伊尾木洞シダ群落
トンネルを抜けて木漏れ日が差し込む太古の森へタイムスリップ
約40種類のシダが共生する群落は国の天然記念物
高知県東部の安芸市にある伊尾木洞は、地元では「あなごう」と呼ばれて親しまれていたが、その魅力が広く知れ渡るようになったのは2015年(平成27)の観光PR「高知家・まるごと東部博」がきっかけだ。高さ約5m、幅約3m、奥行き約40mの小さな洞窟だが、珍しいのは通り抜けられること。水が滴る薄暗い洞窟を抜けると、木漏れ日が差し込む幻想的なシダの群生が広がっている。熱帯性のシダをはじめ、約40種類ものシダが1か所に共生しているのは全国的にも珍しく、「伊尾木洞シダ群落」として国の天然記念物に指定されている。もともとこの地は約300万年前に土佐湾の海底に堆積した地層が隆起した場所で、その地層が長い間波に浸食されて洞窟ができた。そのため、地層には貝殻の化石も見られる。突然太古の森へタイムスリップしたような非日常感が味わえる空間だが、国道55号線沿いにあって、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「伊尾木」駅からも徒歩約10分でアクセスできる好立地にある。
長靴を履いて、いざ出発!40分の秘境トリップ
高知市から国道55号線を東へ約1時間、「伊尾木洞」の案内板が見える。ごめん・なはり線「伊尾木」駅を過ぎてすぐ、右手側に伊尾木洞駐車場が整備されている。ここに観光案内所が設置されているため、パンフレットや散策ルートマップも手に入る。散策ルートは小さなせせらぎのなかを歩くこともあるため、長靴があると安心だ。持ち合わせていない場合はここで長靴を無料で借りることもできる。案内板に沿って歩くと、山側に洞窟の入り口が見えてくる。洞窟の中は足元が整備されているため、普通の靴でも歩きやすい。洞窟を抜けるとシダの世界が広がり、さらに小川をさかのぼるように先へ進むと小さな滝が現れる。この滝も写真スポットとして人気だ。帰り道は行きとは別のルートを案内板に沿って歩くと、伊尾木公民館にたどり着く。個人で訪れる人が多いが、安芸市観光協会ではガイドツアー(800~1000円)も行っている。
伊尾木洞をPRする素朴な味わいの「あなごうせんべい」も
「高知家・まるごと東部博」をきっかけに、地元住民が「伊尾木あなごう保存会」を結成。取り組みのひとつとして菓子メーカーと「あなごうせんべい」を考案して、人気の土産となっている。地元、入河内地区の煎茶を粉砕して練り込んだ生地は、ほんのりとお茶の香りがして素朴な味わい。サクサクと軽い食感で、つい手が止まらなくなる。300円の商品代のうち一部は、洞窟やその周辺の維持管理のために使用される。伊尾木洞に立ち寄ったら、ぜひ「あなごうせんべい」も手に取って維持保存に貢献したい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン