長崎市遠藤周作文学館

資料/郷土/展示/文学館

『沈黙』の舞台となった外海(そとめ)エリアで遠藤周作の文学に触れる

長崎市から車で約1時間。角力灘(すもうなだ)を望む外海(そとめ)と呼ばれる地域は、「かくれキリシタンの里」として知られ、世界文化遺産に登録されている。ここは、キリスト教をテーマとした長編小説「沈黙」の舞台であり、遠藤周作が愛した場所だ。

角力灘(すもうなだ)の広大な海を望む丘の上に立つ文学館} 角力灘(すもうなだ)の広大な海を望む丘の上に立つ文学館

約3万点にも及ぶ貴重な資料を収蔵

遠藤周作は、32歳のときに『白い人』で芥川賞を受賞、34歳で九州大学医学部生体解剖事件をモデルに『海と毒薬』を書き、キリスト教作家としての地位を確立した作家である。代表作である『沈黙』の舞台となった長崎は、遠藤にとって忘れられない場所。何度も取材で訪れたこの地を、遠藤は「神様が私のためにとっておいてくれた場所」と言っている。彼の死去から4年後の2000年(平成12)、遠藤が愛した長崎市外海の丘の上に長崎市遠藤周作文学館が開館した。館内には遺族より寄託・寄贈された蔵書や草稿、日記、ノート、書簡、写真など約3万点の資料が収蔵されており、その一部が公開されている。テーマに沿って開催される企画展には、県内外から多くのファンが訪れている。

館内へ一歩足を踏み入れると、そこは教会を思わせる高い天井と美しいステンドグラスが配されたエントランスホールになっている} 館内へ一歩足を踏み入れると、そこは教会を思わせる高い天井と美しいステンドグラスが配されたエントランスホールになっている

作家遠藤周作の生涯と作品を知る

館内では幼少期から学生時代、留学生時代、作家時代など遠藤の生涯が詳しく展示解説されている。発表された作品も数多く展示されるなか、『沈黙』に関しては何度も推敲を重ねた草稿も展示されているなど、作家としてのリアルな一面を知ることができる。展示品のなかでも生前の書斎を再現したコーナーは必見である。暗くライトを落とした一角は、東京の書斎を再現。そこは狭くて暗く湿気が漂う母親の子宮のようで、いちばん落ち着ける場所だったと、遠藤は語っている。母を愛し続けた遠藤作品の原点も知ることができる。

代表作『沈黙』は映画化され、貴重なスチールも展示されている} 代表作『沈黙』は映画化され、貴重なスチールも展示されている

東京の自宅書斎を撮影した写真とともに、実際に使われていたデスクと愛用品が展示されている} 東京の自宅書斎を撮影した写真とともに、実際に使われていたデスクと愛用品が展示されている

人生とは何かを考える空間へ

青く広がる海がとても美しい外海エリア。文学館から望む風景は条件があえば遠く五島列島まで見えることも。文学館の展示室のいちばん奥に設けられている「聴濤室(ちょうとうしつ)」は、眼下に広がる角力灘を眺めながら、遠藤文学の世界を味わってもらおうと設けられた空間だ。隣接する「思索空間アンシャンテ」からも、圧倒的な海の広がりと、潮目の流れに感動する。この静かな空間で、遠藤文学に想いをめぐらせてほしい。入り口には、遠藤周作の妻・順子夫人による夫遠藤への想いと、「人生とは何か」を考える場所になってほしいという言葉が添えられている。

文学館のテラスからの眺め。天気のよい日は、遠くうっすらと五島列島が見える} 文学館のテラスからの眺め。天気のよい日は、遠くうっすらと五島列島が見える

思索空間アンシャンテからの眺め。遠藤の遺品のなかにあった木管楽器パンフルートの即興曲『グレゴリアンの調べ』が流れている} 思索空間アンシャンテからの眺め。遠藤の遺品のなかにあった木管楽器パンフルートの即興曲『グレゴリアンの調べ』が流れている

「沈黙の碑」に書かれた名言を考える

文学館から車で約2分。外海出津(そとめしつ)文化村の入り口からすぐの場所に遠藤氏の友人によって建てられた「沈黙の碑」がある。外海地区は、潜伏キリシタンの深い歴史があり、世界文化遺産にも登録されている。『沈黙』のなかでも重要な場所として描かれているこの地を、遠藤は「神様が私のためにとっておいてくれた場所」と評した。そして1987年(昭和62)に「沈黙の碑」が建立されたとき、「あの碑と場所は私が思っていたとおりの場所で、(中略)とにかく私にとって、ベターではなくベストの文学碑」と喜んだ。石碑には遠藤の言葉で「人間がこんなに哀しいのに主よ海があまりに碧いのです」と刻まれている。その言葉の意味を、この場所で考えたい。

長崎市外海歴史民俗資料館やド・ロ神父記念館、出津教会堂が集中している「出津文化村」の一角で、海を見下ろせる場所に文学碑がある} 長崎市外海歴史民俗資料館やド・ロ神父記念館、出津教会堂が集中している「出津文化村」の一角で、海を見下ろせる場所に文学碑がある

スポット詳細

住所
長崎県長崎市東出津町77 map map 地図
エリア
長崎エリア
電話番号
0959376011
時間
9:00-17:00(最終受付16:30)
休業日
12/29-1/3
料金
【観覧料】
[一般]360円
[小・中・高校生]200円
駐車場
あり(7台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、PayPay、楽天ペイ、メルPAY、d払い、auPAY、ALIPAY)
Wi-Fi
あり(Nagasaki_City_Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
0-30分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 沈黙の舞台にある静かな施設
    5.0 投稿日 : 2023.06.03
    遠藤周作さん、生きてたら100歳だったそうです。長崎市北部、海の見える静かな施設です。小説の中の言葉が展示してあり、心に響きました。
  • 小説沈黙のモデルのなった長崎市外界地区に建つ記念館
    4.0 投稿日 : 2021.07.21
    長崎市に住む知人からレンタカーがあるなら行ってみればと勧められて長崎サンセットロードで行ってみました。事前に、同じく勧められた世界遺産長崎・天草潜伏キリシタンの大野教会堂や出津教会へ行き、出津では小説沈黙の碑も見たので、出津の外れの岬の上に記念館が建っている理由が分かります。遠藤周作と生涯とキリスト教との関係、沈黙に至る理由などが紹介されています。中に入るとステンドグラスなどいるだけで癒される空...
  • 沈黙の舞台、潜伏キリシタンの里にある遠藤周作の記念館。海を見下ろす眺めも良い
    4.0 投稿日 : 2020.11.30
    遠藤周作の作品「沈黙」の舞台となった外海にある記念館。遠藤周作の生涯について詳しく知ることが出来ました。開館20周年k自然として「遠藤周作 珠玉のエッセイ展」も興味深く見ました。「人生には無駄なことはひとつもない」をはじめとして心に残る文章がたくさんありゆったりと見学することが出来ました。ロケーションは海を見下ろすところにあり、潜伏キリシタンの里としている地域のなかにあるため、観光の途中にぜひ立ち...

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アクセス

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最寄り

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