御船山楽園

御船山と庭園の紅葉のハーモニーが美しい

佐賀藩主の別荘として造られた日本庭園

長崎自動車道・武雄北方ICから車で10分ほどの距離にある、御船山楽園。江戸時代、佐賀を治めた藩主・鍋島茂義(しげよし)の別荘として1845年(弘化2)に造られた。武雄市の象徴である御船山の山すそに広がる庭園は、15万坪もの広さを誇る。四季折々の自然美を堪能できるなかで、春に咲き乱れるのは2000本の桜や20万本のツツジ。秋には樹齢170年の大モミジをはじめダイナミックな紅葉が御船山の懐を錦に染める。ライトアップされる夜の景色も見ごたえがある。夏の夜には、最新技術と自然が一体になった幻想的なイベントが催されることもあり、時とともに変化する景色は見逃せない。

秋と春の限定シーズンに公開される茶屋

小道をたくさんの木々が囲み、四季の変化を見るのも楽しい

武雄市のシンボルとともにあり続ける庭園

江戸時代の末期、第28代領主として武雄を治めていた鍋島茂義。当時の居城は、現在の武雄高校の位置にあった塚崎城(武雄城)で、背後には武雄のシンボルとして知られる、標高210mの御船山がそびえ立っている。御船山の断崖を借景に、約3年の歳月をかけて1845年(弘化2)に完成したのが御船山楽園だ。庭園は、船遊びや納涼、散策などを堪能することのできる「池泉回遊式庭園」。造園のために、京都から幕府の御用絵師を招き、完成予想図を描かせた。こだわりの甲斐あって、現在もため息の出るような眺望で来園者を魅了している。

武雄市のシンボルである御船山。断崖が大きなインパクトを与えている

約1300年前から御船山を見守る「五百羅漢」。名僧が羅漢像500体を彫り、洞窟に安置したと伝えられる

季節ごとに姿を変える庭園の景観

御船山楽園はいつ訪れても、四季折々に変化する景色がもてなしてくれる。春はソメイヨシノやヤマザクラが、はかないピンク色の花を咲かせる。次いで、庭園でも有名な赤や白など20万本のツツジが一面を埋め尽くす。色鮮やかなツツジ谷の光景はまるで絵画のよう。加えて樹齢170年の大フジにも注目を。淡い紫色の花が甘い香りとともに風に揺れる姿はなんとも優美だ。秋には、ひょうたん池周辺のカエデや樹齢170年の大モミジを中心に、紅葉の濃淡美を目にできる。冬は中国の山水画のような風景が秀逸だ。御船山を背景に花や木々が織りなす光景は、自然の美しさを存分に堪能させてくれる。

ツツジ谷の近くにある茶屋ではスイーツを味わえる

自然の恵みを全身で楽しめる武雄市

御船山楽園の近くには、日本庭園「慧洲園(けいしゅうえん)」がある。御船山楽園と同じ池泉回遊式庭園で、ダイナミックな石組みから流れる滝と茶畑が印象的だ。約1万平方メートルの敷地にはツツジや紅葉が植えられており、ゆっくり散策しても1周20-30分ほど。また、市内でぜひ立ち寄りたいのは、1300年前から人々に愛されている武雄温泉だ。すばらしい庭園をひととおり楽しんだら、湧き出る温泉に浸かって日々の疲れをじっくりと癒やそう。

慧洲園を一望できる物見櫓(ものみやぐら)からの景色