戸定邸・戸定歴史館

歴史的建造物

江戸幕府最後の将軍の弟が後半生を過ごした明治の屋敷と庭

江戸川を見渡す小高い丘の上に明治時代に建てられた古い屋敷がある。江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の弟で、水戸藩最後の藩主であった徳川昭武が隠居後に私邸として四半世紀にわたり暮らしたところだ。

明治時代からの芝生を保護するため庭園が歩けるのは毎月10、20、30日のみ 明治時代からの芝生を保護するため庭園が歩けるのは毎月10、20、30日のみ

緑に囲まれてひっそり建つ明治の館

戸定邸があるのは松戸市の住宅街のなか。交通量の多い通りから住宅街の道に入り坂を上がっていくと前方に茅葺き屋根のある門が見えてくる。門のすぐ脇に立つイチョウの大木は、この場所が造園された際に植えられたもので、樹齢150年を超えるという。階段を上り門をくぐって中に入ると、目につくのはイチョウの木と同じくらいの樹齢を重ねたであろう大きな樹々が繁る園路。左側にある新しい建物は徳川昭武ゆかりの品などを展示している松戸市戸定歴史館。右側にある主役の戸定邸はもともと派手なしつらえになっていないので、周辺の植栽と調和してあまり目立たないが、明治時代の徳川家の住まいがほぼ完全に残り、国指定重要文化財になっている貴重な建物だ。

長い歴史を感じさせる茅葺き門 長い歴史を感じさせる茅葺き門

激動の時代に生きた人物が建てたこだわりの屋敷

1884年(明治17)に完成したこの屋敷の主・徳川昭武は、歴史の表舞台にはあまり登場することのない人物だが、幕末から明治にかけて、あるときは最後の将軍の弟として、あるときは水戸藩最後の藩主として、あるときは徳川家の人間として、激動の時代のなか人生を歩んできた。1883年(明治16)の2月、長女出産後に妻を亡くし、その年の5月には甥に家督を譲って29歳の若さで隠居。翌年生母とともにこの場所に別邸を構えた。廊下で結ばれた9棟の建物に全部で23の部屋があり、そのうち8棟が重要文化財に指定されている。明治の世になり大名は存在していなかったが、旧大名家の生活を今に伝える貴重な文化財だ。江戸時代のように建物には「表」と「奥」の機能があり、「表」は来客や他家との交際に使う区画で、「奥」は家族が暮らすプライベートな区画だ。

正客用玄関の両脇にはヒヨクヒバの大木が立つ 正客用玄関の両脇にはヒヨクヒバの大木が立つ

質素に見えるがやはり徳川のお屋敷

表玄関から徳川家の賓客になった気分で中に入る。靴を脱ぎ、大理石の沓脱石を上がり、横目で内倉(屋内にある蔵)を見ながらまっすぐ表座敷へ。徳川慶喜ほか多くの人が訪れたであろう表座敷は、広いだけでなく、庭園に面し眺めもすばらしい。室内は派手な装飾があるわけではなく、一見するととても質素に見えるが、そこはやはり徳川家の館、建材は最上級の品が使われており、正目の柱、継ぎのない戸板や梁のほか、目立たないところにもぜいたくな材が使われている。ここは「表」にあたる部分で、「奥」には後妻の居室だった「八重の間」や生母の居室だった「秋庭の間」などがあり、地味ながら手の込んだ細かな装飾が施されていることがわかる。当家の家族が使ったであろう、網代編みの天井の湯殿の見学もできる。

客間では庭園の眺めだけでなく、手の込んだ欄間の装飾など細部に目を凝らしてみたい 客間では庭園の眺めだけでなく、手の込んだ欄間の装飾など細部に目を凝らしてみたい

言われないと気づかないが、正目の柱が美しい 言われないと気づかないが、正目の柱が美しい

秋庭の間の欄間には秋庭の実家の家紋にゆかりの雀の装飾が 秋庭の間の欄間には秋庭の実家の家紋にゆかりの雀の装飾が

庭園からの眺望を楽しむ

今はたくさんの建物や高速道路などが建設され、江戸川を望む高台にあるこの屋敷からの眺望も昔とはだいぶ違ったものになっているだろう。とはいえ空気の澄んだ晴れた冬の日には今でも表座敷から富士山が見えるという。残念ながら明治時代からの芝生保護のため戸定邸内の庭園を自由に歩き回ることはできないが、この丘は全体が戸定が丘歴史公園になっていて、園路に沿って自由に散歩ができる。きれいに手入れされた樹々の間をのんびり散策してみよう。春の梅や桜、秋の紅葉は有名だ。江戸川方面の眺望が開けたところには復元されたあずまやがある。ここに座ってしばし明治の頃を想像しながら、令和の景色を眺めてみたい。

標高25mから江戸川方面を眺める ※この場所での飲食、長時間の占有は禁止されている 標高25mから江戸川方面を眺める ※この場所での飲食、長時間の占有は禁止されている

スポット詳細

住所
千葉県松戸市松戸714-1
エリア
東葛エリア
電話番号
0473622050
時間
9:30-17:00(入館は16:30まで)
休業日
月(祝の場合は翌日)、年末年始(12/28-1/4)
※歴史館のみ展示替え期間休みあり
料金
[戸定邸・歴史館共通券]320円
駐車場
あり(46台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
英語メニュー
あり
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 最後の徳川将軍慶喜と弟の水戸藩主徳川昭武の明治維新の混乱期の邸宅です
    4.0 投稿日:2020.08.19
    JR松戸駅から徒歩約10分の緑豊かなところに静かに佇んでいます。歴史館と戸定邸に分かれ歴史館は水戸藩主徳川昭武の明治維新の混乱の中での殿様の生活が偲ばれる写真など多数陳列されています。昭武も慶喜も写真が好きで沢山の写真が並べられ当時のことが良く分ります。戸定邸からは松戸の街並みから富士山が望まれます。現在はタワーマンションのために若干富士山が見づらくなっているのは残念ですね。慶喜の弟ということで将...
  • 松戸の徳川家の歴史を知る
    4.0 投稿日:2019.05.06
    徳川昭武と兄の徳川慶喜に関する資料を展示している施設です。幕末から明治にかけての写真、文書、書籍や遺品などが展示されていて、当時の活動や生活の様子をうかがい知ることができます。庭園も美しく散策も楽しめます。
  • 江戸末期を感じるスポット
    5.0 投稿日:2018.07.09
    雰囲気の良いこぢんまりとした歴史観です。園内の散策が気持ちよいです。ちょうど天気の良い費だったので、とても気分良く散策できました。

TripAdvisorクチコミ評価

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アクセス

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