北方館・望郷の家
日本人なら知っておくべき「北方領土問題」を学べるスポット
向かって左の丸い壁の建物が「望郷の家」、右の四角い建物が「北方館」である
故郷を追われた人々のために建てられた施設
納沙布岬には、北方領土問題にまつわるモニュメントの数々がある。この問題に興味が湧いたら無料の施設「北方館 望郷の家」に足を運ぼう。北方館は1980年(昭和55)に、北方領土返還の実現を目指して開館した。望郷の家はそれよりもさらに古く、1972年(昭和47)、島を追われた人々の心の拠りどころとして設置された。この年には沖縄が日本に返還されている。館内には住居表示がされた北方四島の地図などが掲示されていて、住み慣れた島を突然に奪われた悲しみが、胸にグッと迫ってくる。2階には望遠鏡があり、海を進むロシアの監視船や日本の巡視船が見える。3月初旬から中旬にはオジロワシ、オオワシなどが乗った流氷が、左から右へ流される壮大な景色も見られる。
左手には納沙布岬から37.4km離れた国後島、右手には歯舞群島の島々が見える
北方領土の歴史を正しく知っておこう
根室は「北方領土返還要求の原点の地」だ。終戦当時、歯舞群島(はぼまいぐんとう)、色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)の4島には3124世帯、1万7291人が暮らしていた。1945年(昭和20)8月15日、第二次世界大戦は終戦を迎えたが、ソ連軍は終戦後の8月28日に択捉島に侵攻。9月5日までにこの4島を占領してしまう。多くの島民は島を脱出し根室へとやってきた。当時の根室町長・安藤石典(あんどういしすけ)は、マッカーサーにこの問題について直訴するために、同年12月1日に陳情書を提出するとともに、1946年(昭和21)8月6日に上京している。故郷を離れるしかなかった島民は、引き揚げ後も苦労の連続だった。その様子が北方館 望郷の家の展示内容から推測できる。
返還運動に関するパネル展示。自国の歴史でも知らないことが多くて驚く
北方領土視察証明書は、3種類のデザイン。無料で発行してもらえる
心を動かされたら署名活動にも参加できる
館内には「北方四島VRコーナー」があり、戦前の四島の街並みや景色などを再現した体験型アニメーションを視聴できる。北方四島には52か所の墓地があり、約4700人が埋葬されている。元島民は墓参りのためにビザなしで渡航できるが、それも限られた日だけだ。ちなみにビザは他国への入国許可証なので、「ビザなし」で北方四島に向かうことには、「日本の領土である」という大きな意味がある。この施設には年間約15万人が訪問。現在、歯舞群島にはもう人は住んでいないという。
北方領土返還への願いを込めたモニュメント
北方館の前にはアーチ状のモニュメント「四島(しま)のかけ橋」がある。4つのブロックで北方四島を表現し、四島返還実現への強い決意を象徴するものだ。アーチの下には、1972年(昭和47)5月15日に日本への復帰を果たした日本最南端の島・波照間島(沖縄県)で自然採火した「祈りの火」が灯る。祈りの火は、1981年(昭和56)9月27日に初めて灯されて以来、毎朝、休むことなく点火される。納沙布岬の豊かな自然を見ていると「平和だなあ」と感じてしまうだろう。だが今なお「故郷に帰りたい」という、当たり前の願いが叶わずにいる人々のことを忘れてはならない。
スポット詳細
- 住所
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北海道根室市納沙布36-6
地図
- エリア
- 根室エリア
- 電話番号
- 0153283277
- 時間
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[3/1-10/31]9:00-17:00
[11/1-2月末]9:00-16:30 - 休業日
-
[5/1-10/31]無休
[11/1-4/30]月(祝の場合は開館)、年末年始(12/29-1/3) - 料金
- 無料
- 駐車場
- あり(70台)
- Wi-Fi
- あり
- 喫煙
- 不可
- 車椅子での入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン