂美術館は1978年(昭和53)、樂家14代・覚入(かくにゅう)によって開館した。収蔵作品は樂家歴代作品を中心に、茶道工芸美術品、関係古文書など樂家に伝わる作品を中心に構成されている。これら樂家伝来の収蔵作品は、450年の永きにわたって、樂家歴代が次代の参考になるよう手本として残してきたもので、樂家の人びとはこれらの作品を制作の糧として樂焼の伝統を学び、それぞれ独自な作陶世界を築いてきたという。歴代の作品が並ぶ美術館は樂焼450年の伝統のエッセンスが保存されたタイムカプセルといえるわけだ。

太陽の光が降り注ぎ心地良い玄関} 太陽の光が降り注ぎ心地良い玄関

茶室に向かう露地庭園を思わせるアプローチ} 茶室に向かう露地庭園を思わせるアプローチ

樂茶碗から感じる利休の美意識

京都には博物館や美術館のように総合的に美術品を鑑賞できる場が多数あるが、こちらの美術館は「やきものが好き」「茶道に興味がある」などの思いをもつ人にとって特に魅力あるスポットとなるだろう。また樂家の家屋に隣接しているということもあり、樂家に伝わる美意識をより深く、より身近に感じることができるに違いない。樂茶碗の特徴は、ろくろを使わない手捏ね(てづくね)で、一碗ずつ制作されること。その手法は初代から変わらないが、歴代それぞれに作風や個性の違いがあり、それを見比べながらじっくりと鑑賞することができる。もの静かな茶碗の一つひとつが、利休の求めた「わび」の世界を教えてくれているようだ。

樂焼の花入や香炉なども展示される} 樂焼の花入や香炉なども展示される

スポット詳細

住所
京都府京都市上京区油小路通一条下ル map map 地図
電話番号
0754140304
時間
10:00-16:30(入館16:00まで)
休業日
月(祝は開館)、年末年始、展示替え期間
料金
展示によって異なる
駐車場
あり(4台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(Free WiFi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1,001-3,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
可(1Fのみ、エレベーター・エスカレーターはありません)

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 小さな美術館
    5.0 投稿日 : 2020.08.29
    小さいながらも「樂茶碗」窯元のお隣に設置された「樂茶碗」のための美術館。長次郎に始まる一族の歴史を俯瞰するためのもの。入り口から館内の普請、トイレの飾りに至るまでひとつの美意識が貫かれている。
  • 時間が止まる
    5.0 投稿日 : 2020.07.07
    住所は旧表記で言うと、油小路通り中立売上ル。最寄りのバス停は堀川中立売で、バスを降りて北を向くと交差点があり、左右(東西)に走るのが中立売通りで、これを東に100m進むと油小路通りとの四つ角。左折し50m行くと左手が樂美術館です。四つ角には樂美術館の看板も出てるので迷うことはありません。ちなみに北側からのアプローチだと、油小路通り一条の四つ角から下って50mです。白峯神宮や晴明神社に参拝後...
  • 建物も凝った作りの美術館
    4.0 投稿日 : 2020.01.23
    樂焼の名品が並んでいます。スマホなら写真取り放題なのは太っ腹。(カメラでは撮影禁止) 展示品も良いですが、建物の内装の細部の作りや、アプローチや庭園のデザインも洒落ていて、美術館全体が上質に感じられます。

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アクセス

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最寄り

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