八千代座
坂東玉三郎もほれ込んだ江戸の面影を残す芝居小屋
芝居小屋の中を自由に見学
木戸口と呼ばれる入り口を抜けて客席へ入ると、一瞬で別世界へ移動することができる。木枠で区切られた升席が広がり、その先には大きな松の絵を背景とした回り舞台がある。桟敷席の取り囲む2階には、赤い提灯がずらりと飾られている。天井には鮮やかな広告画がびっしりと並んでいて、その中央には優雅なシャンデリアがぶら下がっている。まずは升席に座って、八千代座の魅力をしばらくは身体全体で感じたい。これだけでも十分だと思えるが、八千代座は舞台裏から下まで、自由に見学することができる(興行等がある場合は不可)。舞台裏の楽屋をのぞき、奈落(舞台や花道の床下)へ下りる。そこにあるのは廻り舞台の仕掛け。直径8.4m、重さ3.2tの廻り舞台は男性4人で動かすという。花道の下を進むと「スッポン」がある。役者が花道にせり上がって登場する仕掛けで、こちらも男性4人で持ち上げる。歌舞伎役者がこの奈落を駆け抜けていく姿を想像すると興味深い。
昭和に復興を遂げた八千代座
八千代座のこけら落としは1911年(明治44)。山鹿の栄華を象徴する建物の1つだったが、昭和40年代になると娯楽が多様化したこともあり、八千代座は閉鎖状態が続き老朽化が進んでしまう。その姿に心を痛めた市民たちが1986年(昭和61)に八千代座復興期成会を発足し、募金活動で5万6000枚の屋根瓦の葺き替えを行うなど、八千代座の復興に尽力していった。1996年(平成8)からは「百年に一度」といわれる「平成の大修理」が行われ、耐震性を増すための補強も実施される。そして5年後の2001年(平成13)春、八千代座は2度目のこけら落としを迎えたのだった。明治の時代から歌舞伎や劇団、演奏会、リサイタルなど幅広く公演が開催されてきた八千代座は、「平成の大修理」後も多彩な役者や芸人、歌手などが舞台に立ってきている。なかでも大きな役割を果たしたといえるのが、坂東玉三郎だった。
劇場の復興をあと押しした玉三郎
市民によって復興が進められた八千代座だが、坂東玉三郎の公演を成功させたのも市民たちによってだった。『山鹿八千代座』(NTT出版)によると、地元の写真家が八千代座の舞台で玉三郎の公演が見られればと、八千代座の資料を送ったところ、公演したいと玉三郎から返事がきたという。まさかの展開だったが、1990年(平成2)に最初の舞踊公演、翌年に2回目の公演が行われた。同書は「この舞踊公演がなかったとすれば、劇場の修理が遅れたというにとどまらず、現役の劇場としての命が絶えていたかも知れない」と記している。その後、「平成の大修理」が行われたのは前述のとおり。そこに玉三郎が直接関係しているわけではないものの、玉三郎の公演が八千代座の名を広め、復興への大きな追い風を生み出したことは確かなようだ。
スポット詳細
- 住所
- 熊本県山鹿市山鹿1499 地図
- エリア
- 菊池・山鹿エリア
- 電話番号
- 0968444004
- 時間
- 9:00-18:00(最終受付17:30)
- 休業日
- 第2水、12/29-1/1
- 料金
- [見学料]大人530円、小・中学生270円
- 駐車場
- あり(10台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可(館内、建物周辺不可。屋外専用喫煙所のみ可。)
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可(1階部分のみ車椅子見学可)
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン
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クチコミ
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- 歴史のある劇場
- 数少ない、歴史のある劇場。名だたる方々が公演されてきたようです。拍子木、太鼓を叩けました。舞台横で動画があり、一度は衰退していた劇場だったが、皆が支援しあって再建された歴史や仕掛けの説明などとても分かりやすかったです。ヨのマークは、千代に八千代にという意味が込められている。素敵な劇場でした。演目を是非、いつかこちらで観てみたいです。
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- 歴史のある街の娯楽
- 2度目の訪問です。以前伺ったときは八千代座前が駐車場だったが、今回休憩スペースのように綺麗になっていました。山鹿灯籠館と八千代座セット750円チケット購入。丁寧に館内を案内していただき街の歴史を感じることができました。
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- シャンデリアがお洒落
- 江戸時代からの伝統的な建物にシャンデリアが奇妙にマッチしている、立派な劇場。舞台裏の仕掛けや、客席隅々まで見学できる。山鹿灯篭館との共通チケットがある。
TripAdvisorクチコミ評価
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