黒木の大藤
600年の時を超え圧巻の花景色を見せる国天然記念物
2度の災禍を生き延び今も壮観な姿を見せる
福岡県筑後地方の南東部に位置する八女市黒木町は、中世に築かれた城下を起源とする。江戸時代、久留米藩が治めるようになり、1714年(正徳4)に黒木廻水路が整備され、現在の水路網と町並みの原型がつくられた。久留米と豊後を結ぶ旧往還道(旧豊後別路)沿いに「居蔵(いぐら)づくり」と呼ばれる漆喰壁瓦葺きの町家が建ち並び風情ある景観をつくっており、2009年(平成21)、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
黒木の大藤があるのは、保存地区の東部に鎮座する素盞嗚(すさのお)神社境内だ。藤は14世紀の南北朝時代、南朝の皇族だった良成親王(りょうせいしんのう)が植えたと伝えられている。そののち、1584年(天正12)の戦火で焼損し、さらに1821年(文政4)には黒木大火に遭うなど災いに見舞われたが、地元の手厚い保護のおかげもありたくましく生き続け、1928年(昭和3年)、国の天然記念物に指定されている。
神社前の国道まで広がる3000平方メートルもの藤棚
社殿に向かって左手にある株を見てみよう。すると、根元付近からたくましく根あがりしている姿がわかる。幹は2本の太い枝に分かれて横に広がり、無数の枝を伸ばしている。ほかにも支枝があって複雑にからみ合っており、藤を支える棚は神社前の国道にも広がり、その面積は3000平方メートルにも及ぶ。
そこが4月中旬から下旬にかけて、あでやかな紫色の花で一面に彩られるから壮観だ。花房は長いもので1.7mほど垂れ、特に、そばを流れる矢部川(やべがわ)から吹き上がる川風に揺られる様は幻想的だ。そのなかをそぞろ歩くと藤の放つ香りに包まれて、異空を彷徨(さまよ)っているような心地になるだろう。
実は黒木まで旧国鉄が走っていた歴史が
神社から歩いて6分ほどのところに黒木体育センターがあり、見学者はここの広い駐車場を利用できるが、ここは旧・国鉄黒木駅跡で、駅ホームが再現されC11型蒸気機関車が静態保存されている。戦後、鹿児島本線羽犬塚駅と黒木駅間に矢部線が通され、黒木駅の先にある矢部村、さらに大分県の小国まで鉄道を通す計画があったが実現せず、建設は黒木駅止まりとなった。矢部線自体も1985年(昭和60)廃線になっている。大藤の見学のみならず、そういった歴史を知るのも楽しい。
近くには江戸時代に造られた水路があり、鯉が放流されている。1916年(大正5)創業の酒造場もあるので立ち寄ってみよう。
スポット詳細
- 住所
- 福岡県八女市黒木町黒木5-2 地図
- エリア
- 久留米・柳川エリア
- 電話番号
- 0943421112
- 休業日
- 期間中無休
- 料金
- [見学料]無料
- 駐車場
- あり(300台)
- クレジットカード
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- 喫煙
- 不可
- 滞在目安時間
- 60-120分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- ペットの入店
- 可
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン