曽木の滝

『東洋のナイアガラ』と称される日本最大規模の大瀑布

川内川とその支流が、巨大な岩石の間を流れ落ちながらダム湖に注ぐ、滝幅210mの曽木の滝。整備された公園内には飲食店や土産物店も立ち並び、桜や紅葉といった四季折々の景色を楽しめる。

千畳岩に大量の水が流れ落ちる名瀑

鹿児島の県北を代表する観光スポットのひとつで、豪快な水流と滝の轟音が魅力の滝。「東洋のナイアガラ」と称される理由は、滝幅210m、最大落差12mという国内有数の壮大なスケールにある。大小さまざまな岩で構成される千畳岩の隙間を、水しぶきを上げながら大量の水が流れ落ちる様子は、まさに絶景。周囲は自然に囲まれていて、春は桜やツツジが咲き誇り花見客で賑わう。水量の増す夏は、滝の水しぶきに涼を求める観光客をひきつける。また、秋になるとカエデやイチョウの葉が色づき、壮大な滝との鮮やかなコントラストが見ものだ。花見や秋の行楽シーズンに合わせて、曽木の滝公園でイベントも開催。家族連れやカップルなど、県内外から観光客が集まる。

展望所には滝の轟音が鳴り響く

曽木の滝は、鹿児島県の北部を流れる川内川の上流にある。川内川とその支流を含めたなかでも最大規模の滝で、なかでも滝幅は日本一の広さ。横に広がる滝がさまざまな流れを見せている。圧倒的な量の水が流れ落ちる姿は「東洋のナイアガラ」と呼ばれ、国内でも珍しい大瀑布だ。曽木の滝は古くから知られており、近くにある「観音淵」には豊臣秀吉も訪れたという伝承がある。九州征伐で薩摩の島津氏を降伏させた秀吉。島津氏の家臣・新納忠元(にいろただもと)は曽木の滝を案内する際、秀吉を滝壺に落とそうと考えていた。しかしその狙いを察した秀吉は、忠元の袖をつかんで離さずやり過ごしたという。

奇岩怪石も曽木の滝の魅力のひとつ

水量豊富な夏には涼を求めて人々がやってくる

1932年(昭和7)には、歌人の柳原白蓮(やなぎわらびゃくれん)が曽木の滝の見物に訪れている。案内人から聞いた「観音淵」にまつわる秀吉の逸話をモチーフに、「もののふの昔がたりを曽木の滝　水のしぶきにぬれつつぞ聞く」と詠んだ。曽木の滝公園には歌碑が今も立っている。公園は駐車場が整備され、観光客向けの飲食店や土産物店、レンタサイクルもある。園内は広いので、徒歩の散策も良いが、レンタサイクルで自然のなかを駆け抜けるのも気持ちがいい。自転車ならば、女性に人気の清水神社をはじめ、曽木の滝を眺められるビュースポットの新曽木大橋、ヨーロッパの遺跡を思わせる曽木発電所の遺構などを効率良くまわることができる。

園内には遊具もあり子ども連れにもオススメ

レンタサイクルの拠点から徒歩2分。公園の高台にある清水神社は安産や縁結びの神様を祀る。ハート型の絵馬が人気で、恋愛成就を祈願する女性の参拝客があとを絶たない。清水神社から坂道を下り、滝の轟音が大きくなってくる頃には曽木の滝の展望所に出る。会話がかき消されるほどの水量に圧倒されることだろう。ドクロ岩をはじめ、滝に点在する奇岩怪石も見逃せない。園外に出て山道を自転車で3分ほど下ると、新曽木大橋に到着。両岸の巨岩や豊かな緑が迫り、展望所とは異なる姿を楽しめる。新曽木大橋からさらに自転車を3分ほど走らせると、曽木発電所遺構展望公園。展望所の眼下にあるレンガ造りのクラシカルな建築物は、1909年(明治42)から1965年(昭和40)まで稼働していた水力発電所の遺構だ。鶴田ダムのダム湖の水位が低くなる夏の数か月間しか全貌を見られないため、その時期を狙って訪れる観光客も多い。
※清水神社を含む曽木の滝公園内には、自転車の乗り入れ不可。

縁結びの神様を祀る清水神社