岩永梅寿軒

和菓子

長崎の町で190年以上愛されてきた老舗和菓子店

1634年(寛永11)から続く中通(なかどおり)商店街にある、老舗の和菓子屋「岩永梅寿軒」。どっしりと風情あるたたずまいのなかに、親しみやすさもあわせもつ。長年にわたって長崎市民に愛されるこの店にはどんな魅力があるのだろう。

味わい深い看板は大正時代に作られたもの} 味わい深い看板は大正時代に作られたもの

歴史を見つめ、幾多の困難を乗り越えてきた建物

「岩永梅寿軒」は創業1870年(天保元)の老舗の和菓子屋だ。もともと勝山(かつやま)にあった店舗は1902年(明治35)に現在の場所に移された。黒塗りに漆喰の落ち着いた店構え、2階部分の重厚な鉄扉(てっぴ)にその歴史がしのばれる。店の地番プレート付近には珍しい鳶口(とびぐち)マークが残されている。これは1887年(明治20)に創立された日本の初の火災保険会社、東京火災(のちの安田火災、損保ジャパン)と契約した際に付けられるマーク。火災が発生すると、東京火災の私設消防隊が駆けつけ、このマークが付いている家を守るといったシステムがあった。京都の鹿苑寺(金閣寺)の総門にも同じものが残っているという。1945年(昭和20)に原子爆弾が落とされた際にはガラスの破損や柱に歪みが生じたが、何とか大きな破損は免れている。1982年(昭和57)には長崎大水害が発生し、近くを流れる中島川が氾濫。店舗1階が浸水するという被害に見舞われた。幾多の困難に襲われたものの、店の建物は今もどっしりとここにあり、道を往来する人々をゆったりと見守り、訪れる客を温かく迎えている。

観光スポット「眼鏡橋」や「興福寺」からも徒歩圏内の場所なので、散策ついでに立ち寄りたい} 観光スポット「眼鏡橋」や「興福寺」からも徒歩圏内の場所なので、散策ついでに立ち寄りたい

店の入り口にある鳶口のファイアーマーク。取り付けられた年代は不明だ} 店の入り口にある鳶口のファイアーマーク。取り付けられた年代は不明だ

天候で仕上がりが変わるカステラを高いクオリティで作り続ける

長崎市民にお気に入りのカステラの店を聞くと、有名店を差し置いて「岩永梅寿軒」の名前を挙げる人が少なくない。長崎県外であまり知られていないが、ここはカステラの隠れた名店なのである。知名度が高くない理由はカステラの入手の難しさにある。岩永梅寿軒が販売する「長崎カステラ」は一つひとつ職人が手作業で作るため、製造数に限りがあり、基本的に受注販売なのだ。予約分より多く作られたものが店頭販売されていることがあるので、出合えるとラッキーである。

カステラ1本1782円。賞味期限は購入後10日ほど} カステラ1本1782円。賞味期限は購入後10日ほど

さて、そのおいしさの秘密はどこにあるのだろう。材料は卵、小麦、砂糖、水飴のみで、いたってシンプル。素材の味がそのままおいしさに直結するので、卵は味が濃厚でコクがある「太陽卵」という高品質なものを使用し、小麦粉はカステラ専用のものを使うなど、材料に妥協を見せない。また、気温や湿度によってカステラの焼き上がりの状態が変わってくるので、ひと釜ごとに焼き時間や温度を微調整しながらていねいに焼き上げていく。職人の細やかな技術と手間をかけて作られたカステラなのだ。口に入れたときにはしっとり、もっちりとした食感で、そのあととろけるように消えていく。「水分がなくても飲み込める」という絶妙な食感を目指して作られているのが「岩永梅寿軒」のカステラなのである。

カステラ以外にもバリエーション豊かな和菓子がいっぱい

長崎カステラ以外の人気商品を見てみよう。「もしほ草」は塩を採取する際に使われる「藻塩草」をモチーフにしたお菓子。100年以上前からこの店で販売されているロングセラーだ。北海道産の昆布を使い、求肥のもちもちした食感と、ほんのり口の中に広がる磯の香りがクセになるひと品だ。お茶請けや手土産にもぴったり。2020年(令和2)頃に販売されて好評を博しているのが「舶来焼(はくらいやき)」である。インゲン豆やコーヒー豆など、「長崎はいろんな『豆』が日本で初めてもたらされた場所」であることから店主が着想し、ネーミングや材料にピーナッツを使うアイデアへとつなげていき、完成したお菓子だ。黄身餡にカステラを混ぜ合わせたオリジナルの「カステラ餡」に、「ピーナッツ餡」や「ピーナッツ珈琲餡」を合わせ、しっとりした生地でやさしく包んでいる。餡の甘さとピーナッツの香ばしさとの相性が抜群で、緑茶だけでなくコーヒーや紅茶にもあいそうなひと品だ。

ほどよい甘みと塩気があとを引く「もしほ草(240g)」は810円-} ほどよい甘みと塩気があとを引く「もしほ草(240g)」は810円-

「舶来焼」「舶来珈琲焼」は各180円} 「舶来焼」「舶来珈琲焼」は各180円

長崎の夜景をイメージしたひと口サイズの羊羹や葛切りなど、さまざまな季節の和菓子が並んでいる} 長崎の夜景をイメージしたひと口サイズの羊羹や葛切りなど、さまざまな季節の和菓子が並んでいる

スポット詳細

住所
長崎県長崎市諏訪町7-1 map map 地図
エリア
長崎エリア
電話番号
0958220977
時間
10:00-16:00
休業日
日、火・木不定休
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 創業180年の歴史と伝統 少量生産の『長崎カステラ』、しっとりと、甘くて美味
    5.0 投稿日 : 2020.01.31
    数ある『長崎カステラ』店舗の中で、老舗だが、購入しにくいことでも有名な岩永梅寿軒。今では、長崎以外、県外にも大工場をもつ大規模生産と全国どこでも買えるような長崎カステラも、いくつかある中で、小さな菓子輔の毎日少量生産と聞く。 なにせ、ここの長崎カステラは、予約注文が基本で、注文時日付も特定できない、お見せの作製状況次第? 現在の電話予約では、7~8月頃!!。店頭販売は、予約注文の製造と合...
  • 午後の訪問でしたが
    5.0 投稿日 : 2019.11.24
    平日15時過ぎてたとおもいますが、お目当てのカステラ購入。6月に数件のカステラを購入し、一番好みの味だったので再訪しました。食べ物はお好みがそれぞれ違うと思うので、ご自分の好きなお店を探すと良いでしょう。こちらのカステラのしっとり感、甘さが私は好きです。緑茶、コーヒー、紅茶、どれにも合うと思います。今回、秋のお菓子なども合わせて購入。和三盆は日持ちするのでまだいただいてません。こち...
  • 買えました!
    4.0 投稿日 : 2019.11.10
    前回の長崎訪問では購入できなかったので、今回は10時の開店と同時に訪問。すでに4名ほど並んでいましたが、念願のカステラを購入する事ができました。東京では購入する事ができないと思うとなおさら価値があるように感じられます。美味しかったです!(^^)!

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アクセス

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