然別湖

静かな湖面を、カナディアンカヌーがゆっくりと進む

アクティビティはネイチャーセンターで

然別湖は、大雪山国立公園の南部にある。帯広方面からパールスカイライン(道道85号)で北上するのがわかりやすい。この道はヘアピンカーブの続くツーリングでも人気の道だ。しばらく進むと、右手に木立を縫って然別湖が見えてくる。周辺に広がるのは原生林。手つかずの自然が残る場所だ。然別湖で遊ぶなら、まずはネイチャーセンターを目指そう。数々のアクティビティがあり、ゆっくり湖を眺めて過ごせるカフェもある。アクティビティは基本的に予約制なので、事前の申し込みは忘れずに。然別湖は、北海道でいちばん標高の高い湖のため「天空の湖」とも呼ばれている。

カナディアンカヌーの様子。ツアーには必ずガイドが付いてくれる

静かな湖面を滑るように進むカヌー体験

然別湖のアクティビティのひとつ、カナディアンカヌーはスピードが出ないので、ゆったりとした時間を感じられる。風がなく穏やかで空気も澄んだ、早朝出発のツアーがオススメだ。最初にパドルの持ち方、カヌーの乗り方や降り方をレクチャーしてもらえる。宿泊施設の並ぶエリアを離れると、風の影響を受けにくくなる。然別湖はエンジンの付いたモーターボートは走らないので、湖面が揺れることもない。出発して最初に右手に「くちびる山」が現れる。地上に見える山が上唇に、湖面に逆さまに映った山影が下唇に見えることから名づけられた。その隣は白雲山。白雲山の頂上からは然別湖と十勝平野が、反対側には十勝岳連峰を望めるそうだ。

ガイドは自然を知り尽くしたプロ。レクチャーをしっかり聞いて安全に楽しもう

右に見えるのがくちびる山。山影が湖面に反射し、本当にくちびるに見える

自然の美しさとアイヌ文化を感じよう

然別湖は、太古の火山活動が川を堰き止めてできた。9つの湾と1つの島があり、周辺の斜面には夏でも涼しい風穴がある。風穴の奥には永久凍土が確認されている。また、川が堰き止められたことで独自に進化した生物もおり、たとえばミヤベイワナは然別湖にしか生息していない。然別湖に浮かぶ弁天島には小さな鳥居があり、開拓者が琵琶湖の神様を勧請したと伝わっている。ここは知る人ぞ知るパワースポットだが、上陸はできないので観光客はカヌーや遊覧船の上から参拝しよう。毎年7月の第1土曜には「白蛇姫まつり」が開催される。然別湖を舞台とするアイヌの伝説がモチーフの「白蛇姫舞」や、アイヌの伝統舞踊が披露され、然別湖の神秘的な雰囲気をいつも以上に感じられる1日になる。

ネイチャーセンターの「Café mubanchi」では然別湖を眺めながらゆったりとした時間を過ごせる