心斎橋筋商店街

誰もがカメラを構えるグリコの看板

道頓堀から始まったミナミ誕生400年物語

日本トップクラスの観光地「ミナミ」の原点は1615年(元和元)に造られた道頓堀川にあり。当時の物流の中心は船であったため、川沿いには街が開発され、道頓堀も例外ではなかった。さらに、江戸幕府の政策によりおもな娯楽だった芝居小屋も、道頓堀川の南側に集結することに。さながらアメリカのブロードウェーのような一大芝居町として賑わいをみせ、のちの上方文化が形成されていった。周辺には宗右衛門町(そえもんちょう)のほか、難波新地をはじめ花街が続々と誕生。そして、道頓堀から十日戎で有名な今宮戎にかけて参道ができ、戎橋筋商店街の成り立ちへとつながっていく。もともと、道頓堀ができるまでは大阪の市街地といえば船場のみ。そこから南のほうに道頓堀があったため、「南地(なんち)」と書いて「ミナミ」と振り仮名をふったとか。

道頓堀川に架かる戎橋はミナミの象徴ともいえる存在

戎橋から南に続く戎橋筋商店街

過去の面影が各エリアの特徴に表れている

ただ、道頓堀より北側の心斎橋にはまた違った物語がある。道頓堀・戎橋の竣工後間もなく、現在「クリスタ長堀」のある位置に、長堀川とそこに架かる心斎橋が完成。道頓堀から心斎橋に向けても街ができはじめ、明治時代には文明開化とともに「東の銀座、西の心斎橋」といわれるほど高級街として栄えていた。このように各エリアで発展のいきさつが異なるため、現在の姿にも過去の面影が残っている。心斎橋筋商店街では嗜好品であるファッションが楽しめ、なかでもハイブランドが多い。道頓堀周辺には茶屋や小料理屋が集まっていたため、定番の大阪グルメが大集合。戎橋筋商店街は庶民派の難波新地を貫く通りとして、中小規模の個人店がひしめき、食・娯楽・ショッピングが混じり合う。

戎橋より北側に延びる心斎橋筋商店街

大阪グルメを一挙に楽しめる食いだおれの街

ミナミには、「食いだおれの街・大阪」でもひときわ多くの飲食店が軒を連ねる。ラインナップは粉もんをはじめ大阪グルメを集めた「道頓堀くくるコナモンミュージアム」や「中座くいだおれビル」。そのほか、かにすき発祥の店「かに道楽」や旨味があって上品なだしを味わう「道頓堀今井」、大阪土産の定番「551蓬莱本店」など盛りだくさん。ただ、「有名店も良いけど、地元の人が好む隠れ家的名店を知りたい」なんて人は、個性派の店が多い「ウラなんば」、しっぽり飲める「座裏(ざうら)」、クラブやバーのネオン輝く宗右衛門町などがおすすめ。南北に続く商店街から東西に延びる路地にそれて探してみると、自分だけのお気に入りの店が見つかるかも。

くいだおれ必至の道頓堀エリア

何でもそろう世界トップクラスの商業地

簡単にいえば、ミナミは数多くの個性的なエリアが一堂に会する唯一無二の街。世界的に見ても、これだけ広い範囲の商業地は類を見ない。高級ブティックがずらり並ぶかと思えば、「店主はどこにいるの？」と思わせるような小さな個人店も。路地に入れば、1本ごとに表情を変える横丁もあり、ソースやだしの香りが食欲をそそる。まさに、大阪観光の集大成こそがミナミといえるほど。目的地を決めて観光するのも良いが、十分な時間を確保してぶらり歩きを楽しむべし。

多彩な商店がずらりと並ぶ戎橋筋商店街

高級アパレルからファストファッションなど、ショッピングの楽しみが広がる心斎橋筋商店街