Bunkamura

1989年(平成元)に日本初の大型複合文化施設としてオープンした

渋谷の喧騒とは切り離されたエリア

渋谷駅から「渋谷スクランブル交差点」方面に出て、「道玄坂下」から「SHIBUYA109」の右側を通る「文化村通り」を歩くこと数分。雑多なビル群の切れ目に「東急百貨店本店」が現れる。左折して建物沿いに少し歩くと、「Bunkamura」の正面エントランスにたどり着く。1989年(平成元)に開業して以来、数々の名演奏・名作舞台や、話題性のある映画やアートを世に送り出してきた文化の一大拠点だ。歓楽街の間近に位置しているにも関わらず、「Bunkamura」一帯は渋谷の喧騒から切り離され、閑静な雰囲気が漂っている。エントランスを入るとインフォメーションがあり、奥はロビーラウンジになっている。

1階インフォメーションには本日の催しが表示されている

ロビーラウンジではゆったりとした時間を過ごせる

日本屈指の劇場施設を備える

「Bunkamura」の施設で目をひくのはなんといっても2つの劇場。3階に位置する「オーチャードホール」は、コンサート、バレエ、オペラのための劇場で、3階まである座席数は2150席。華やかなホワイエと、幕間にひと息つけるビュッフェを併設する。1階に位置する「シアターコクーン」は、演劇、コンサート、コンテンポラリーダンスなどさまざまな舞台表現のための劇場で、総座席数は747席。これまで、数多くの国内外の優れた舞台芸術を上演してきた歴史ある劇場だ。

「オーチャードホール」は日本初の大規模シューボックス型ホールだ

鑑賞後はカフェでひと息

劇場のほかにも6階には2つのミニシアターを備えた映画館「ル・シネマ」があり、娯楽映画とは一線を画すアート性の高い作品を上映している。さらに、地下1階にある天井高4mの無柱の自由形美術館「ザ ・ミュージアム」では、話題性のあるアート展示を気軽に楽しむことができる。アート施設だけでなく飲食施設にも注目だ。地下1階にある「ドゥ マゴ パリ」は、フランス・パリにある多くの文豪たちが集った老舗カフェ「ドゥマゴ」の伝統を受け継いだフレンチカフェ。舞台や映画を堪能したあとは、こちらで優雅なティータイムを過ごしてみてはいかがだろう。

「ドゥ マゴ パリ」の開放的なテラス席

ユニークな生活用品を扱う「KONCENT(コンセント)」などのショップが並ぶ

2023年(令和5)に長期休館に入る

渋谷の再開発事業の波はこのエリアにも及んでおり、隣接する「東急百貨店本店」が2023年(令和5)1月で営業終了することが決定。それにともない、「Bunkamura」も同年春より大規模改修が予定されている。東急グループと、L Catterton Real Estateが共同で新施設を建設し、「Bunkamura」と一体化させたワールドクラスクオリティの施設を創設する計画だ。新しい展望に期待をしながらも、「Bunkamura」がこれまで築いてきたアート文化を絶やすことなく、引き継いでほしいと願うばかりだ。