牛窓オリーブショップ

瀬戸内海を望む南斜面にあり、大小の島の点在する瀬戸内の穏やかな景色が広がる

自由に散策できる山の斜面のオリーブ園

牛窓オリーブ園は、江戸時代に財をなした商家服部家の当主和一郎(わいちろう)氏が1942年(昭和17)に「オリーブは栄養も良く、薬用にもなり、灯火にもなり、自然も守る」と、小豆島の友人から苗木を分けてもらい植樹したのが始まりだ。現在、1万平方メートルの敷地に約2000本を栽培し、食用、化粧品へ利用されている。園内は観光エリアにもなっていて、展望台、カフェ、ショップ、広場、宿泊施設などが点在し、園内の丘陵地を歩くと変化に富む風景を楽しめる。

園内の木にたわわに実るオリーブの実

画家が愛したオリーブと瀬戸内海の風景

園内には駐車場が2か所ある。第一駐車場からオリーブ園に入るとまず見えるのが赤い屋根の建物「赤屋根」だ。元は服部和一郎が建築した建物だが、刻々と変化する光によってオリーブの葉がきらめく風景に魅せられて牛窓に移住してきた画家の佐竹徳(さたけとく)に1962年(昭和37)から提供した。日本芸術院会員の佐竹画伯はここをアトリエにして画業に打ち込み、「オリーブの画家」と呼ばれ、たくさんの作品を残した。佐竹画伯の作品はこのオリーズ園から車で約10分のところにある瀬戸内市立美術館で鑑賞できる。

画家がアトリエとして使用した建物「赤屋根」

広場やコーヒー専門店など園内に多彩なスポットが点在

「赤屋根」から東に10分ほど歩いたところに古代ローマの神殿跡のような広場「ローマの丘」がある。ここにある石柱は、第二次大戦中の岡山空襲で破壊された三井銀行岡山支店の石柱が移されたものでオリーブの木々に囲まれ独特の雰囲気を漂わせ、記念撮影のスポットになっている。「ローマの丘」から北側の道を西へ進むと山頂広場や、オリーブの商品が並ぶショップ、絶景を眺められるコーヒー専門店、思いを込めて3回鳴らすと幸運に恵まれるといわれるラッキースポットの「幸福の鐘」などがある。公式サイトに園長がすすめる散策コースが設定されているので、おでかけ前にチェックしておくといい。

異国情緒を漂わせる石柱のある広場。石柱は戦前の洋館から移された貴重なもの

「幸福の鐘」はオリーブショップのすぐ近くにある

映画のロケ地としても有名に

牛窓オリーブ園は、児童文学作家角野栄子さんの代表作の実写化『魔女の宅急便』(2014年、清水崇監督、小芝風花主演)や『君と100回目の恋』(2017年、月川翔監督、miwa・坂口健太郎主演)の映画ロケが行われたことでも知られる。映画のなかでどのようにオリーブ園が登場しているか確かめてみるのもおもしろい。「しおまち唐琴通り」では海のすぐそばで牛窓の昔ながらの港町風情を楽しめ、「牛窓オリーブ園」では高台から広大な庭園を見ているかのような瀬戸内の風景を楽しめる。ぜひ両方の牛窓を満喫しよう。

園内にはベンチの設置された場所もある。のびやかな風景を楽しみたい

オリーブを利用した多彩な商品の並ぶショップがある