十勝千年の森

その他の名所

じっくり見学したら、4時間かかる！？　とにかく広大なガーデン

花いっぱいのガーデンではないが、自然の風景とガーデナーが造り出した庭が見事に調和する十勝千年の森。1000年後まで豊かな自然が引き継がれるようにとの願いのこもった森は、国内外から高い評価を受けている。

迷いそうになったら、園内中央のレンガ色の休憩所「キサラ」を目印にしよう

十勝清水ICを下り、草原のなかの道をひた走る。「木が多くなってきたな」と思った頃にたどり着くのが、十勝千年の森だ。日高山脈のふもとに広がるガーデンは、例年4月に開園。400万㎡の敷地には小川が流れ、多くの動物や昆虫が暮らしている。夏には江戸風鈴がたくさん吊るされたり、秋のハロウィンにはカボチャが飾られたり。閉園の10月まで、四季折々に移ろう森の姿を楽しめる。全部で4つあるガーデンをすべてまわれば3時間、ランドマークでもある「千年の丘」まで向かうと4時間は要する、道内でもトップクラスの広さだ。

とても広い敷地だが、出入り口は1か所のみ。売店は出入り口付近にある

十勝千年の森は、十勝毎日新聞社が運営している。新聞を作れば、大量の紙を消費してしまう。そこで森を育てて資源を返そうと考えたのだ。もとからある自然と調和するよう設計されたガーデンは、国内外のガーデナーからも注目を浴びている。2012年(平成24)には、優れた庭園デザインを表彰する英国ガーデンデザイナーズ協会主催「SGI Award 2021」で、「アースガーデン」と「メドウガーデン」が最高位となるグランド・アワードを受賞。審査員から「21世紀のガーデンデザインの最良の例」と絶賛された。メドウガーデンは、特に周囲の自然との調和が見られる。千年の森のなかでは、最も花の多い場所だ。メドウガーデンだけでも、1周すると約25分かかる。

メドウガーデンはわずか3人で管理しているというから驚きだ

アースガーデンは、もともと平坦だった場所に13の丘を造成した。週に1度は芝刈りを行い、27㎜の長さにそろえている。ガーデン内には、帯広出身の彫刻家・板東優が手がけた岩やブロンズのアート作品が展示されている。「カムイのサークル」は、神様が十勝の鹿と日高の鹿が争うことをやめさせたというアイヌの伝承を表現したもの。中央に置かれているのがカムイ(神様)で、ここは知る人ぞ知るパワースポット。願いを込めてなでると、その願いが叶うとか……。

27㎜に芝生をそろえる理由は、裸足で歩くのに心地良い長さだから

中央の石がカムイ、円陣で囲むように配置されているのが十勝と日高の鹿

カフェでランチボックスを購入し、好きな場所でピクニックを楽しもう。ヤギが放牧されており、チーズ作り体験ではピザをいただける。自分で作ったチーズがたっぷり載ったピザは格別。ヤギチーズを作っているのは、道内でここと森町にある牧場の2か所だけ。広大な森をセグウェイでまわるガイドツアーも人気がある。45分間の練習時間があるので、初めてでも安心だ。ガイドツアーは90分間。2回目以降の参加者は、森林区域を巡る別コースも用意されている。自分の体でバランスをとりながら進むセグウェイは、草原を飛び回っているような浮遊感を味わえる。2000円の年間パスポートは、新緑や紅葉と、季節ごとのガーデンを楽しめお得。道内在住なら買っても良さそうだ。

起伏の多いガーデンを進むのが楽しいと評判。ツアーは1人9800円