日本二十六聖殉教者天主堂(大浦天主堂)

教会

国宝であり、世界遺産。世界宗教史に残る「信徒発見」の舞台

幕末の開国にともない、長崎居留地に住む在留外国人のために建てられた天主堂。中世ヨーロッパ建築を代表するゴシック様式の教会で、国宝に指定されているほか、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つでもある。

創建から150年以上。現存する教会で日本最古の大浦天主堂} 創建から150年以上。現存する教会で日本最古の大浦天主堂

聖母像に見守られながら階段を上る

居留地の頃のエキゾチックな風情を残す南山手。石畳の坂道を50mほど登ると、正面に崇高な大浦天主堂が目に飛び込んでくる。まずは、ここで最初の写真を撮って、敷地のなかへ入ろう。拝観受付を済ませて階段を上ると、入り口中央に白亜の聖母像が来訪者を見守るようにたたずんでいる。その優美な姿に思わずまたシャッターを切る。今から150年以上前、1864年(元治元)末に竣工し、1875年(明治8)と1879年(明治12)の増改築により、外観デザインなどが変更され現在の姿となった。外壁も木造からレンガ造りに変更されたが、内部の主要部分には創建当初の姿が残されているという。1933(昭和8)に国宝に指定され、原爆による損傷が修復されたのち、現存する日本最古の教会建築として1953年(昭和28)に再び国宝に指定された。入り口の扉の前で振り返ると、遥かに長崎港が見える。もともと、大浦天主堂は豊臣秀吉の命により殉教し、天主堂が立つ直前に列聖された「日本二十六聖人」に捧げられた聖堂であるため、殉教地である西坂に向けて建てられたという。二十六聖人に手をあわせるよう立つ聖母像のシルエットは、何度訪れても心に響く。

大浦天主堂の建立を記念して建てられた「日本之聖母像」} 大浦天主堂の建立を記念して建てられた「日本之聖母像」

ヨーロッパ建築の伝統を感じるゴシック様式

大浦天主堂は中世のヨーロッパ建築を代表するゴシック様式で建てられている。心を高めるためにと、高い尖塔をもち、内部には明るく見せるためのステンドグラスなどを使用し、神に心を向けさせるための建築様式といわれている。堂内に入ってまず目を奪われるのは、正面の大祭壇と祭壇奥に掲げられた「十字架のキリスト像」(幅1.5m、高さ3m)のステンドグラス。これは1865年(元治2)天主堂の建立を記念してフランスの修道院から贈られたもので、十字架上のキリストとそのかたわらには聖母マリア、使徒ヨハネの姿、ひざまずくマグダレナ・マリアも描かれている。原子爆弾の爆風を受け一度は大破したが、戦後の復旧工事でパリの専門業者に依頼してよみがえったものである(堂内は撮影不可)。

聖堂内には大浦天主堂の歴史や堂内の絵画やステンドグラスについて紹介するアナウンスが流れている} 聖堂内には大浦天主堂の歴史や堂内の絵画やステンドグラスについて紹介するアナウンスが流れている

ステンドグラス「十字架のキリスト」が神々しい祭壇} ステンドグラス「十字架のキリスト」が神々しい祭壇

「信徒発見」を見守ったマリア像に対面

堂内で必ず見てほしいのが「信徒発見のマリア像」。これは、キリスト教の歴史上、最大の奇跡ともいわれる「信徒発見」に由来する。大浦天主堂が創建された当時、まだ日本ではキリスト教が禁止されていた。しかし、パリ外国宣教会より派遣された当時主任司祭のプティジャン神父は教会の正面に日本語で「天主堂」という文字を掲げ、日本人信者の存在を期待していた。そして、献堂式から約1か月後、その期待は現実となり、1865年(元治2)3月17日、浦上の潜伏キリシタンおよそ15人が人目をしのんで訪問。聖堂内で祈るプティジャン神父に近づき「ここにおります私たちは、皆あなたさまと同じ心でございます」と信仰を告白し、「サンタ・マリアの御像はどこ?」とたずねた。プティジャン神父は歓喜のなか、すぐに聖母像の前に導き、一緒に祈りを捧げたという。そう、このときに浦上の信者たちにプティジャン神父が見せたマリア像こそ、中央祭壇に向かって右横に飾られている「信徒発見のマリア像」である。当時と同じ場所で、今も訪れる人をやさしく見守っている。

浦上のキリシタンとプティジャン神父が共に祈りを捧げた「信徒発見のマリア像」} 浦上のキリシタンとプティジャン神父が共に祈りを捧げた「信徒発見のマリア像」

ステンドグラスから彩り豊かな光が差し込む} ステンドグラスから彩り豊かな光が差し込む

キリシタンの歴史を学べる「大浦天主堂キリシタン博物館」

大浦天主堂周辺は「大浦天主堂境内」として国指定史跡となっており、敷地内に国宝の大浦天主堂のほか、国指定重要文化財「旧羅典神学校」と長崎県有形文化財「旧長崎大司教館」の建物などがある。そのうち、旧羅典神学校と旧長崎大司教館を「大浦天主堂キリシタン博物館」として活用している。キリシタン関係のパネルや信仰道具など遺物の展示も興味深いものがたくさんあるが、同時に明治期に建設された旧羅典神学校と旧長崎大司教館の2つの秀逸な歴史的建造物に触れることにも価値がある。ぜひ、大浦天主堂拝観後は、博物館にも足を延ばし、キリシタンの歴史に思いを馳せよう。

大浦天主堂キリシタン博物館として活用されている旧羅典神学校} 大浦天主堂キリシタン博物館として活用されている旧羅典神学校

キリスト教の布教から繁栄、禁教期・潜伏期の歴史、そして信徒発見にいたる日本のキリスト教に関する資料を展示している「大浦天主堂キリシタン博物館」} キリスト教の布教から繁栄、禁教期・潜伏期の歴史、そして信徒発見にいたる日本のキリスト教に関する資料を展示している「大浦天主堂キリシタン博物館」

スポット詳細

住所
長崎県長崎市南山手町5-3 map map 地図
エリア
長崎エリア
電話番号
0958232628
時間
8:30-18:00(最終入館は30分前まで)
休業日
教会行事により休館する場合あり
料金
[拝観料]大人1,000円、中高生400円、小学生300円
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり(英語標記あり展示物など)
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
不可(介助者が必要、事前連絡相談)
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

アニメスポット情報

Fate/staynightに登場する冬木教会のモデルであると言われている。

※ナビタイム調べ

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