追分宿

歴史街道

今も昔も文化が息づく、中山道の宿場町散策

中山道六十九次のうち江戸から数えて20番目の宿場。中山道と北国街道の分岐点でもあり、「追分」の名はこれに由来している。文化人にも愛された宿場町の雰囲気が残る街並みを、ゆっくり散策してみてはどうだろう。

宿場町の風情が漂う。水路を挟んで右手には追分公園が広がる} 宿場町の風情が漂う。水路を挟んで右手には追分公園が広がる

緑のなかにも文化の香り

上信越自動車道の碓氷軽井沢ICから車で約30分。国道18号から分岐してすぐ近くにある町営の無料駐車場に車を停め、追分宿の散策スタート。追分公園のなかを歩いていくと、追分宿郷土館が現れる。外観は旅籠を模した造り。館内は木造風の造りで、江戸時代の落ち着いた雰囲気が漂う。軽井沢の伝承民謡『追分節(おいわけぶし)』を聴けるコーナーや、現在も建物の残る枡形の茶屋、津軽屋の一部を復元したコーナー、宿場・脇本陣・旅籠のジオラマなどを展示している。公園に隣接する浅間神社の本殿は室町時代の様式を残しており、その手前には、松尾芭蕉が更科紀行で読んだ「吹き飛ばす 石も浅間も 野分哉」の句碑が建てられている。

追分宿郷土館。手前に伸びる木の枝は町木のコブシ} 追分宿郷土館。手前に伸びる木の枝は町木のコブシ

緑のなかにたたずむ浅間神社} 緑のなかにたたずむ浅間神社

ぜひ訪れたい「堀辰雄文学記念館」

昭和初期に活躍し、『風立ちぬ』など、軽井沢を舞台とした数々の作品を残した作家の堀辰雄。記念館にはゆかりの品が展示されているほか、晩年を過ごした住居も見ることができる。別棟の書庫は、堀辰雄がみずからの所蔵品を収めるために建てたもので、本人の指示したとおりに蔵書が並べられている。また、記念館の入り口にある追分宿本陣の裏門も見事。長年、隣町に保存されていたが、2005年(平成17)に移築され、追分宿へ戻ってきたものだ。

軽井沢を愛した作家のひとり、堀辰雄の旧居。並木のカエデは室生犀星から送られたもの} 軽井沢を愛した作家のひとり、堀辰雄の旧居。並木のカエデは室生犀星から送られたもの

追分宿を歩いていたら、おもしろいものを見つけた。追分昇進橋のバス停横に、木製の棚のようなものが立っていて、ガラス扉の中には本が並んでいる。これは、一人一冊、自由に本を借りることのできる青空文庫。この日は、旅の本、小説、雑誌、新書などさまざまなジャンルの本がそろっていた。

通りの両側にいくつか設置されている、青空文庫} 通りの両側にいくつか設置されている、青空文庫

新たな文化が生まれる場所

脇本陣であった旧油屋は、昭和には油屋旅館として、堀辰雄、立原道造、加藤周一といった文化人たちに愛され、ここから多くの作品が生まれた。現在は「信濃追分文化磁場 油や」として生まれ変わり、アートギャラリーやイベントが開かれている。今もなお、老若男女、さまざまな感性が混じり合い、新たな文化が生まれる拠点として人気を集めている。時期によっては宿泊も可能だ。元禄時代には旅籠屋71軒、茶屋18軒、商店28軒と、非常に栄えていた追分宿。400年前の人たちは、この道を歩きながらどんなことを考えていたのだろう。宿場町の雰囲気を感じながら、人々が行き交い、賑わっていた風景に思いを馳せる。

さまざまな分野の作家やアーティストが集まる「油や」} さまざまな分野の作家やアーティストが集まる「油や」

中山道のことをもっと知りたいなら

追分宿無料駐車場から車で3分ほどの所にある「中山道69次資料館」。日本橋から京都三条大橋までの69宿を紹介しており、中山道を旅するように楽しめる。江戸時代の浮世絵と、現在の同じ場所で撮った写真を比較できる展示があり、タイムスリップのような感覚も。資料館の庭はミニ中山道になっており、街道歩きを体験できる。休館日も庭のみ開放している。

追分宿を歩き、学び、感じる散策はいかがだろう} 追分宿を歩き、学び、感じる散策はいかがだろう

スポット詳細

住所
長野県北佐久郡軽井沢町追分 map map 地図

情報提供: ナビタイムジャパン

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