隨心院

寺院

絶世の美女・小野小町の伝説が息づく格式高き門跡寺院

小野門跡とも称される格式高き門跡寺院。慶長年間に再建された諸堂は、狩野派や現代アーティストの襖絵が彩り、快慶作の仏像などが安置される。苔の庭園もすばらしく、平安時代の歌人・小野小町ゆかりの史跡も残る。

小野小町の和歌を記した絵馬} 小野小町の和歌を記した絵馬

小野門跡と称される由緒ある門跡寺院

地下鉄東西線の小野駅から東へ向かい、小野御霊町の交差点から南へゆくと隨心院の総門が現れる。駅からは徒歩約5分の道のりだ。真言宗善通寺派の大本山で、仁海(にんがい)が991年(正暦2)に創建した曼荼羅寺(まんだらじ)に始まるという。のちに隨心院の名に改められ、鎌倉時代の第86代・後堀河天皇の頃より門跡寺院として長い歴史を紡いできた。承久の乱や応仁・文明の乱で被害を受けたことで衰退するが、1599年(慶長4)に復興を遂げた。境内は国の史跡にも指定されている。この辺りは平安時代の歌人で、絶世の美女との誉れ高い小野小町が余生を過ごした邸宅跡とも伝わり、ゆかりの史跡も訪ねたい。

堂々たる構えに格式の高さを感じる薬医門} 堂々たる構えに格式の高さを感じる薬医門

華やかな襖絵に展開する小町の一生

総門をくぐり石畳の参道をまっすぐ進むと、右手には名勝の小野梅園が広がっている。梅林に咲くのは200本以上という紅梅「はねずの梅」。名は、古くは黄みを帯びた薄い紅色を「はねず」といったことに由来する。遅咲きで、年によっては桜との競演が見られることもあるという。石段を上がると庫裏(くり)が見え、ここで拝観受付をして表書院や奥書院、さらに本堂を順に巡ろう。書院では杉戸絵や狩野派の絵師が描いた襖絵など、江戸時代の絵画を堪能できる。一転、「能の間」に奉納された襖絵『極彩色梅匂小町絵図』は対照的だ。ふたり組の現代アーティスト「だるま商店」による、「はねず色」をベースにして小町の一生を描いた幻想的な絵だ。

襖絵『極彩色梅匂小町絵図』はフォトスポットとしても人気} 襖絵『極彩色梅匂小町絵図』はフォトスポットとしても人気

仏像の数々と麗しき苔の庭園を拝観

「能の間」には、多くの人からの恋文(こいぶみ)を下張りしたという小野小町文張(ふみはり)地蔵尊像や、小町の晩年の姿という卒塔婆小町坐像も祀られている。寝殿造の本堂には、本尊・如意輪観世音菩薩坐像(秘仏)、伝定朝作とされる阿弥陀如来坐像や快慶作の金剛薩埵(こんごうさった)坐像にお参りできる。本堂から表書院にかけて広がる、一面杉苔に覆われた緑豊かな植栽の庭園もお寺の魅力のひとつ。隨心院は都の南西にあたり、辰巳(巽)の方角であることから「洛巽(らくそん)の苔寺」とも称される。表書院の奥に座って眺めると、まるで額に縁取られた自然の絵画を見るかのようだ。苔がことさら美しい雨の日にもゆったり過ごせるお寺である。

本堂と苔の庭。晩秋には本堂奥のカエデが赤く染まりコントラストが美しい} 本堂と苔の庭。晩秋には本堂奥のカエデが赤く染まりコントラストが美しい

史跡が物語る小町伝説の数々

堂内から外に出て境内も巡ってみよう。小野梅園の南側には小町が使ったという石積みの「化粧の井戸」があり、竹林に沿って本堂の裏手へとたどってゆくと、小町の侍女を祀る供養塔や、小町に寄せられた1000束もの恋文が埋められたと伝わる「文塚」がある。小町を慕った貴公子のひとりの深草少将(ふかくさのしょうしょう)は「百夜続けて来れば想いに応えましょう」といわれ、訪ねるたびに証となるカヤの実を置いて帰ったという。ところが99日目は大雪で、少将は途中で力尽きて亡くなってしまう。3月に境内で開催される「はねず踊り」はこのふたりの悲恋の物語を題材にしたもので、保存会の少女たちによる舞が披露される。行事の日程を公式サイトで事前に確認して出かけよう。

小町が朝夕の化粧に使ったと伝わる「化粧の井戸」} 小町が朝夕の化粧に使ったと伝わる「化粧の井戸」

文塚は境内の東側、竹林のなかに静かにたたずむ} 文塚は境内の東側、竹林のなかに静かにたたずむ

はねず梅はやや遅咲きの梅。例年3月中旬から下旬が見} はねず梅はやや遅咲きの梅。例年3月中旬から下旬が見

スポット詳細

住所
京都府京都市山科区小野御霊町35 map map 地図
電話番号
0755710025
時間
9:00-16:30
休業日
無休(行事等で休みあり)
料金
【拝観料】
[一般(高校生以上)]500円
[中学生]300円
[小学生以下]無料
駐車場
あり(30台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店
可(ベビーカー不可)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 小野小町ゆかりの門跡寺院をゆったりと散策
    5.0 投稿日 : 2022.11.28
    2022年秋、京都に紅葉を観に行く際に小野小町が晩年を過ごしたお寺で近年、小野小町の生涯を描いた桃色の襖絵がインスタ映えするとの事で候補地の一つとして車で伺いました。 郊外という事もあり比較的観光客も少なく入場して待つこと無く御朱印を頂きゆったり場内を散策でき襖絵も人を気にすることなく撮影する事ができました。
  • 郊外にあるので割と空いている
    4.0 投稿日 : 2022.04.08
    此処も「幕末相棒伝」のロケ地で お寺の入り口の階段と門が印象的。寺の前に小ぶりな梅園がある。中に入ると小野小町の寺ということでそれらしい展示があるが 割と新しいもので さほど感動はなかったが 全体的には大きな寺で 見ごたえはある。
  • 安らぎを求めて
    5.0 投稿日 : 2021.05.11
    今年の京都旅行は少し足を伸ばして山科にある隋心院に行って来ました。隋心院は真言宗善通寺派の大本山。そもそもは真言宗小野流の祖である仁海が創建した寺の塔頭で如意輪観音菩薩を本尊としています。 また平安時代の女流歌人で、絶世の美女として有名な小野小町ゆかりの寺としても有名です。(わたしはこっちしか知らなかった)場所柄なのでしょうか、私たちが訪れた時はほとんど人がいなくて、ほぼ貸切のような状態でし...

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アクセス

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