宗谷丘陵
氷河期につくられた、どこまでも続く美しい丘
太古の地球の営みが生んだ美しい丘
宗谷丘陵は20mから200mほどの高さの丘が、モコモコと連なる。その丘を覆うのは、美しい緑のグラデーション。宗谷黒牛がのんびりと草をはむ様子や、牧草ロールが転がる北海道らしい光景が続く。約1万年前に起こった氷河期に、この辺りの地表は凍結と融解を繰り返してなだらかな起伏をつくった。これのような地形を「周氷河地形」と呼ぶ。周氷河地形は北海道によくある地形なのだが、開発などによりその景観の多くが失われてしまったため、しっかりとわかる形で残っているのはごく稀。ここ宗谷丘陵も、明治の中頃まではうっそうと茂る森にその姿を隠していたが、ある日起こった山火事で美しい稜線が現れたという歴史がある。
コレを目当てに訪れる人も多い「白い道」
宗谷岬から牛の群れが見える草原地帯を抜けて、車をしばらく走らせると「白い道」の看板が見えてくる。それを目印に進むと、道路にだんだん白いものが混じり始め、やがて真っ白な道が現れる。宗谷丘陵の「白い道」に到着だ。車で走るとガタガタするのは、この道が砕いたホタテの貝殻を敷き詰めてできているから。宗谷丘陵の「白い道」は稚内フットパスのコースでもある。ちなみにフットパスとは、イギリス発祥の「歩いて(Foot)楽しむ小径(Path)」のこと。雄大な景色を楽しみながらゆっくり歩くのは、まさにここならではの体験だ。フットパスルートに休憩用のベンチはあるが、自動販売機や売店はないので十分な準備をしてから歩くようにしよう。冬季は通行止めとなる。
美しい景観を保つ人々にリスペクトをもって
今では宗谷の名所となった「白い道」は2011年(平成23)に、市の職員のアイデアで始まった。余ったほたて貝の貝殻を再利用する目的で始まったものだが、その美しさから瞬く間に人気になった。観光客からは美しい自然の光景に思えるが、実際には市の職員が中心となり、毎年草むしりなどをしてきれいに整えている。いつまでもこの景観を楽しめるよう、ルールを守って楽しもう。
◆白い道を楽しむための「5つのお願い」(稚内市)
1.白い道は宗谷岬側のスタート地点から入ろう
2.宗谷岬周辺でトイレを済ませよう
3.白い道ではスピードダウン&譲り合い
4.牧草地には絶対入らないで
5.ゴール地点の宗谷地区(市街地)ではゆっくり走る
大空にすっくと伸びる風車も見どころ
もうひとつ、宗谷丘陵で見ておきたいのが「ウィンドファーム」だ。風の強い稚内の特性を生かし設置された。青空の下の緑の丘に、白く大きな風車がゆっくりと回る様子は雄大で、北海道の広さを実感できる。宗谷丘陵の「氷河時代に形成された周氷河地形」は2004年(平成16)、北海道遺産に登録された。広大な場所なので、全貌を見学するなら車やバイクでまわると効率が良い。フットパスを歩くなら、行き帰りは路線バスやタクシーを利用しよう。宗谷岬をスタートにしたロングコース(約4時間)と、中間地点のウィンドファーム付近をスタートにしたショートコース(約2時間)があり、どちらも宗谷岬の南西にある宗谷歴史公園がゴールだ。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン