秋の宮温泉郷の紅葉

自然に湧出する温泉と川の水を混ぜて自由に足湯が楽しめる「川原の湯っこ」

宿ごとに異なる源泉を持つぜいたくな温泉郷

秋の宮温泉郷は秋田県の南の玄関口。宮城県との県境に近い国道108号沿いに数軒の温泉旅館が点在する。奈良時代に発見されたといわれる秋田県最古の温泉があり、古くから湯治場として栄えた温泉郷だ。かつては武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)らの文化人、著名人に愛された稲住温泉(いなずみおんせん)や、スパリゾートの秋の宮山荘、秘湯を守る会に入っている湯治宿・鷹の湯温泉、渓流沿いに天然温泉の湧き出す川原の湯っこなどが楽しめる。秋の宮温泉郷までのアクセスはJR奥羽線の湯沢駅、横堀駅から乗合タクシーがあるが、マイカーやレンタカーの利用がおすすめ。宿によっては横堀駅まで送迎してくれる。

古き良き秋田の情緒を感じる鷹の湯温泉。役内川(やくないかわ)沿いにある野天風呂が人気

秋田最古の温泉郷に風情の異なる3つの湯宿

武者小路実篤が第二次世界大戦中に疎開先として滞在していた名湯「稲住温泉」。自然に湧き出す源泉は豊富な湯量を誇り、源泉かけ流しのお湯が大浴場や露天風呂、貸切風呂を満たす。源泉は単純泉とナトリウムー塩化物泉・炭酸水素塩泉の2種類で、どちらも無色透明のまろやかな泉質だ。昭和の著名な建築家が設計した離れ「天の坐」には4つの部屋があり、それぞれの部屋には自然豊かで美しい庭に面したテラスが設けられ、そこには源泉かけ流し、檜の浴槽の露天風呂が設らえてある。この稲住温泉から車で5分ほどで到着するのが、役内川に面した野天風呂で有名な鷹の湯温泉だ。日本秘湯の会にも登録している秘湯ムード満点の湯で、渓谷の絶景を一望できる半露天風呂など3つの混浴風呂がある。

ひなびた温泉宿を大胆にリニューアルした稲住温泉

立ち寄りで温泉とランチが楽しめる山荘

駐車場も広く日帰り温泉以外に立ち寄りでランチも堪能できる「秋の宮山荘」は、山奥の温泉郷ながらレストランや会議場、宴会場も備えた大型リゾート施設だ。大きなガラス窓と高い天井で開放感抜群の大浴場には、内湯の他に寝湯、打たせ湯、露天風呂、ジェットバスを設えており、違ったシチュエーションで歴史ある温泉を堪能できる。泉質はナトリウム塩化物泉で、無色透明のさらりとしたお湯。肌触りがさらりとしており、湯上りの保温効果が高い温まりの湯としても人気だ。館内のレストランでは予約なしでランチやカフェメニューもいただけるので、栗駒山を巡るドライブのついでに立ち寄る休憩スポットとしてもおすすめだ。

7種のお風呂が自慢の秋の宮山荘。まさにスパリゾートの装い

川原や滝壺が温泉になる源泉スポット

秋の宮山荘から車で5分ほどで到着する穴場が、役内川(やくないがわ)の川べりに温泉が自噴する野天風呂「川原の湯っこ」。見た目は普通の渓流なので、看板を見つけないとなかなかたどり着くのが難しい。入り口の小屋に備え付けてあるスコップで川底を掘り、川の水をひいてちょうどいい温度に調整すればオリジナルの足湯が完成。車で1時間ほど離れた場所には、湧き出す温泉が川となり滝になって流れ落ちる「川原毛大湯滝(かわらげおおゆたき)」がある。こちらも天然の野天温泉なので入浴無料だが、ちょうどいい湯温になるのはグリーンシーズン限定。ぜひ川原の湯っこと合わせて、大自然に抱かれるユニークな温泉を体験してほしい。