松本家
時代劇映画のロケ地でも有名な簡素な下級武家屋敷
江戸時代にタイムスリップしたようなたたずまい
ここは角館のなかでも中級・下級武士の屋敷が立ち並ぶ東勝楽丁(ひがしかつらくちょう)から1本西に入った小人町。中級武家屋敷として有名な岩橋家(いわはしけ)から徒歩3分ほどの位置にあり、黒板塀ではなく柴垣で囲まれた簡素な門構えの下級武家屋敷。同じく映画『たそがれ清兵衛』のロケ地となった岩橋家と比べても、敷地面積や門構え、主屋の造りにいたるまではっきりと身分の違いを感じる。下級武士といえど佐竹氏の重臣・今宮家の組下で、芦名氏が絶えたのちに佐竹北家(さたけきたけ)に仕えた学者の家系。かつての寺子屋向けの教科書として知られた『烏帽子於也(えぼしおや)』の著者として知られる須藤半五郎(すどうはんごろう)を輩出している。当時の意匠を残しながら管理保存されている下級武家屋敷として貴重であり、秋田県の有形文化財にも指定されている。
質素堅実な下級武士の生活が読み取れる
角館には武士が暮らした内町(うちまち)と商人が暮らした外町(とまち)に分けられており、さまざまなスタイルの屋敷を見ることができる。そのなかでも唯一、松本家でしか見られないのが「杉皮葺き石置き屋根(すぎかわぶきいしおきやね)」だ。玄関付近の下屋に注目してみると、茅葺き屋根の上に大量の石が置かれているのがわかる。これは冬の季節風に吹き飛ばされないように茅葺きを補強するための造りで、角館で残っているのは松本家だけ。現在家屋の中に入って見学することはできないが、柴垣に囲まれた家屋をぐるりと一周して内部をのぞき見ることは可能。内部には玄関や縁側、座敷や居間、水屋などがある。離れの寝室はのちに移築されたもの。裏手の敷地にはかつて野菜などを育てる畑もあったといい、武士ながらも慎ましく暮らしていた当時の生活に思いを馳せることができる。
春から秋にかけてはイタヤ細工の実演も
松本家のもうひとつの見どころは、4月上旬から11月上旬頃まで縁側で行われているイタヤ細工の実演。イタヤ細工とはイタヤカエデの若木の幹を帯状に裂いて、さまざまな形に手作業で編み込んだ民芸品のこと。材料のイタヤカエデは秋田の山地に自生する落葉高木で、藩政時代の農家は副業として農具用の箕(み)や魚籠(びく)などの道具を作っていたという。なかにはイタヤ狐、イタヤ馬などの動物をモチーフにした作品もあり、当時の子どもたちのおもちゃでもあった。松本家でも畑作業のない農閑期には、縁側でイタヤ細工を編む光景が見られたのかもしれない。杉皮葺き石置き屋根の下で行われている実演を遠目に見ていると、そんな郷愁を感じることができる。イタヤ細工は販売もしており、職人さんと話をすることもできる。ここでしか売っていないお気に入りのイタヤ細工を見つけて、お土産にしてみてはどうだろう。
スポット詳細
- 住所
- 秋田県仙北市角館町小人町4 地図
- エリア
- 角館・田沢湖・乳頭エリア
- 電話番号
- 0187433384
- 時間
- 9:00-16:00
- 休業日
- 11月上旬-4月中旬
- 料金
- 無料
- 駐車場
- なし
- 備考
- ※電話番号は仙北市観光文化スポーツ部文化財保護室に繋がります。
情報提供: ナビタイムジャパン