高砂酒造 明治酒蔵(直売店)

築100年以上の「髙砂酒造 明治酒蔵」。2004年(平成16)には第5回旭川市景観賞を受賞

明治時代に建てられた工場を資料館、直売店として利用

髙砂酒造は、1899年(明治32)に「小檜山(こひやま)酒造店」として創業。旭川で4番目にできた酒造会社だった。1909年(明治42)に建てられた製造工場が、現在資料館、直売店として一般開放されている「明治酒蔵」である。資料館を見学するだけでも楽しめるが、せっかくであれば、髙砂酒造の歴史や酒造りについて案内してもらえる工場見学に参加するのがおすすめ。5日前までの予約制なので、メールか電話で申し込みを。参加費は無料。工場見学の参加者はまず「明治酒蔵」に集合し、入り口にある仕込み水を試飲してからのスタートとなる。大雪山系の伏流水は中軟水でまろやかなのが特徴。冬は凍ってしまうため、試飲できるのは夏場だけ。また、「明治酒蔵」の裏手には給水場があり、地元の人たちがおいしい水を求めて訪れるそう。

「明治酒蔵」の入り口にある仕込み水。これを試飲して、いざ工場見学へ

日本酒に詳しくなれる工場見学。知ることで買い物が楽しみに

次に、「明治酒蔵」の向かいに立つ工場へ案内される。実はこの工場、1929年(昭和4)に建てられたもので、日本に現存する鉄筋コンクリート造の建物のなかで3番目に古いものなのだそう。工場として今も稼働しており、この中に入れるだけでも十分価値がある。日本酒造りについてわかりやすい説明を受けながら、工場内を移動。髙砂酒造は冬場に酒を造る「寒造り」なので、職人が仕込みをする作業風景が見られるのは冬場の午前中だけだそう。取材時は夏だったのでその様子は見られなかったが、大きなタンクや機械などを見せてもらいながら説明を受けると、日本酒にいくらか詳しくなった気になる。本醸造酒、大吟醸酒、純米吟醸酒といった特定名称酒の違いも教えてもらえるので、見学後の買い物がよりいっそう楽しみになる。

昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート造の工場

酒造タンクが並ぶ工場内。夏でもひんやりとしている

限定酒や梅酒、リキュール、食品などがそろう直売店

見学後は、再び「明治酒蔵」へ。「明治酒蔵」内の資料館には、先代社長が実際に使っていた応接間や昔の酒瓶、看板など貴重なものが数多く展示してあり、見ごたえがある。資料館を見たあとは、直売店で買い物を。髙砂酒造を代表する「国士無双」や最高級銘柄「旭神威(あさひかむい)」などのほか、「国士無双」をベースにした梅酒、その梅酒と道内各地の果物を組み合わせたリキュール「蝦夷蔵(えぞくら)梅酒LAB.」シリーズなど、幅広い商品が並ぶ。また、ここでしか買えない限定酒をはじめ、「若い世代に日本酒の魅力を伝えたい！」と毎年様々な日本酒造りに取り組むチャレンジプロジェクト「若蔵(わかぞう)」の商品など、興味深いものも多数。地元の企業とコラボした珍味、酒粕を使ったブルーチーズ、羊羹といった食品などもそろっている。

資料館の中にある先代社長の応接間

直売店には人気の「国士無双」のほか、蔵元限定品など多彩な商品が並ぶ

直売店の休憩スペースには撮影コーナーもある